第53話  ボクが一日車掌?!





 試練に合格したリーチェとカナリアはかなり体力を使ったので、ナターシャとリィラから治療を受ける。



「痛みは大丈夫ですか?」



「大丈夫だよ、ありがとね」



「私はリーチェが無事なら、それで良いんです」



 ナターシャは涙目になりながらリーチェを抱きしめ、頭を撫でる。



「痛みは癒えたな?ついてきたまえ」



 治療が終わったのを確認して、【勇者の遺産】がある場所まで案内する。



「見たまえ、これが【勇者の遺産】だ」



「これは...弓?」



 レギオスが案内した先に有ったのは、黄金の輝きを放つ弦無しの弓だった。



「怯えることは無い、コイツはエネルギー切れで起動しない」



 アイ、あれが何かわかる?



⦅鑑定が完了しました、こちらをご覧下さい⦆




武器名:【帝釈天】

特徴:全長224cm・重さ800g

   材質(緋緋色金)

備考:勇者が錬金術で製作した金属製の機械弓。

   弓幹の内部にエネルギー充填装置が内蔵さ

   れており、使い手に宿る電力/魔力/神気

   のどれかを流し込む事でエネルギーの装填

   が完了。

   装填完了時に引き金を引けば砲身から超高

   熱量の熱線が発射され、標的を焼き尽くす

   機械兵器である。




 とんでもない物発見したんですけど?!



⦅勇者様も何故こんな物を造ったのか、わからないですね⦆



「持っていくと良い、君は試練に合格したのだから」



「ありがとうございます」



「これで兵器開発の研究が進むね!」



「ですね、早くご主人様の元へ持って行きましょう」



 こうして【勇者の遺産】である【帝釈天】を手にしたリーチェ達はロックの雪山を下山し、ダダン小国の娼婦街に寄っていく。



「そっちの小娘は金貨100枚だが、そっちの女は銀貨五枚だ」



「売った!」



「毎度あり」



 特に値上げ交渉もせず、そのままビビアンとエリファスを売り払った。



「覚えていろ、妾の子リーチェ!!!

平民の子の分際で騎士である私だけに飽き足らず、エリファス殿下にまでこのような仕打ち!

王族に楯突いてタダで済むと思うな!!!」



「そうですわ、血を分けた姉である私に逆らった代償は高くつきますわ!!!」



「なあ、コイツらぶっ殺す?」



「ダメだよカナリア」



 これから娼婦として売られるような態度に見えない二人に、カナリアはイラついてしまう。



「売られたお前らは王女でも騎士でもねぇ、大人しく慰み物になるんだな」



 こうして悪辣な第三王女と護衛の女騎士は、ドナドナされていった。



 哀れだなw



⦅悪い顔していますよ?⦆



「さて、駅に戻りますか」



 ダダン小国に建設された駅で列車に乗って、出発するのを待つと一人のメイドが声をかけてきた。



「リーチェ様ですね?ご主人様から伝言を預かっています」



「君は?」



「申し遅れました、アームストロング公爵家のメイドのナナリーと申します」



 丁寧にお辞儀をして自己紹介をする。



「それで伝言って?」



「はい、【待機していた車掌が体調を崩されたので、今日は一日リーチェが車掌をやれ】とのことでございます」



 突然車掌の仕事を押し付けられた?!無茶振りにも程があるだろ!!!



⦅相変わらずの破天荒ぶりですね⦆



「安心してリーチェ、運転の仕方は知っていますので」



「なんでナターシャが?!」



「小さい頃にエンデュミオンで体験をしましたので、今でも鮮明に覚えています」



 はは、なんでも経験だなー



⦅棒読みになっていますよ?⦆



 という訳でナターシャの補佐を受けつつ、車掌をやることになった。



「やあ、君がこの列車の車掌で間違いないかい?」



「はい、さっきなりました」



 出発準備していると突然、不思議な青年がリーチェに声をかける。



「君に依頼したいことがあるんだけど、少し時間を貰っても良いかな?」



「構いませんが...貴方は?」



「これは失敬、ボクの名前は♯3だ」



 シャープスリー?変わった名前だな?



 ⦅不可思議な方ですね⦆



「ボクはリーチェです、それで依頼とは?」



「このミッツェガルド王国から盗...持ってきた荷物を貨物車に乗せて運んで欲しいんだ」



「ず、随分大量の箱ですね」



 今盗んだって言いかけなかった?!



⦅間違いなく言いかけてましたね⦆



「でも、今からですと発車が遅れるのですが...」



「そこをなんとか頼むよ〜、危ない橋を渡ってようやくここまで運び出せたんだ」



 う〜ん、安請け合いして良い依頼じゃないからな〜。



⦅同感です、そしてこの青年は何か怪しいです⦆



「よしわかった、達成報酬は白金貨三千枚を確約しよう!なんなら契約書を発行して印鑑も押しておくから、ね?お願い!」



 どうしよう...。



「私は受けて良いかもしれません」



「ナターシャ?!」



 以外にもナターシャが前向きな提案をした。



「今この鉄道は立ち上げたばかりで収益もまだ微々たる物...。

リーチェ、この大口契約はまたと無いチャンスです」



「...分かりました、どこまで運びましょう?」



 少し考えたが、ナターシャの言葉も一理あったので請け負うことに決める。



「サニー聖国だ、重要なものだから早めに頼むよ」



 サニー聖国か...エンデュミオンに途中で寄りたかったんだけど、どうしよう...。



「あの、私がこの弓をご主人様の元まで持って行きますので、私一人でエンデュミオンに降ります」



「大丈夫なの?」



「はい、マスタークラスの冒険者なので」



 リィラの実力なら、【勇者の遺産】を死守しながら運ぶのは問題ないだろう。



 リーチェはリィラを信じることにした。



「分かりました、すぐに貨物車を一台手配します」



 すぐに駅員を呼んで貨物車を一台用意して貰い、荷物を全て積んで最後尾に連結し出発の準備を終えた。



「じゃあ行こうか」



「はい、行きましょうリーチェ」



「「出発、進行!!!」」



⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:邇弍芸ニニギ 乙葉オトハ

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳

性別:女性

職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】



名前:アデル

年齢:18歳

性別:女性

職業:冒険者・ビーストテイマー

服装:真夏のヘソ出しコーデ

称号:【最高に煌めく超新星】

隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】

冒険者開位:ノーマルクラス



名前:リーゼロッテ・P・アームストロング

年齢:35歳

性別:女性

職業:学院教授・博士号錬金術師

服装:研究白衣

称号:【君主ロード】【焔雷の錬金術師】

隠れ称号:【唯我独尊なドS女公爵】

二つ名:【紅蓮焔雷公】

地位:公爵

武器:【バレル・ブラスター】


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る