雨男と晴れ女

雨宮翠菜

第1話 雨男

春。虫も動物も人間も、うきうきしてしまうような季節、春。春は、始業式がある。僕は、始業式が苦手だ。一応、僕の紹介をしておこうかな。僕の名前は松島煉まつしまれん。現在高校2年生。つまり、高2の始業式なのだ。今回の始業式は。僕のクラスは2-B組。そろそろ、体育館に行かなくてはならない。ああ、移動中に不審者に襲われたら・・・。そんなことはないと思っていても、考えが頭をよぎる。そんな考えをよそに、無事体育館に到着。考えすぎたかな。

「それでは、始業式を始めます。最初に校長先生のお話。校長先生お願いします。」

生徒会員が言う。ああ、始まってしまった。

「えー、皆さん。おはようございます。今日から、1学期です。もう少ししたら、1年生が入りますね。2年生にとっては、先輩と呼ばれる日が来るわけです。・・・」

話が続く。ああ、貧血で倒れそう。そうなったら、頭を打って死んじゃうのかな。はたまた、記憶喪失?いやいや、全身まひかもしれない。うーん。

「それでは、皆さん、たくさん勉強して立派な大人になってくださいね。」

「ありがとうございました。それでは次に担任の先生の紹介です。」

そうこうしているうちに、次の話が始まった。

「2-A組の担任は佐々木先生。2-B組の先生は、新しく入った佐藤先生。2-C組は山本先生。・・・」

僕の担任は、新しい先生か。もし、この先生が暴力先生だったら。体罰があるのかな。弱い僕が犠牲になるかも。体育の先生だったら最悪だな。きっと、バシバシたたかれるんだ。

「それでは、これをもちまして、1学期始業式を終わります。」

僕の心配をよそに、何も起こらず、平穏に終わった。

「僕が、あなたたちの担任になりました。佐藤拓馬です。よろしくお願いします!」

担任の佐藤先生は30代前半の若い先生だ。

「受け持ちは社会です。2年生も担当するから、しっかり勉強するように。」

社会か。体育じゃなければ、大丈夫かな。

「じゃ、自己紹介をしてってもらおうかな。出席番号順に、名前と特技と部活を言ってってくれ。」

「じゃ、俺からだな。1番、赤井徹あかいとおるです!特技はサッカー。サッカー部に所属してます!」

「2番、荒木芽衣あらきめいです。特技はトランペット。吹奏楽部に入っています。」

「3番、岩本和樹いわもとかずきです。特技は野球。野球部に入っています!」

「4番、梅林崇人うめばやしたかとです。特技は卓球。卓球部に所属しています。」

どんどん、自己紹介が進んでいく。

「7番、木下山斗きのしたやまとです。特技は、工作。部活は入っていません。」

「8番、小林涼華こばやしすずかです。特技は、クラリネット。吹奏楽部に入っています!」

まだまだ続く。うちのクラスは20人。僕の出席番号は19番。最後の最後なのだ。

「17番、樋口奈々ひぐちななです。特技は走ること。陸上部に入っています。」

「18番、本田武ほんだたけるです。特技は、サッカー。サッカー部に所属しています!」

もう、僕の番か。失敗するよね。

「19番、松島煉です。特技は、特にありません。部活も入っていません。」

手に隠したカンペを読み上げる。うまくいった。

「20番、吉原朱莉よしはらあかりです。特技はバレー。バレー部に入っています。」

「よし、これで、最後だな。みんな、元気いっぱいで先生うれしいぞ!じゃ、今からプリント配るぞ~。」

めんどくさそうな、プリント。早く終わんないかな~。

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雨男と晴れ女 雨宮翠菜 @seiya

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