「純愛」を含む小説

　11月22日今日は彼女の誕生日だった。会社を早々に切り上げ愛用の自転車を走らせる。 　もう何度目になるかわからない登り階段を駆け上がり玄関の扉を開ける。 「ただいま」 　…

　──ふと気がつけば『私』は、記憶喪失となっていた。 　失ってしまった過去の手がかりは、夢で見た『月の妖精』のごとく美しき少女だけであるが、その可憐な唇は何も語らず、ただ私をあざ…

「吸血族と、この世界から、凛子を救えるのは俺だけだ」 　特殊な力を持つ血が流れる娘と、初恋に全てを捧げた青年。 　仄暗い閉じた世界で紡がれる、危ういほど純粋な恋は、ある夜を境に…

平凡すぎる私がｲｹﾒﾝさんを好きになるなんてご法度だわ。 でもでもでもでも…好きになっちゃったんだもん……。( ⑉¯ །། ¯⑉ )ｸﾞﾍﾍﾍ 私自身である実乃果(みのか)と…

旅の踊り子ミラは森に迷い込み、一角獣の怒りを買い、心臓を角で貫かれ、死んだ……はずだった。 『エーデムリング物語』と同じ世界を舞台にした悲恋物です。 『銀のムテ人』の中に本とし…

大学時代の友人に紹介された『恋人』は、出来のいいマネキンだった。

わたしは『家政婦』として避暑感覚のバイトにやってきた高校の同級生たちに帯同した。置き去りにされたわたしだけれども、なんとも言いようのない自由を感じている。街に帰るまでの数日間、何…

女の子として生まれてきた古河朋。しかし朋は性同一性障害という障害を抱えており、体は女の子だが、心は男の子だった。そんな障害を抱えながらも、懸命に生きる姿を傍で見てきた親友の長月圭…

織姫と彦星が鵲の橋を渡ることが出来るのは、年に一度、七夕の日だけ。 某大学病院小児科医局でも、七夕の物語が月明かりの中繰り広げられる……。 年下ドクターの情熱、失うもの、傷つ…

三十歳を過ぎてから良いことナシの琴子。仕事は徹夜、恋人に捨てられ、見合いも破談。実家は暗いムード。極めつけは、どん底の帰り道『走り屋』に泥を跳ねられ新品のコートを汚されたり! で…

仕事帰りの突然の雨に、彼女は見つけた小さな喫茶店に入る。満席状態のそこにいたのは、一人のマスターと常連客。 常連客が相席を提案してくれた。男性との不思議な時間が始まる――。 …

　森と湖の国ラプラシアの王女マナは、十七歳の誕生日、街外れの丘で漆黒の飛竜に乗った騎士と出会い、淡い恋心を抱く。けれど、彼女には決められた婚約者がいた。その夜、宴の席で婚約者と初…

料理は瑠美にとっての生きがい、幸せなひとときをくれるもの。 特にコンソメスープには思い入れがある。 優しくて、温かくて、 でも切なさが滲み出る。 それはきっと、 彼女が経験…

1人の女性が1人の男性と出会い 歪んだ荒削りな恋をする 世間から見たこの恋はとても純愛とは呼べないひとつの物語

交通事故に遭うところを「高木茜」と名乗る女性に助けられた水原透流は、お礼をするため食事に誘うことに。そして意気投合した二人は、交際を重ね親密な関係を築いていくのだが、同時に透流は…

君は露骨に眉を顰めた。好きな子に彼氏が出来た。その事実を知った「僕」が取った行動は、彼女の『彼氏』になるのは諦めて、彼女の『神様』になろうという奇策だった。 　当然、彼女は訝し…

決して異常者ではない私と、珈琲豆の純愛物語

上杉謙信所有の名刀・一文字。長さを少し短くしたいと研師に頼んだその夜……研師の枕元に愛らしい姫が現れた。鶴姫一文字に秘められた愛の秘話

宮廷料理人となったメイリンは、ひょんなことから王に拝謁することとなった。 　王リーシンはなかなかの美男子だったが、身分の違うメイリンとは住む世界の違う人だった。 　そんなメイリン…

どこにでもいるような、取り立てて特徴のない女の子。 そんな彼女が、「女子高」という閉鎖空間で 見目麗しいクラスの女子に特別な感情を抱くのは、 自然な流れでした。