カクヨムコンテスト10への応募者の皆さまと同様に、かつてコンテストに作品を応募し、見事大賞に輝いた受賞者にインタビューを行いました。
大賞受賞者が語る創作のルーツや、作品を書き上げるうえでの創意工夫などをヒントに、小説執筆や書籍化への理解を深めていただけますと幸いです。
今回は、第9回カクヨムWeb小説コンテストでライト文芸部門大賞を受賞し、2025年1月24日に書籍版が発売された『琥珀色の騎士は聖女の左手に愛を誓う』の著者、笹井 風琉さんにお話を伺います。

第9回カクヨムWeb小説コンテスト ライト文芸部門大賞
琥珀色の騎士は聖女の左手に愛を誓う(笹井 風琉)
──小説を書き始めた時期、きっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。
五年前ほど前、突然スマホゲームにハマりました。このままでは課金で身を滅ぼすかもしれないという危機感を覚え、何か他の趣味を増やそうと『趣味・お金がかからない』で検索して、最初に出てきたブログでおすすめされていたのが『小説を書く』でした。とにかくゲームから気を逸らせればそれでいいと思って始めた創作に、あっという間にのめり込んで今に至ります。
創作にあたっては、これまで読んできたすべての物語に影響を受けています。よく読んでいるのは有川ひろ先生、乙一先生の作品です。それから児童文学を大量に読んできたので、そのあたりは自分の根っこになっているのかもしれません。

▲『琥珀色の騎士は聖女の左手に愛を誓う』表紙。
──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞かせください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?
聖女と騎士の婚約、かつ女性読者様向けの恋愛小説を目指しながら、主人公が聖女ではなく騎士のほうというちぐはぐさが最大の特徴です。
どこを支持していただけたのかは、私がいちばん知りたいですが……。
受賞時の選評を見るに、自分の好きなものや書きたいものをどこまで王道設定に寄せていけるか挑戦したことが、今作では上手く働いたのではないでしょうか。また、応援コメントで登場人物全員(聖女の父を除く)を好きになったというお声をいただけたので、人物を魅力的に書くことはできたのかなと思っています。
──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。
恋愛ものでは両想いに至るまでのじれじれもだもだをこよなく愛していますので、メイン二人(特に騎士のほう)の気持ちが育っていく過程をとことん楽しんで書きました。始めと終わりで「主人公、ここまで変わったか」と思っていただけたら嬉しいです。
それから、今の流行でいけばざまぁされて途中退場しそうなサブキャラクターに、元気いっぱいエンディングまで活躍してもらいました。彼の成長ぶりも楽しんでいただけたらと思っています。
──受賞作の書籍化作業で印象に残っていることを教えてください。
担当編集さんからは、序盤の主人公に『性格悪そうに見えるのがもったいない』とたくさんご指摘をいただきました。実際そう見せるつもりで書いていたので狙い通りではあったのですが、私はヒーロー目線でこの物語を捉えてきて、担当さんはヒロイン目線(=女性読者さんの目線)で読まれているのだなと思いました。その時点で、このWeb版のままでは駄目かもしれないと強く感じましたので、改稿は一から書き直すつもりで取り組みました。
あと、この作品は書き上げてから二年以上経過しているのですが、担当さんから「このセリフの意図は?」と尋ねられたところがことごとく「私にも、何が言いたいのかさっぱりわかりません!」という状態でした。自分の脳年齢が心配です。
──書籍版の見どころや、Web版との違いについて教えてください。
情報の出し方や文章をかなり整理しているので、読みやすさは格段に上がっていると思います。それから、冒頭からWeb版になかったシーンが入りますし、他にも追加したシーンがいくつかありまして、Web版では掘り下げ切れなかったキャラクターに見せ場が増えました。物語の大筋は変わっていませんが見せ方を変えた部分がたくさんありますので、すでにWebで読まれた方にも、もう一度手に取っていただけたら嬉しいです。
何より、表紙が付きます! すごいです!

▲『琥珀色の騎士は聖女の左手に愛を誓う』主人公二人のキャラクターデザイン。
──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんな中で、ご自身の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?
この作品はカクヨムコンに向けて新規投稿したわけでもなければ、読者選考期間中にいただいた星もフォローも二桁と、他の受賞作品と比べて広く読まれたと言える作品ではありません。これまで公開してきた中で爆発的に評価をいただいた作品というのはなくて、タイトルを変えたりあらすじを変えたりといろいろやってきましたが上手くいかないなぁと日々悩んでいます。ですから、読んでいただく工夫は今後も大きな課題になりますが、唯一、物語を完結させることは自分の努力ひとつで成し得るので、そこだけはこれからも頑張っていきたいです。
──これからカクヨムコンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスやメッセージがあれば、ぜひお願いします。
創作活動に興味があるならぜひ気軽に書いてみていただきたいです。私のような浅いきっかけで始めた者でも、気づけば棚に分厚い専門書が並んでいるぐらいハマれました。完結させた瞬間に味わえる達成感はかなりクセになるなと個人的に思っています。
ただ、のめり込むと時を忘れてしまうので、寝食を削らないようお気を付けください。特に睡眠不足は後々身体に響きますし、朦朧として書いた文章は、主人公が靴の上から靴を履いてさらに靴下まで履いたりするので大変危険です。健康を第一に、末永く楽しく活動なさってください。
──ありがとうございました。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト ライト文芸部門大賞『琥珀色の騎士は聖女の左手に愛を誓う』は2025年1月24日より発売中です!
関連記事:カクヨム出身作家のインタビュー記事一覧
kakuyomu.jp


