第46話  アデルの悩み





 バーベキューが終わって寝室に入り、アデルはリーチェとナターシャに話し始める。



「それで相談ってなに?」



「うん...アタシ、このままで良いのかなって思って...」



 うん?どういうことだろ?



⦅大体想像はつきます⦆



「と言いますと?」



「アタシ、二人より弱いからさ...」



 俯きながら悩みを打ち明け始める。



「ボ、ボク達が強すぎるだけだよ...」



「私は聖女の教習課程で戦闘訓練をしていましたのでアデルは気にせず、少しずつ強くなれば良いのですよ」



⦅それでは慰めにならないかと...⦆



 言葉選び間違えた?



「・・・」



「・・・」



「・・・」



 暫く三人の沈黙が続き、リーチェが何かを思い出す。



「そうだ!」



「?」



⦅?⦆



 何を思ったのか、インベントリを漁って一つのアイテムを取り出す。



「これ、アデルにあげる!」



「これは?」



「確か... 【虹雷帝龍ブロスドレイク】の卵ですね」



 そう、黄金の樹海でホウキから貰った神獣の卵である。



「これ...貴重なヤツって言ってなかった?」



「貴重だからアデルにあげるんだよ♡」



「あ...ありがとう///」



 嬉しさで頬を赤らめ、照れ出してしまう。






コトコトッ






 ん?



 卵をアデルに渡した瞬間、卵から動く音がした。



⦅この反応は...⦆



コトコトッ



「卵が...」



「揺れてる?」



ピキッ!



 暫く動いた後、卵にヒビが入り殻の粉が落ちていく。



「ふ、孵化してる?!」



パカッ!



「クーーー」



 卵が完全に割れて、中から水色の毛並みを持った可愛らしいドラゴンの赤ちゃんが生まれた。



「「「か、可愛いーーー♡!」」」



「クー」



 その愛らしさで三人はメロメロになってしまい、交代で抱っこする。



「えへへ、毛並みがサラサラでふわふわ〜」



「クー」



 ふとドラゴンの赤ちゃんが、長い首を上げてアデル胸当たりを嗅ぎ始める。



「どうしたの?」



「クー」



 しばらくアデルの胸を見つめると、服の中を入って弄り始める。



「ひゃん!どうしたのよ〜」



「なんか、スケベなドラゴンだな」



⦅いえ、これは恐らく...⦆



チュパ



「!!」



 突然、服の中から水のような音が聞こえ、アデルは少し痙攣していた。



チュパチュパチュパ



「こ、こら〜、アタシのおっぱいをしゃぶっても母乳は出ないよ〜」



 服を捲ると、ドラゴンの赤ちゃんがアデルの乳首を一生懸命に吸っていた。



 空腹だったのか!でも待てよ、ドラゴンって爬虫類じゃ無かったっけ?



⦅龍種の神獣は例外なく哺乳類なので、母乳を飲んで成長しますよ⦆



 でもアデルはまだ妊娠してないから母乳でなく無い?



⦅そこは心配無いかと⦆



「ひゃ!母乳が出てきた?!なんで〜?」



「まあ、不思議ですね」



 一体何がどうなってるんだ?



⦅虹雷帝龍の子供は、母と認めた生物の乳首をしゃぶることで唾液に含まれる静電気を乳首に注入して母乳を出せるようにするのです⦆



 何そのエロゲみたいな生態?!



「クー♪」



「美味しそうに飲んでる...赤ちゃんを持つとこんな気分なのかな?」



 母性本能が刺激されたのかな?



⦅そうかもしれないですね⦆



「名前はどうしますか?」



「名前か...」



 ナターシャに聞かれて、どうしようか悩んでいるとアデルが元気よく挙手する。



「この子、虹のような稲妻を操るんでしょ?だから【ブロント】って名前はどう?」



「良い名前ですね♡」



「じゃあブロントで決まりだね」



「クー♫」



 元気に育つといいね♪



⦅はい♪⦆



 そして三日後...子供の成長は早いもので、ブロントはあっという間に大きく成長した。



「クー!」



「ぶへっ!」



 三人の母親によく懐く甘えん坊さんに育ったが、何故かよくリーチェにのしかかっている。



「重いよ〜」



「これって...じゃれついているのでしょうか?」



「あー...そうかも。リーチェはお母さんって言うより、お姉ちゃんって感じだよね」



 こんな図体のデカい弟が居て堪るか!!!



⦅シスコンな弟になりそうですね⦆



「クー♫」



 リーチェに乗り掛かって上機嫌になっている。



「リーチェ、式場の下見を...なあ、昨日よりデカくなってないか?ブロントちゃん」



「や、やっぱりそう思います?」



 研究ノルマを終えて帰ってきたリーゼは、ブロントが明らかに大きくなっている事に驚く。



「う、生まれて三日でここまで大きくなる事ってあるの?!」



⦅肯定、神獣は例外なく膨大な【神気】を持つ者の側で育つと、凄まじい成長速度を発揮しましす⦆



 え?つまりボクの【神気】がブロントちゃんを成長させてるってこと?!



⦅そうです⦆



 マジでか...そういえばボクは【神気】でのしかかりに耐えているけど、今のブロントちゃんってどのぐらい強いの?



⦅ブリザードサウルス程度なら、踏み潰して一発ですね⦆



 よし、聞かなかったことにしよう。



「リーチェ、そろそろ結婚式の準備だ。手伝え」



「はーい」



 リーゼに連行されて、部屋を出る。



「ブロントちゃんをお願いね」



「任せて!」



「いってらっしゃい、リーチェ♡」



 二人はブロントの面倒を見る為、お留守番をしてリーチェを待つことにする。



「クー...」



「寂しそうですね」



「しょうがないよ、おいでー、ブロントちゃん」



「クー...」



 リーチェが居なくて寂しいのか、ナターシャとアデルに寄りかかって元気のない返事をする。




-【勇者教】エンデュミオン支部教会-




「お待ちしておりましたリーチェ様、リーゼロッテ様」



 リーチェ達が挙式を行う予定の教会に着くと、専属の聖女が待っていた。



「エンデュミオン支部専属の聖女をやっています、マゼンタと申します」



「本日からよろしくお願いします」



 顔合わせも済んだところで、早速結婚式の計画の説明を受ける。



「私の計画では、呼ぶ人数は仕事仲間の知り合い程度だ」



「まあ、では少ない方なのですね」



 あれ?研究職員って少ないの?



⦅【元老院】直属研究機関の職員ともなれば、人数は限られてきます。15人以下ですね⦆



「リーチェはどうする?」



「ナターシャと、アデルと、リィラさんくらいかな?あとブロントちゃん」



 指折りで数えて、丁度片手の指の数だけ指定した。



「20人以下ですと、小規模な式になってしまいそうですね、よろしいでしょうか?」



「構わない」



 リーゼが承諾すると、誰かが戸を開けて入ってきた。



「ご歓談中失礼します、悪いお知らせがございまして」



「リィラか、どうした?」



 嫌な予感がする。



⦅奇遇ですね、私もです⦆



「研究機関の職員の皆様が体調不良の為、2週間の療養休暇となりました」





「・・・What's ?!」





⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:邇弍芸ニニギ 乙葉オトハ

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳

性別:女性

職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】



名前:アデル

年齢:18歳

性別:女性

職業:冒険者・ビーストテイマー

服装:真夏のヘソ出しコーデ

称号:【最高に煌めく超新星】

隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】

冒険者開位:ノーマルクラス

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