闇夜に散り咲く光の花

廿楽 亜久

プロローグ


 彼ほど血と死臭の似合う男はいない。


 そう言ったのは誰だったか。

 少なくとも、自分の血とも返り血かもわからぬほど血に濡れ、鬼がどちらかもわからぬ眼光の彼が、魔除けとして巷で人気が出始めているのを伝えたらどうなるだろうかと、口が裂けても言えない言葉を飲み込む。


「荒れてますね」

「ますね。どうにかしてくれません?」


 胡散臭い笑みを浮かべた彼の同僚が、ムリだと答えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る