第50話 悪辣な第三王女
リーゼが企画した私鉄起業計画の開始から一ヶ月が過ぎた。
リーゼは資産の殆どを使い果たし、【元老院】から下ろして貰った予算とリーチェ達の資産の一部を使ってなんとか借金をせずに起業資金を集めることに成功する。
工事の方は各国の商会や工場からの強い要望と、職人達全員による奮闘の甲斐もあって予想以上のスピードで完了してて車両の製造も終わっていた。
「遂に完成だ!」
僅か一ヶ月という超スピードで整備された鉄道と、製造された車両を見て感動している。
これ、本当に作る意味あるのかな?
⦅リーゼロッテ様の自己満足感が半端無いですね⦆
ちなみに、立ち上げた商会の名前は【明け星の導き・鉄道商会】となった。
開業したばかりなのでしばらくの間は収益の殆どが車両の維持費や整備費、資材や備品の為の経費や職員への人件費など諸々の運営費がかかる為、株主兼役員であるリーチェ達の役員報酬及び配当金はまだまだ先の話になっている。
「さて、線路と車両の完成、商会の設立を記念して...乾杯!!」
「「「かんぱーい!!」」」
商会設立後の打ち上げは、リィラを含め五人で盛り上がった。
「クー!」
もちろんブロントちゃんも忘れていない。
「2ヶ月前までその日暮らしの冒険者だったのに、まさか商会の役員にまでなるとは...」
⦅人生って、何があるかわからないですね⦆
リーゼが破天荒過ぎるのもあるけどなぁ!
「明日は試運転だ、ダダン小国までノンストップで行くぞ!」
「楽しみだね、リーチェ!」
「うん、ボク達のデザインした車両が完成したからね!」
「それはとても楽しみです♡」
そして後日、出発の準備を終えたリーチェ達はそのまま駅に向かった。
※(ちなみにリーゼとブロントちゃんは研究所でお留守番です)
「「な、なんじゃこりゃーーーーー?!」」
駅に着いたリーチェとアデルは車両を見るなり、大声で驚いてしまう。
「リーチェ、アデル、どうしたのですか?」
「「デザインが全然違うのに変わってる!!!」」
そう、リーチェとアデルは可愛い感じのデザインにしようとして『原宿系』をチョイスしたのだが、製造されたのは『サイバーパンク系』のメカニックなデザインの列車だった。
「何処のどいつだー!勝手に仕様変更をした奴は!」
(そういえば、あのゴリラが車両デザインの仕様変更をしていたのすっかり忘れてました)
とんでもないビフォーアフターに憤慨する二人の間にナターシャが割って入った。
「まあまあ良いではありませんか、せっかく造って下さったのですから」
「まあ、ナターシャがそう言うなら...」
「う、うん...」
二人はぎこちない感じで納得する。
(ねえリーチェ、なんで強く言わなかったの?)
(ナターシャは怒ると怖いんだって!駄々捏ねたら絶対雷が落ちてくるよ!)
⦅コテコテですね⦆
四人は車内に乗車し、車掌に合図を送って出発させる。
「速いね」
「これが快速急行...速い!」
「ある程度速度が高くても、揺れが少なく頑丈に設計してあるとのことです」
走行は順調、景色は速過ぎて見え難いが快適な列車の旅を楽しむ事にした。
「のり弁美味い!」
「リーチェ様...それで3つ目ですよ?」
⦅最近食べ過ぎな気がします⦆
「リーチェは食べてるのが可愛いんだよ♡」
みんなでそれぞれの弁当を食べながら、歓談して暇をつぶしていると車内からアナウンスが聞こえてきた。
『まもなく〜、ダダン小国〜、ダダン小国〜、お出口は右側でございます』
3時間でようやく目的地に到着した。
「意外と速く到着しましたね」
「凄いね、たった3時間だよ?!」
ボクの居た世界の新幹線とほぼ変わらない速度での到着...、異世界の錬金術も侮れない。
車掌さんにお礼を言って下車し、そのままロックの雪山まで止まらず進むことにする。
「ここがロックの雪山?!寒過ぎない?」
「コートを予め用意しておいてよかったよ...」
リーチェは【風纏い】がある為、気温の影響を受け難いが他の三人は雪山用のコートを羽織らないと寒さで体温が急激に下がるので、エンデュミオンで予め用意していた。
前来た時と別の場所だね?いきなり洞窟スタートなんだ。
⦅前回は南から入りましたが、今回は北側からですね⦆
洞窟にしては明る過ぎない?
⦅それはリーチェ様が【風纏い】を使っている影響ですね、【神気】で光を発しているので明るくなっております⦆
ボクが明るくしてたのか!
⦅奥に進みましょう、【勇者様の遺産】がありそうな場所の目星はマップで表示しておきます⦆
ありがとうアイ。
「さて、ここに眠ってるらしき【勇者の遺産】を探すとするか!」
「「おー!」」
(そういえば、アレってここの何処に隠しておいたんでしたっけ?)
そして四人がしばらく探索していると、洞窟の向こう側から別の足音が近づいて来た。
「貴様達、何者だ?」
洞窟の反対側から、騎士の鎧を装備した厳ついオッサンが三人現れた。
「アンタ達こそ何処の国の騎士だよ」
「俺たちはミッツェガルド王国の騎士だ」
なんでこんなところにクソ王国の騎士がいるんだ?
「こんなところで上玉の女が四人も居たとはラッキーだぜ、全員俺たちの性欲処理に付き合って貰うから抵抗するなy」
ザシュッ!!!
騎士達が言い終わる前に、リィラが全員の首を斬り落としてしまう。
「早い早い、手を出すの早いよ!」
「失礼しました、女の敵は被害が出る前に処理していましたので...」
さ、さすがマスターランクの暗殺者...手慣れている。
「はは、命の価値って...儚いんだね」
「おーい、戻ってこいアデルー!」
あっさりと殺されてしまった下衆騎士を見たアデルは、遠い目をしていた。
「さ、行きましょう」
「えぇ、早く【勇者様の遺産】を探して教会で保管しなくては」
ナターシャはブレてねぇ。
そして四人が奥へ進み続けていると、広い場所に出た。
「広いね」
「こんな場所もあるんだ...」
「せっかくですし、ここで休憩と致しましょう」
ナターシャの提案を受け、四人はキャンプを立てて休憩を取る。
この雪山の中で、本当にビーム兵器なんて隠されてるのかな?
⦅それはなんとも言えないです⦆
しばらく休憩していると、誰かの足音が近づいてきた。
また騎士かな?
「全く、あの三人は何処をほっつき歩いているのよ!」
「申し訳ございません、本国に戻ったら厳しく言っておきます」
「当たり前でしょ?騎士の癖に護衛もまともに出来ないなんて最悪よ!」
そんな感じのやりとりをする女性が二人、別の方からこの広場に近づいていた。
「あら?随分と広くて明るい場所に出たわね」
「えぇ、一体何が...殿下、あそこにキャンプを立てている下民がいます」
「あら、丁度いいわね」
そして広場に入って来た女性二人は、リーチェ達が立てたキャンプまで近づく。
「ちょっと、そこの下民」
「...」
なんか言ってるけど無視しよう、関わったら絶対碌な事にならないのは目に見えている。
「なんだその態度は!貴様ら、ミッツェガルド王国の第三王女であるエリファス殿下に対して無礼であるぞ!!」
シカトを決め込んで居たら女騎士らしき人物が怒鳴り声を上げてきた。
知りたくなかったけど、やっぱり血縁だった!
何度目のエンカウントだよ、いい加減にしろ!
「私はエリファス・ビヨンド・ミッツェガルド...偉大なるミッツェガルド王国の第三王女よ、跪きなさい!」
「絶対に嫌だ」
「なんだと貴様!?」
リーチェのタンパクな拒絶回答を聞いた女騎士は、殺気と威圧の籠った声で怒鳴り出す。
「あらあら、私のリーチェになんのご用でしょうか?」
するとリーチェの横から、ナターシャが凄まじい圧力を放ちながら近づいて来る。
「リーチェですって?」
エリファスはリーチェという名前を聞いた途端、表情が変わっていく。
「あぁ、貴方がそうなのね...ユリウスお兄様を殺した妾の子!!!」
⦅報告、ステータスを更新します。
お読み頂き、ありがとうございます⦆
名前:リーチェ
年齢:15歳
性別:女性
前世の名:
職業:冒険者
服装:春夏秋冬のコーデ
称号:【妖精騎士】
冒険者階位:アルティメットクラス
武器:【妖刀村雨】
加護:【アイとの交信】
【天照大神の寵愛】
【妖精騎士の証・風纏い】
名前:ナターシャ
年齢:22歳
性別:女性
職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女
服装:聖女の修道服
資格:錬金術師一級・冒険調理師一級
称号:【導きの聖女】
隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】
冒険者階位:アルティメットクラス
武器:【アダマスの大鎌】
名前:アデル
年齢:18歳
性別:女性
職業:冒険者・ビーストテイマー
服装:真夏のヘソ出しコーデ
称号:【最高に煌めく超新星】
隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】
冒険者開位:ノーマルクラス
名前:リーゼロッテ・P・アームストロング
年齢:35歳
性別:女性
職業:学院教授・博士号錬金術師
服装:研究白衣
称号:【
隠れ称号:【唯我独尊なドS女公爵】
二つ名:【紅蓮焔雷公】
地位:公爵
武器:【バレル・ブラスター】
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