第39話  双子座の試練





-アトランティス第六区画・ターミナル駅-




「そろそろこの時間帯に来るはずだよ」



 ターミナル駅に着いた四人は列車が来るまで、待ちぼうけを喰らっていた。



「遅すぎたお陰で海軍おかきを5袋も開けちゃった」



「食べ過ぎだよ?!」



「そうだ、駅弁買おうよ!ボク唐揚げ弁」



「まだ食べるの?!」



⦅その内本当に太りそうですね⦆



 リーチェの暴食と、アデルのツッコミが冴え渡っていると漸く列車が到着する。



 おお!カッコいいじゃん、明治の鉄道って感じ。



⦅デザインは勇者様の趣味だそうです⦆



 四人は車掌に切符を切ってもらい乗車する。



「中は思った以上に快適!」



「空調設備が整っていますので、ノンストレスな列車旅が出来るんですよ」



 しかもバーテンカウンターまである!金貨一枚で海軍おかきが食べ放題なのもサービスいいよね。



⦅そろそろ控えて下さいね?^_^⦆



 うぐっ!



 汽笛の合図で列車が出発し、走り出す。



「あれ?低速なの?」



「なるべく揺れが起きないよう工夫されているのと、事故防止にも繋がるのですよ。

特別急行と違ってゆるり旅をしたい方向けですので、サービスの充実と安全運転を心掛けているんです」



 へー、色々と考えられているんだ。お客様目線に立って運営してるのかな?



⦅肯定、全て勇者様の教えの元、健全な運営がなされています⦆



 最早勇者という存在が何者なのか、わからなくなってくる...。



 列車に揺られながら移動すること数時間、途中の駅で2時間のメンテナンスに入ることとなった。



 次々と降りる乗客達は伸びをしながら駅を出て、散歩に行った。



「私達も何処かへ散歩に行きませんか?」



「良いね」



 四人が駅の近くにある湖を散策していると、一人の人物に声を掛けられる。



「あら、貴方はグロリアちゃんのお弟子さんね」



「えと、どちら様で?」



 アデルは不思議な女性に質問する。



⦅警告、【妖精将】クラスの【神気】です⦆



 え?!てことは...



「はじめまして、私はエキドゥナ。

【妖精軍12星将】が一人、【双子座のエキドゥナ】と申します」



⦅ステータスを開示します。

こちらをご覧下さい⦆



名前:エキドゥナ

年齢:1200歳

性別:女性

職業:冒険者

称号:【妖精将】

二つ名:【双子座のエキドゥナ】

冒険者階位:マスタークラス

加護:【妖精将の証・極天の流星雨】

   【双子座の導き】



 グロリア姉さんの同僚がこのタイミングで?!てことは...



「早速ですが、試練のお時間です♪」



 やっぱりかー!



「きょ、拒否権は...」



「ありません^_^」



 ですよねー



⦅当たり前です⦆



「あ、あの!」



 エキドゥナのリーチェのやり取りに、アデルが割って入る。



「妖精さんとか、試練とか、よく状況が飲み込めないですけど...その試練、アタシにやらせてください!」



「・・・命の保障はないわよ?」



 アデルの無謀な一言に、エキドゥナは圧を込めて言い放つ。



「覚悟の上です!アタシ、リーチェやナターシャの足を引っ張りたくないんです!

お願いします、稽古をつけて下さい!」



「...そこまで仰るのであれば、お止めはしません」



 だ、大丈夫かな?



⦅リーチェ様が受けた試練はだいぶハードルが高かったので、心配にはなりますね⦆



「アデル、無理はしなくて良いんだよ?」



「大丈夫です!アタシを信じて下さい!」



 信じたいけど...それでも心配だよ〜。



⦅これは重症ですね⦆



「頑張って下さいね、アデル」



「はい!行ってきます!」



 リーチェが心配するのを他所に、ナターシャは激励して送り出す。



「列車のメンテナンスまで時間も押してますので、手短に済ませます」



「はい、お願いします!」



 元気よくお辞儀をし、試練に挑む。



「内容は簡単です、今から私が契約獣を呼びますので、貴方はその獣に騎乗してあの山を一周して貰います。

振り落とされずに此処へ戻る事が出来たら合格、失敗して振り落とされたら真っ逆さまに落ちて死んでしまいます」



「分かりました!」



 うん、凄く簡単だけど凄く難しいやつだ!



⦅以前の試練が嘘みたいな厳しさですね、冒険者になりたてのアデル様では酷な試練かと⦆



「おいでー、ペガサロスー!」



 エキドゥナが呼ぶと、黒い毛並みに金色の翼が生えた馬が現れる。



「お呼びでしょうか?ご主人様」



「今からこの娘に試練を与えます、お願いしても?」



「かしこまりました、ご主人様!」



 ペガサロスは深くお辞儀をして承諾する。



「我が名は神獣ペガサロス。

試練に挑む娘よ、私に跨るがいい。

振り落とされてくれるなよ?」



「アデルです!よろしくお願いします!」



「良かろう、では行くぞ!」



 ペガサロスはアデルが跨ったのを確認すると、嘶きと共に翼をはためかせて飛行を開始する。



「いざ、参る!!!」



 音を超えた速度で山に一直線で向かう。

アデルは風圧に耐えながら手綱を握りしめて歯を食い縛る。



「は、速い!!!」



 山の頂上に差し掛かると急カーブで一周を開始し、凄まじい風圧を発生させる。



 必死になって手綱を握るアデルは、リーチェを想う気持ちで根性を発揮し全力で試練に挑み続ける。



「くっ、なんて慣性力...」



 山を一周した瞬間、また音速で急降下してエキドゥナのいる湖に向かう。



 一瞬振り落とされかけたが、それで踏ん張り続けじっと耐える。





「負けて堪るかーーーー!!!」





 そして漸く、エキドゥナのいる湖まで騎乗を続けたまま到着する。



「お見事!!!試練を合格とする!」



 ふぃーーーー、良かったーー!!(泣)



⦅リーチェ様は心配症です⦆



「はい、これにて試練は終了。お疲れ様♪」



「ありがとうございました!」






⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:邇弍芸ニニギ 乙葉オトハ

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳

性別:女性

職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】



名前:アデル

年齢:18歳

性別:女性

職業:冒険者

服装:真夏のヘソ出しコーデ

称号:【最高に煌めく超新星】

隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】

冒険者開位:ノーマルクラス

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