突き抜けて青一色!
爽やかすぎて胸がぎゅっとなるくらい、海! 海! 太陽!
主人公は何事にも意欲が湧かない無気力な若者で、ダイビングで深い海に真っ直ぐ体を沈めていくのが、唯一心の休まる時。
嫌なことから逃げるように、不都合なことは考えないように、海に潜ってばかりの日々でした。
しかし、父の勧めで渋々、水族館のドルフィントレーナーの試験を受けます。
イルカに出会い、ひとつひとつ新しいことを覚えるうち、投げやりだった考え方がどんどん前向きに変わっていきます。
それは、単純に主人公が成功体験を得ているからではなく、パートナーのイルカとの絆があって、2人で新しい世界を進んでいくからこそ楽しい。
何かに挑戦して成功するごとに、読者も、「やった! すごい!」と飛び跳ねて喜びたくなります。
作品のタイトル「Blind Blue」が表すものは、イルカにとっての悲劇でもあるし、ドルフィントレーナー達にとっては危機ですが、その子が世界でたった1匹のかけがえのないイルカになる瞬間でもあります。
そして主人公もまた、その子を支えられる世界でただ1人のトレーナーになって……
障害はかわいそうじゃなくて、他の誰にもないオリジナルの自分になれるのだと、綺麗事抜きに確信できます。
ショーの描写は、圧巻です。
読み進めるごとに、いますぐ水族館に行きたくてうずうずしちゃう感じ。
トレーナー同士の会話も楽しく、全員が底抜けに明るくて、「働く青春!」って感じです。
海や水族館が好きな人はもう絶対読んでくださいなんですが、わたしは、何かハンディキャップやコンプレックスを抱えている人に読んでいただきたいです。
きっと勇気付けられます。
最後に、レビューというより個人的なお礼になりますが、ツイッターをやめてしまって他に書くところがないので、ここに書かせていただきます。
書籍版『ドルフィン・デイズ!』のおかげで、本当に人生が変わりました。
15年間やりたくてもやりたくてもどうしてもできなかったことが、蒼衣くんとビビちゃん達に勇気づけられてできるようになって、新しい夢も出来て、毎日楽しいです。
多分、おばあちゃんになって死ぬまで、一番好きな本は何かと聞かれたら『ドルフィン・デイズ!』だと答え続けると思います。
旭さんには感謝してもしきれません。素敵な作品を生み出してくださり、本当にありがとうございました。
書籍化出版された『ドルフィン・デイズ!』を先に拝読し、その後こちらを拝見させていただきました。
同じところ、違うところ。
なるほどこんな変化があったのか。
新キャラクターの追加で、ただ職場とのやり取りだけではなく、水族館のお客さんとの繋がりまで深められたことで、やはり出版されるとこんな化学変化が行われるのかという勉強にもなりました。
どちらを先に読むかはそれぞれですが、こうやって読み比べができる幸せを堪能させていただきました。
そして実は書籍でも涙ぐみ、こちらの方でもうるっとくる感動作。
わかっていてもやっぱりグッとくるところはグッとくるのです。
違いを楽しんでいただければと思います。
誰もがなんとなく知ってはいるけど、具体的には何も知らない。
そんな「ドルフィントレーナー」という仕事を題材にしているのがこの作品です。
海の描写がとても綺麗で、読んでいるだけで水に揺られるような感覚になります。
爽やかな(でもちょっと偏屈なところもある)主人公が、様々な人(とイルカ)と触れ合いながら、成長していく。
やはり成長するキャラクターというのは好感を抱かざるを得ません。
そして、ここからは書籍版の『ドルフィン・デイズ』について。
(こちらのカクヨム版は少し前に読ませていただいていたのですが、今回改めて書籍版も読んだので、そちらについても少しだけ触れます。)
大まかなストーリーラインはもちろん変わらないのですが、やはり編集者の手が入ったからか、全体的にスラスラと読みやすくなっています。
読みやすいというのは、つまり没入感の向上に他ならず、さらにはちょっとした追加キャラクターもいて、それがまたラストの感動を後押しします。
カクヨム版を読んだ方にも、書籍版はオススメです!
自分は書籍版でもまた泣かされました。(笑)
書籍化してすぐに購入しました。
読み手もともに物語の海に深く潜り、水圧とともに水面が近づき、景色が一転し青空に放たれる——カクヨムで初読のときは、想像を超えたスケールで詰め込まれたエンターテイメントに夢中になりました。
加筆され書籍化した『ドルフィン・デイズ!』は、新しい○○○も登場し、より多角的な目線で、鮮やかかつ味わい深い作品になっています。
改稿前であるこのBlind Blueの題名も、わたしには捨てがたく……もとの形をこうして残していただいて、ありがたいです。あらけずりな勢いも、この作品においてはモラトリアムと勢いと爽快さが際立つ方に働いていて、非常に魅力的です。
就職先も決まらないままダイビングに没頭する日々を送っていた青年が一頭のイルカと出会い、初めは乗り気でなかったドルフィントレーナーと言う職業に魅せられて行く様を描く青春ストーリー。
陸上での主人公の心理描写はどこか斜に構えていて、歳相応にひねくれていて、大人の世界を冷めた目で見ていて。
反目も迎合もできない、どこか所在無い、所謂難しいお年頃である。
しかしその印象は水族館のドルフィントレーナー採用試験でバディを組んだイルカのビビと水中で『遊ぶ』場面で一変する。
本作の一人称はこのためにあると言っていい。
彼の心象風景が一気に鮮やかに色を帯び加速し始めるシーンに、気付けば一体となってビビと追いかけっこをしている自分が居るのだ。
都会の夏に清涼をもたらす水族館。その花形と言えば何といってもイルカとトレーナーが様々な芸を見せるイルカショー。
観客の歓声に包まれる華やかな舞台の魅力は、高度に訓練された技だけで支えられているわけではない。なぜ人はイルカショーに歓喜するのか。
なかなか誰かの役に立つことのできない、若者のもどかしさ。動物といういつも同じではあってくれない相手を扱う難しさ。自分の青春をかける価値のある仕事を見つけた主人公が、大切なもののために仲間と共に自分たちのすべてをかけて奮闘します。
読めば必ずあなたの目にも、海の水のような液体が溢れてくることでしょう。
働くということは、単に労働の対価を貰うことでもなく、単に人のために尽くすだけでも成立しない。イルカのトレーナーという職業を通して、プロの仕事人の奥の深さとその魅力を伝える感動のストーリーです。
島育ちの私にとって、海は身近なものだ。
とはいえ、海は、生きる糧を得るための場所であり、
遠方とを結ぶ交通の幹線であり、遊び場でもあって、
ダイビングや水族館といったレジャーとは無縁だった。
海の、馴染みのない魅力を見せてもらったように思う。
主人公、蒼衣は頭もいいし体も強い、いわばハイスペックだが、
プライドの高さゆえに就職活動に全敗した上、バイトも続かない。
海に出ては素潜りで青く暗い世界へ入り込むばかりの蒼衣に、
ある日、父親の伝手でドルフィントレーナーへの道が示される。
過酷とも言える水族館の業務の様子、人好きのする仕事仲間、
イルカたちの賢さと可愛らしさ、次第に変化する蒼衣の意識。
しなやかに整った筆致で紡がれるストーリーは爽やかで力強く、
頑なだった蒼衣が失敗しながらも前に進む姿に胸が熱くなる。
本作を3部構成に分けるなら、ドルフィントレーナーになるまで、
水族館勤務での奮闘、イルカのビビとの絆の再確認、となるが、
タイトルに冠せられた「blind」の意味が明らかになる第3部は特に、
小説ならではの葛藤する心の声が強く描かれ、迫力に満ちている。
海のblueと青春のblue、2つの青い魅力が詰まった作品。
暑い夏にピッタリの、全力投球で若々しいお仕事小説。
ラストまで読みましたので、レビューの書き直しになります。
この作品は、仕事を通じて何かを読者に伝えるという要素を土台にして、もはや仕事の関係とは言えないレベルまで、人とイルカの絆を描いた作品です。
注意点として、出だしの主人公のキャラが、人によって評価が分かれるかもしれません。しかし、そこで読むのをやめるのではなく、仕掛けになっていると思って読み進めてください。きっと意味がわかると思います。
オススメポイントは、イルカショーです。ネタバレを避けるため、内容には触れませんが、後半のイルカショーで、メインのイルカが登場すると同時に、誰もが涙すると思います。ラストの演出は、鳥肌が立つレベルだと思いました。
素敵な作品と、まるで本物のイルカショーを観ているような楽しい時間を提供していただき、ありがとうございました。
とにかく感動して泣きたい方、楽しい時間を過ごしたい方には特にオススメですよ!!
青年の成長を、力強くも繊細な筆致で見事に描き切った感動の物語です。
3個の★では到底お返しできないほど、素敵な作品を読ませていただいたという有り難さが果てしないです。
盛大にぶちかまされるイルカショーの描写がとにかく素晴らしいのです。迫力のある生命の煌めきが、躍動する一文字一文字に強く息づいています。
水族館で実際のショーを何度も見てきたはずなのに。主人公蒼衣くんの目線を通して描かれる文字の中のイルカショーのほうが、実物の何倍も輝いて見えました。臨場感などという言葉ではとてもいい表せない。胸に迫ったのはただ純粋な感動でした。
どうしてこれほどまでに胸を揺さぶられたのか。読み進めると、その理由が分かります。それが分かった今なら、実際のイルカショーも敬意を持ってもっともっと楽しめると、自分の中の世界が広がっていくのを感じました。
こういう気持ちこそ、お仕事小説を読む真髄ではないかと思い至り、胸を打たれました。お魚欲しくて芸をしてるんでしょ、と思っていたこれまでの自分を引っ叩いてやりたいっ!!
完結を待たずにレビューをしてしまうことをお許しください。微力ながらも全力で、「働くヒト」小説コンテスト応援の意を込めて。
この作品は、少々プライドが高いゆえに就職活動に失敗してしまった主人公がドルフィントレーナーになるという物語です。近年、せっかく大学を卒業しても就活で躓きニートやフリーターになるという方が多いと聞きますが、だからこそこの作品に共感できる読者さんは少なくないと思います。
最初は小馬鹿にしていた仕事、ドルフィントレーナーにのめり込んでいく様子が良い意味で生々しい。主人公の中にある葛藤と、それを押し流すような感情の流れ。そして、主人公が変わっていく様子が読んでいて凄く気持ちがいい。ドルフィントレーナーというかなり特殊なお仕事をテーマにしながらも、芯は王道なのでどなたでも読み易いと思います。
それから、この作品の作者さんは描写がとんでもなく上手い! 美しいだけではなく、冷たさと息苦しさというある種の残酷な一面を持つ海やプール。それから愛くるしくも人間など簡単に吹き飛ばす力を持つイルカ。どれもがまるで映像を見ているかのように思えます。
そして、何よりも面白い! 続きが気になって仕方がない。レビューを書いている現在のランキングが信じられない、どうしてこの作品がこんなに下にあるの。埋もれた名作とはこのことか。
とにもかくにも、一人でも多くの読者さんに見て欲しいと思えた名作です。最後は本当に感動出来ます!
水族館って癒されますよね。
イルカ、可愛いですよね。
ドルフィントレーナー。
ショーの本番だけを見てるとまさに花形! な職業ですよね。
この作品ではそんな彼らの知られざる舞台裏が、ひとりの青年の目を通して語られます。
だけど単なるお仕事紹介ではないのです?
主人公蒼衣の滲み出る「ハイスペック就職浪人生」感。
まさかの挫折からの、目覚める情熱と、イルカたちへの想い。
次第にチームの一員として認められていく喜び、高揚感。
そしてまた、大きな試練。
蒼衣の心情の変化と成長を、自然と追体験できる物語展開に、ドキドキワクワクが止まりません!
これぞ、お仕事小説の醍醐味!
そしてこの作品、イルカたちとショーの描写が格別なのです。
イルカはやっぱり賢くて可愛い!
だけど人間には決してかなわない圧倒的な力強さには、時に不安や怖さも感じさせます。
ショーの様子は臨場感に溢れ、煌めく水しぶきが見えるかのよう。
かっこいい!
5月27日現在、物語はクライマックスです!
蒼衣とビビの絆の物語、最後まで応援しております!