概要
家族とは?家族と私の間に長年に渡って横たわる確執を見つめてみました。
私、柄本幸治は中学生の頃から長い期間、家族の元から離れて暮らしていた。そして大人になって、ようやく奈良の実家に戻ってきた。その時にはもう、母は病に冒されていた。
父は、私が小学生の頃から大阪・八尾で町工場を営んでいた。父は幼き日の貧乏の経験をバネに、根性一つで昭和を勝ち上がってきたような人だった。そして父はその過程で、そんな父なりの独特の精神論をも心に築き上げ、それだけを頼りに生き抜いてきたような人だった。長女・美佐は、私が幼き頃のことを思い出しても、どこか油断ならないところがあった。前にする人によって仮面を巧みに付け替え、特に大人の前では「いい子」で通っていたようだが、私に対してだけはいつもぞんざいな振る舞いばかりをするような、そんな気味の悪い姉だった。そんな美佐も、私が家族の元に戻っ
父は、私が小学生の頃から大阪・八尾で町工場を営んでいた。父は幼き日の貧乏の経験をバネに、根性一つで昭和を勝ち上がってきたような人だった。そして父はその過程で、そんな父なりの独特の精神論をも心に築き上げ、それだけを頼りに生き抜いてきたような人だった。長女・美佐は、私が幼き頃のことを思い出しても、どこか油断ならないところがあった。前にする人によって仮面を巧みに付け替え、特に大人の前では「いい子」で通っていたようだが、私に対してだけはいつもぞんざいな振る舞いばかりをするような、そんな気味の悪い姉だった。そんな美佐も、私が家族の元に戻っ
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