ミドーの海

作者 かんな

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★★★ Excellent!!!

この小説は、灯台で暮らすミドーという少年が朝目覚める描写から始まる。朝の支度をしながら、空や海の様子を観測して、報告書をまとめる。
それがどんな意味を持つのかはさておき、ミドーが朝起きてからの習慣を描写する文章が良い。情景がありありと浮かぶ、視覚的な文章だと思う。
カーテンを開けて朝の光が差し込む様子、戸棚からあふれた小物の描写、椅子を揺らしながら報告をするミドーがはっとしてそれをやめるシーン。
視覚的な気持ちよさへの配慮が行き届いていて、それがきっちり文章へと昇華されている。後半で、ミドーの報告書が持つ意味がわかってくるが、その展開も、前半の文章あってこその展開なのではないかと思う。

★★★ Excellent!!!

話の転換と同時に読者がそれまで読み進める最中に構築していた仮の世界観を鮮やかにひっくり返す決定的な部分があり、『こういう話なのか…!』と膝を打ちました。主人公が認識している世界の外側というか、第三の視点を持つ読者だけが俯瞰できる情報を統合すると、趣がまったく異なってくる。
15ページ目を読む時は、1ページ目を読んだ時とは全く違う自分でした。