「武士」を含む小説

月尾藩家中島崎与十郎は、身内の不義から気を病んだ父を抱えて、二十八の歳まで嫁の来手もなく梲（うだつ）の上がらない暮らしを送っていた。年の瀬を迎えたある日、道場主から隔年行事の御前…

とある工房で働く刀鍛冶の少年、鉄平。 彼は、亡くなった先代の跡を継いだが、うまくいかない。覚書通りに刀を打ってもできるのは、なまくらばかりだった。 ある日のこと、相変わらずなまく…

コロナ退散の祈りをこめて、角川武蔵野ミュージアムの巨大な外壁で雄々しく翼を広げているトンビは、満月の夜……。

　天正8年、時代は過渡期だった。父祖伝来の領地を守る『中世武士』は『戦国武者』に斃されていった。 —激しい世の流れに、門閥は崩れ、人は功名を求め、戦場に命が消えていく— 　「この…

日ノ本の戦国大名島津家の英雄、島津豊久の血を引く布哇（はわい）育ちの少年、島津武尚。彼は米洲島津家の次男として生まれながら、豊臣幕府の敷いた法によって布哇の守護大名である筒井家に…

　時は21世紀。日本の南方の地方都市、竜ヶ島。倉山恭仁は、武士の末裔で警察の一族に三男として生まれる。彼は幼い頃から、親兄弟から愛を得られぬ過酷な境遇に育つ。そこには隠された彼に…

４０過ぎの独身教師・反村武士（はんむら　たけし）は校舎屋上から転落した。直後異世界召喚が行なわれ一命を取り留める。しかし、召喚途中で管理神を称する幼女に拉致された。そして愚痴を聞…

人も神も魔族も暮らす剣と魔法の異世界オルイン。 そんな世界で高等部二年の四人組に持ち込まれた依頼は、子供を護衛しながらとある町の異変を解決すること。 元復讐者の剣士ヴァン・マイウ…

刑場の手伝いを生業とする非人の娘、秋津。その刑場に、郡代見習いの検視役としてやってきた元宮恭太郎。秋津に叱咤されたことが切っ掛けで、恭太郎はいつしか秋津に想いを寄せるようになって…

　幕末、上野の戦の最中でしょうか。 　元服間際の武士の少年。父と兄とは、戦に出ています。 　或る夜、少年にその祖父が士の道を説きます。 　士（さむらい）としての覚悟とは？ 　ぎろ…

　太平の世、千住藩の城下街で、夜な夜な武士を狙う辻斬りが現れた。 　見回りに出ていた二刀流の侍は、その辻斬りに遭遇する。年端も行かない辻斬りが持っていた長刀は、彼に見覚えのあるも…

時は戦国。最強の足軽軍団を擁する武田家は連戦連勝を重ねていた。 世界の覇者となる日もそう遠くはないだろうと誰もが思い始めたその時、 破竹の進撃を続ける武田家の前に勇猛果敢な武士団…

噂の峠にやってきた僕らの前に待ち受けていることとは……

明治三八年（１９０５年）一月。激戦の末、旅順を陥とした日本軍であったが、その戦力は限界に達していた。一方のロシア軍は、猛将ミスチェンコ率いる１万のコサック軍団が、日本の補給路を断…

下級武士の主人公は、馬とぶつかりあっけなく死んだ。 だが姫神ティアの声に導かれ、気づくと不思議な場所に立っていた。そこには異世界の光の神々が待っていて……。 「死から世界を救っ…

維新がなって十年になろうとする頃、九州も南端、鹿児島で大きな火種が上がろうとしていた。 西郷隆盛、彼が起こそうとする大戦を前に、駆けつけんとする士族たち。 これは、そんな士族たち…

只ならぬ殺気を放つ維新志士。それを取り囲む4人の幕府側武士。血で血を洗う殺し合いが、今始まろうとしていた。

『天より堕とされた災厄があった。 　災厄は、地上に生きるものを破壊し、人々は逃げ惑い、 　いつしか世界は闇に包まれた。 　ある時、闇に光が射した。 　一筋の光は闇を切り裂き、…

島崎勇は、日野に出稽古に行ったおり、瓜泥棒の少年を捕まえた。武士の子だというその少年に、勇は剣を教え、誇りを持てと諭した。 だが幕末の京で、その少年は、勤皇派の商家を狙う盗賊に…

古くから恐れられてきた、妖魔、神虫。それが現れると天は闇に包まれ、地は揺れ、滝のような雨が降るといわれる。出会ったが最後、数百の軍をもってしても壊滅。生きて帰って来たものはおらず…