【カクヨムコンテスト11特別企画】特別選考委員・円城塔さんインタビュー!「円城塔賞」に期待するポイントとは?

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短編小説部門に「円城塔賞」再来!

12月1日(月)正午より応募開始となる「カクヨムコンテスト11【短編】」では、芥川賞作家・円城塔先生が選考委員をつとめる「円城塔賞」が設けられています。
400字~10,000字の小説作品から選ばれる円城塔賞の受賞者には、正賞:記念品&副賞:Amazonギフトカード1万円分を贈呈するほか、受賞作を「小説 野性時代」(2026年8月号)に掲載予定です。

▼「円城塔賞」の詳細は「カクヨムコンテスト11【短編】」応募要項から kakuyomu.jp

前々回の「カクヨムWeb小説短編賞2023」にてはじめて実施された「円城塔賞」は2,168作品もの応募を集め、受賞作『レモネードに彗星』は書籍化・重版と大きな話題を呼びました。

第二回目となる今回の「円城塔賞」ではどんな作品を求めているのか、円城塔先生にインタビューを実施しました。
応募しようと思っている人、短編小説部門にもチャレンジしようかと考えている人、必見です!

GUEST

円城塔(えんじょう・とう)

1972年生まれ。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞、星雲賞、『Self-Reference ENGINE』でフィリップ・K・ディック賞特別賞、『文字渦』で川端康成文学賞、日本SF大賞、『コード・ブッダ』で読売文学賞など受賞多数。アニメーション作品『ゴジラS.P』で脚本、SF設定等担当、翻訳にラフカディオ・ハーン『怪談』など。

円城塔先生インタビュー

前回の「円城塔賞」で感じた可能性

――「カクヨムWeb小説短編賞2023」にて実施した「円城塔賞」では、2,168作品ものご応募があり、円城先生ご自身のSNSでの発信もきっかけとなって大きな話題となりました。あらためて前回の「円城塔賞」を振り返ってみていかがでしょうか。

円城塔先生(以下「円城」):元々、公募賞というものがテクノロジーとあわなくなってきている、という感覚がありました。下読みの作業があって、最終候補作とされた数作品が審査員のところに渡される、という形式は、応募が紙であった時代には適切な方法であったと思うのですが、今では色々他のやりようがあるのではないでしょうか。
たとえば、多くの公募賞では基本的に応募作は公開されませんが、ウェブ小説の公募賞のように公開されていたってよいわけで、審査員はそれ全部に目を通すということでもよい。

それは勿論、きちんと読むことのできる作品の数はそれほど多くないわけですが、「一応眺める」ということはできなくもない(1000作くらいなら)。
そうした試みとして、非常に楽しかったですし、現在ウェブ上で書かれている文書について考え直す機会ともなりました。

―― 受賞作の『レモネードに彗星』は書籍化・重版されるなど大きな話題となりました。選考委員としてこの作品を選び、世に送り出された結果について、今、改めてどのように感じていらっしゃいますか。

円城:非常に稀な偶然が重なった、ということだと思います。
もともと、同時に選考されている他の賞とは異なった方向での受賞作を出すことを意識しましたが、是非読んでもらいたい作品、として選んだわけです(もちろん、自分の読み手としての趣味が大きく影響してはいます)。
ですから、楽しんで頂けるとは思っている──と同時に、それがまとまって書籍になるか、さらに売り上げにつながるかというのは全くわからないことでした。
そのあたりは、受賞者の灰谷魚さんが、(控え目にいって)めずらしい創作歴の持ち主の方であり、すでに手持ちの原稿が大量にあったことがうまく働いた結果です。
そういう意味で、結果的には、賞が灰谷魚さんを選んだというよりは、灰谷魚さんが賞を支えた、という形になっていて、ウェブ時代の賞とはそういうものなのではないかと感じています。

『レモネードに彗星』書影

▲受賞作を含む短編集『レモネードに彗星』(KADOKAWA)

読み手が面白いと感じればそれでよい

―― 第一回の結果を受けて「『レモネードに彗星』のような作品を書けばいいのでは」と考える応募者もいるかもしれません。今回、第二回の選考にあたって先生が期待する作品について教えてください。

円城:ことは小説なので、読み手が面白いと感じればそれでよいのです。 極端な話、他の誰にもわからなくても、選考委員が面白いと感じればよい。
ただ、公募賞として世に出るからには、ある程度多くの人が面白いと感じそうな作品を選んだほうが良くはないかという考えも当然湧きます。

また、「野性時代」に掲載予定であることや、ゆくゆくは紙書籍化を目指したいという「欲」もあるわけで、そういう意味では、紙書籍の中に入っていて不思議ではない作品を選ぶことになるかと思います。
そうして、その一作ではなく、今後数を書き続けていけそうかどうかも、やはり気になるところではあります。記念というよりは、持続的に続くなにかのプロセスとしたい、ということです。
でもしかし、ことは小説ということなので、面白ければここまでの条件なんて吹き飛んでしまうことも確かです。

「レモネードに彗星」風の作品を応募した場合にどうなるかというと──灰谷魚さんをあの方向性で超えることはかなり難しいのではないかと思います。

―― 400字から1万文字以内という応募条件の中で、「風呂敷を広げすぎて畳めない」あるいは「小さくまとまりすぎてしまう」といった短編ならではの悩みを感じられている方も多いかと思います。1万字以内という限られた中で物語を仕上げていくうえで、どのような工夫が考えられるでしょうか。

円城:結局のところ、8000字以上あたりの作品が主に競うことになるかと思います。
それは1シーン2登場人物が対話しているだけではもたない量でもあって、場面をきりかえながらお話を構成できることができるかということになるのではないでしょうか。
考えながら書く人は、書き終えた(もしくは分量があふれた)ところで、なにを一体どうしたかったのかを考え直して「書き直す」のも選択の一つではないでしょうか。

得意なことで勝負する

―― 受賞作は文芸誌『小説 野性時代』に掲載されます。この出口を意識したときに、作品に求められるポイントも変わってきますでしょうか。

円城:その出口の先まで見たいところではあります。
なので、「より大きな形でのまとまり」を予感させるものの方が有利にはなると思います。かといって、連作の一部分だけというのも困るのですが。
雑誌としてのフォーマットには強いものがあって、たとえば、会話の前後を一行開けて会話が続くような書式は、雑誌上でどう組むかという問題が生じます。組み直したとき、面白味が減ってはしまわないか、どうやっても読みにくくなったりはしないか、ということです。
どうしてもそうしたことを考えざるをえないので、ウェブに特化された小説はやはり不利とはなります。でも、それを超える勢いというものも当然、ありうるわけです。

―― 最後に、応募者に向けてメッセージをお願いします。

円城:どのみち、(誰よりも)得意なことで勝負するしかないんですよね。

――「円城塔賞」への応募を考えている作者の方々にとって大きなヒントになったと思います。ありがとうございました。


「円城塔賞」を含む「カクヨムコンテスト11【短編】」は、12月1日(月)正午から応募開始です。 「得意なことで勝負するしかない」という先生の言葉を胸に、ぜひ「円城塔賞」にチャレンジしてみてください。ご応募お待ちしています! kakuyomu.jp