第9回カクヨムWeb小説コンテスト 大賞受賞者インタビュー【ラブコメ(ライトノベル)部門大賞】

第9回カクヨムWeb小説コンテストでラブコメ(ライトノベル)部門大賞を受賞し、5月30日(金)に書籍版が発売されたモブ司祭だけど、この世界が乙女ゲームだと気づいたのでヒロインを育成しますの著者、レオナールDさんにお話を伺いました。

大賞受賞者が語る創作のルーツや、作品を書き上げるうえでの創意工夫などをヒントに、小説執筆や書籍化への理解を深めていただけますと幸いです。

第9回カクヨムWeb小説コンテスト ラブコメ(ライトノベル)大賞
モブ司祭だけど、この世界が乙女ゲームだと気づいたのでヒロインを育成します(レオナールD)

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──小説を書き始めた時期、きっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。
 中学生の頃からファンタジー系のライトノベルを読んでいました。
 自分で書いたことはなかったのですが、たまたまネットに小説を投稿して収益化できるサイトを見つけて、お小遣い稼ぎにやってみようかなと思い至りました。(ちなみに、カクヨムとは別のサイトです)
 投稿してみたら意外と好評で勢いのまま書籍化してしまい、「もしかして、自分は書ける側の人間なのか?」と思って、その後も執筆活動を続けるようになりました。
 影響を受けた作品は山門敬弘先生の『風の聖痕』という作品です。山門先生が亡くなられたことで未完となってしまった作品なのですが、バトル描写や主人公像の理想形として今も印象に残っています。

──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞かせください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?
 本作は『男性が乙女ゲーム世界に転生する』という点に特徴があります。
 乙女ゲームのモブキャラに転生した主人公のクラエルがヒロインであるレイナを拾い、不遇な境遇から救って育てていく。
 本来であればシナリオからフェードアウトしていくモブキャラであるはずなのに、ヒロインからの好感度は上がる一方。絆はどんどん深まるばかり。
 本来のシナリオで結ばれるはずの攻略キャラを置いてけぼりにして、主人公に全力でなつくヒロインの愛らしさが選考では評価されたのではないかと思っています。


▲『モブ司祭だけど、この世界が乙女ゲームだと気づいたのでヒロインを育成します』表紙


──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。
 作中でもっとも気に入っているのはヒロインのレイナです。
 愛らしく、一途で献身的な性格でありながら、嫉妬深くて主人公が自分以外の女性になびくことは決して許さない。清らかで心優しいのに、外堀を埋めるために腹黒いこともする……そんなヒロインを描かせていただきました。
 本当に綺麗な女性というのは外見的な『美』だけではなく、内面的な『強さ』も持っているものです。トゲもあるし毒もある、そんな女性が本当に美しいヒロインだと思っています。
 そんなヒロインに振り回される男達を書くのが最高の悦ですね。

──受賞作の書籍化作業で印象に残っていることを教えてください。
 書籍化作業をするにあたって、いかにクラエルの見せ場を増やすかに苦労しました。
 この作品はレイナが活躍する場面はとても多いのですが、そのせいでクラエルは目立たないポジションになりがちです。
 あまり活躍させ過ぎてもモブキャラというアイデンティティが崩れてしまう。だからといって、主人公が最初から最後まで目立たないまま終わるのもつまらない。
 試行錯誤を繰り返して……クラエルが地味な立ち位置のまま、レイナのために、町の人々のために必死になって戦って活躍する場面を追加させていただきました。

──書籍版の見どころや、Web版との違いについて教えてください。
 もっとも見てもらいたいのはレイナの可愛さですね。
 りいちゅ先生が素晴らしいイラストを描いてくれたおかげで、レイナの天使っぷりが爆増ししています。ぜひとも、ご堪能ください。
 また、本作のラストにはWeb版にはなかった事件をプラスしています。魔物の襲撃に立ち向かうクラエルとレイナの姿、大ピンチからの逆転劇は必見です。
 二人の戦いと、そしてその後のイチャイチャは初見の方はもちろん、Web版の読者も楽しんでもらえると思います。

──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんな中で、ご自身の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?
 最初に短編で投稿して読者の感想や反応を確かめて、内容を修正して長編として投稿しました。
 先に連載していた他の作品のあとがきで宣伝したり、XなどのSNSにリンクを貼ったりしています。
 投稿前にできるだけストックを溜めておき、連載を開始したばかりの頃は1日に2回更新するなどして多くの読者の目に留まるように努力しました。

──これからカクヨムコンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスやメッセージがあれば、ぜひお願いします。
 とにかく、難しいことは考えずに楽しんで書いてください。
 商業化を目指すのであれば読者の目を気にするのは当然かもしれません。しかし、どんな作品も最初の読者は作者自身です。
 書いている本人が楽しめなければ、最後まで書き続けることも難しくなります。
 時には厳しい感想をもらうこともあるかもしれませんが、あまり気にせずにのびのびと書いてみてください。

──ありがとうございました。



第9回カクヨムWeb小説コンテスト ラブコメ(ライトノベル)部門大賞『モブ司祭だけど、この世界が乙女ゲームだと気づいたのでヒロインを育成します』は5月30日(金)より発売中です!

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