第40話  新職業・ビーストテイマー





 試練を合格したアデルは、エキドゥナからの報酬が与えられる。



「という訳で、合格した貴方には新しい職業『ビーストテイマー』を差し上げます。

冒険者登録証に記録しておきますね」



 ビーストテイマー?



⦅神獣と契約を結び、使役する者を指す職業でございます⦆



 そんな職業あったんだ...。



⦅『一定の速度で神獣を乗りこなす』という条件さえ突破出来れば、誰でもビーストテイマーになれますよ⦆



 緩いのか厳しいのか微妙な条件だな...。



⦅契約方法は、テイマーが神獣に気に入って貰えたら契約成立です⦆



 訂正、無茶苦茶厳しかった。



「これで貴方は今日からビーストテイマーです。頑張って下さいね」



「...!はい、ありがとうございます!」



⦅この先アデル様が、どのような神獣とご契約なさるのか楽しみですね⦆



 凶暴な獣脚類タイプじゃ無きゃ良いけど...。



 試練をクリアした後、暫く湖を散策してメンテナンスが終わる10分前に駅へ戻り、列車に乗車する。



「卵焼き弁当下さ〜い」



「毎度ありー」



⦅まだ食べるんですか?!⦆



 ハラハラしすぎてお腹空いたんだよー。



「リーチェってよく食べるよね」



「えぇ、私の拵えた料理も美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があります♡」



 ナターシャはアデルに、リーチェの可愛いところを事細かく自慢して幸せそうな空間を作っていく。



 当人はというと卵焼き弁当を食べた後、リィラが用意してくれた海鮮丼を食べていた。



 それから四人が列車に揺られること2時間、漸く【錬金術学院都市・エンデュミオン】に到着する。



「ここがエンデュミオンか、なんか近代都市みたいな感じだね」



「大きい建物が沢山並んでますね」



⦅この国の街並みは、勇者様がデザインしたものです⦆



 街並みを古風なデザインにした近代都市って感じだよね、アンティークが趣味なのかな?



 街を見て周った後、リィラは別件の用事がある為一旦別れて、リーチェ達は依頼を受ける為に冒険者ギルドに向かう。



-冒険者ギルド・エンデュミオン支部-



「いらっしゃい、俺はこの冒険者ギルドのギルドマスターをやってるビアードだ。

よろしくな、新星クラン【明け星の導き】の嬢ちゃん達」



 うん、もう何もツッコまないよボクは。



⦅もうお約束のパターンですね⦆



「依頼を選んでる間、退屈だろ?最近開発した新しいシュークリームでも食べてってくれ」



 ねえ?なんでみんなそうやって隠すどころか匂わせみたいなことを言ってくるのかな?



⦅気のせいだと思います⦆



 錬金術の総本山なだけあり、様々な素材採取の依頼が来ていた。



「あら?この依頼...」



「どうしたの?」



「この依頼を受けたいと思います」



 内容を確認すると、『ヒヒイロカネ・タカのオス5羽、メス5羽の捕獲』だった。



 ヒヒイロカネ?緋緋色金のこと?



⦅肯定、リーチェ様が転生される前の国では伝説の合成金属と言われています。

ヒヒイロカネ・タカは体内でその金属を精製する魔物です⦆



 幻の金属...実在したんだ!



⦅この国全ての建造物が、ヒヒイロカネを使用して建築されたものです⦆



 しかも一般的に流通されてる?!



⦅但し非常に加工の難しい金属であり、この国の建造物は全て勇者様がハイエルフ族達に依頼して造られたとのことです⦆



 じゃあ緋緋色金はハイエルフにしか加工は難しいってこと?



⦅否定、正しくは特定パターンの【神気】に反応して形を変える為、【神気】を身に宿した者だけが加工出来る金属です⦆



 なるほど...つまり加工ができるのって妖精族とハイエルフ族とボクだけ?!



⦅まあ、そうなりますね⦆



 ...とりあえずこの話は一旦伏せておこう。



「わかった、その依頼を受けよう!」



「りょーかい、受付嬢さんに申請しておくね」



 アデルに渡された依頼書をリーチェが受付嬢に持って行き、申請手続きを済ませて戻ってくる。



「あの依頼者の名前って...」



「ナターシャ、どうしたの?」



「な、なんでもないですよ?」



 何かを考え込んでいたが、リーチェに心配されたので誤魔化してしまう。



 正式に依頼を受けた三人は出発し、ヒヒイロカネ・タカのいる岩場に到着する。



「そういえばどうやってヒヒイロカネ・タカを捕まえるの?」



「はいはーい!アタシこのタカを捕まえる方法知ってるよ!」



 アデルが得意げに手を挙げる。



「で、これは何?」



「私の脱ぎたてパンツです!」



⦅・・・⦆



 アデルの理解不能な言動に衝撃を受け、リーチェとアイが宇宙猫のような表情になってしまう。



「その...ヒヒイロカネ・タカは少女のパンツを好む猛禽類なのです」



「どんな猛禽類だよ?!」



⦅それは知っていましたが...恥じらいはないのでしょうか?⦆



 訳の分からない生態に、思わずツッコミを入れてしまう。



「その、アデルは平気なの?」



「うん、野外ライブとかしてると偶に強風が吹いてパンツをファンの皆んなに見られてるから慣れてるよ!」



 そんな明るい笑顔でトンデモないこと言わないで?!

第一その捕獲方法は絶対オスにしか引っかからないヤツじゃん!



⦅逞ましいアイドルですね⦆



「よくわからないのが、ミニスカートを履いた少女を見かけると翼で強風を発生させてスカートを捲り、パンツを覗くという事例が昔から何件もあったとのことです」



「とんだド変態猛禽類じゃねーか!!!」



⦅リーチェ様、何か来ます⦆



 そんなやり取りを岩陰に隠れながらしていると空からパンツが置いてある場所に、赤みがかった金色の鳥が姿を現す。



 あれがヒヒイロカネ・タカ?



⦅肯定、間違いありません⦆



 辺りを見回して安全を確認し、パンツに近づこうとする。



「今だ!!!」



 標的がエサに喰らいつこうとした瞬間、アデルの言葉と共にナターシャが大きい網を投げつける。



「それは?」



「猛禽類魔物捕獲用鉄ロープの網です」



 獲物が網にかかって捕獲に成功する。



「先ずはオスが1羽か...」



⦅幸先が良いですね⦆



「あ、これメスですね」



「なんで?!」




⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:邇弍芸ニニギ 乙葉オトハ

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳

性別:女性

職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】



名前:アデル

年齢:18歳

性別:女性

職業:冒険者・ビーストテイマー

服装:真夏のヘソ出しコーデ

称号:【最高に煌めく超新星】

隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】

冒険者開位:ノーマルクラス

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