人間が脳内に端末を埋め込むようになった時代、一人の青年が出逢ったのは意思を持つ人工知能であった……。嫌味たらしい、けれど何処か憎めない人工知能、その名もギミック。ギミックは仕掛ける。世界へ、誰かへ、彼へ、誰もへ、――――そしてもちろん、あなたへ。読み進めるうちに、読者は必ずこの物語に惹き込まれる。そして、思うだろう。あぁ、『世界はこんなにも美しい』と。優しきギミックの仕掛けを、どうかあなたも見届けて欲しい。彼が何を変え、どう変わったか。その答えをギミックと共に。
『ギミック』。題に出てくるこの単語、読者諸君は「ん?」と反応されている事だろう。そう、本作はこの言葉が重要だ。私達は一体何を見ているのか。何を考えているのか。人類の向かう先は?物語は非常に読みやすく書かれている。まずはページを一枚捲ろう、諸君。恐れる事は無い、光の向こうへ進め。作者は読む者に『ギミックをしかける』。夢のような、淡い光。そして君達は、本作を読み終わる時、気が付かぬ内に感嘆の息を漏らすのだ。