「不吉」を含む小説

数年前の蔵出しを。 十三日の金曜日、仏滅。たまに実在する日付ですが、知り合いの談では本当に急患が多いらしく。

『真っ赤な花弁が脳裏に焼き付いて、離れないの』 夕暮れに佇む少女――紗羅が抱えていたのは、彼岸花の花束。 彼女の口から語られる、花束に秘められた出会いと絶望の物語とは――

アルビオン大英帝国に相並び立つふたつの公爵家、白雪公スノードロップ家と黒馬公セングレン家。 白と黒の両家が興された昔からずっと、白雪公と執事、そして黒馬公の三者は、古き因縁による…

自殺する少女を救った代わりに死亡した如月綾人（きさらぎあやと）は、流されるままに異世界転生を果たす。 だが神から『数奇な運命を辿る』と宣言されてしまった彼の人生は、産後一時間の…

　──ふと気がつけば『私』は、記憶喪失となっていた。 　失ってしまった過去の手がかりは、夢で見た『月の妖精』のごとく美しき少女だけであるが、その可憐な唇は何も語らず、ただ私をあざ…

日曜日の気怠い午後のこと。どこにでもいる四人家族の下に、一件の不吉な連絡が来る。近くの動物園から、一頭の熊が脱走したという。母親は気が気でなくなる。父親は暢気。妹は見てみたいなど…

二人の男は不思議な夢から目を覚ます。ひとりは不吉な夢から、ひとりは心地よい夢からの目覚めだった。 神奈川県内の大学に通う男は、卒業論文で関東大震災時における朝鮮人虐殺事件を調べ…

貴方は鴉について、どう感じますか？ 「鬱陶しい」と感じますか？ 「不吉だ」と感じますか？ 「愛しい」と感じますか？ 答えはありません。 感じ方は、十人十色なのですから。 し…

古い絵本にある、冥界の呼び名と咲くと不吉を呼ぶとされる花の名を繋げただけの名前を名乗る少女──シェオル・カレンデュラ。 彼女は同居人であり家主である、ヘンリック・エルンストの仕事…

僕は海を臨める崖際で、ある異様な光景を目にしてしまった。それは気が狂ったのではないかと思ってしまうほどの、怪しい踊りだった。ある一人の男がくるくると崖際で回りながら、踊っていたの…

誰かが死ぬと風が吹くといわれる、風を不吉な象徴にした街の話。 一話完結の作品です。 /*実はある漫画家さんの作品を元にしたモノです。小説家になろうにも投稿していますが、こちら…

起きてもすぐに夢だという認識ができない。飛び起きてもそれを夢だとは思っていなくてふとした日常で思い出して初めてソレが夢だと気づく。前歯が落ちた夢は特に多すぎるので前歯ないとか思っ…

　この世には、とても不可解で人の手に余る災いが存在している。 　それら不吉なる伝承、怪異、都市伝説、これらの災いが襲い掛かってきたとき、人は何をすればよいのか？ 　そう、祈るしか…

検非違使・成澄は剛毅ながら笛を奏でる風流人。美しい双子の田楽師と無位無官・胡散臭い巷の陰陽師とともに平安京の謎に挑みます！

「今日も君は、わたしのことを恨んでいるか？」 「もちろん。当たり前だろ、ルネ」 　お前は俺の、親の仇なのだから。 《弓張り姫》と呼ばれる魔女ルネと、ルネに親を殺され、拾われ育て…

死者の胸に花が咲く。そんな花達を、命花を墓とともに植える世界。彼は薔薇を主としたローズセンターで命花の世話をしていた。そこに、不吉の象徴とされる曼殊沙華を抱えた少女がやってきて…

僕は古里へ向かう不吉な旅の途中、束の間の微睡みの中で、その館を見た。館には美しい婦人がいて、ある兄妹の奇妙な物語を話し始めるのだった。

戦火を厭って故国を去った青年・磁翠は、滅びた魔術が未だ強く息づく街・ホーンへと逃避する。 彼は導かれるように街を彷徨い、享楽に耽り、やがて暗い地下のひと部屋を辿り着く。白い髪、銀…

軍部に反目したという理由から、軍を辞めさせられた”元軍人”飛行機乗り、ラシェット・クロードは今は個人依頼の郵便飛行機乗りをしている。 軍人時代に慣れ親しんだイカツイ戦闘機《クラフ…

全ての物事を不吉な方向に考える男子、天真爛漫で、物事をいい方向に考える女子。真反対の二人の面白おかしい不思議な恋