概要
果たしてこれは狂気と絶望のホラー小説か、或いは純愛と贖罪の少女小説か。
──ふと気がつけば『私』は、記憶喪失となっていた。
失ってしまった過去の手がかりは、夢で見た『月の妖精』のごとく美しき少女だけであるが、その可憐な唇は何も語らず、ただ私をあざけるように妖艶な笑みに歪んでいた。
見覚えのないホテルのベッドの上で途方に暮れていると、大手小説誌の副編集長を名乗る男が迎えにきて、私のことを男でありながら『愛原みゆ』という女性名のペンネームで売り出し中の、新進気鋭の少女小説家だと教えてくれた。
言われるがままに自宅であるという豪邸へと戻ってみると、何と夢に現れた少女そっくりな少年が待ちかまえていて、しかも驚くことに彼は私の養子だというのである。
月の光のような銀色の髪。陶器のごとき白磁の肌。端整な顔の中で煌めく青の瞳。いまだ性的に未分化で中性的な肢体。まさに
失ってしまった過去の手がかりは、夢で見た『月の妖精』のごとく美しき少女だけであるが、その可憐な唇は何も語らず、ただ私をあざけるように妖艶な笑みに歪んでいた。
見覚えのないホテルのベッドの上で途方に暮れていると、大手小説誌の副編集長を名乗る男が迎えにきて、私のことを男でありながら『愛原みゆ』という女性名のペンネームで売り出し中の、新進気鋭の少女小説家だと教えてくれた。
言われるがままに自宅であるという豪邸へと戻ってみると、何と夢に現れた少女そっくりな少年が待ちかまえていて、しかも驚くことに彼は私の養子だというのである。
月の光のような銀色の髪。陶器のごとき白磁の肌。端整な顔の中で煌めく青の瞳。いまだ性的に未分化で中性的な肢体。まさに
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