第45話  勇者が認める天才





 リーチェ達が討伐依頼を達成した次の日、元老院会議を終えたリーゼがエンデュミオンに構えている別荘に帰ると何やら香ばしい香りが中庭に漂っていた。



「待たせたな、結婚式の日取りだが...って何やってんだお前ら?」



「「「「バーベキューだよ」」」」



「...後で私も混ぜろ、朝から何も食ってなくてな」



 許可も無しに他人の家でバーベキューをする四人の奇行に敢えてツッコミを入れず、そのまま話を進める。



「リーチェ、今日はお前に会わせたい人物がいる」



「会わせたい人物?」



「誰なんだろ?」



 リーゼが言い終わると、後ろから高身長かつ筋骨隆々で車輪の様なペンダントを首から下げたゴリ...もとい、髪と揉み上げと髭が繋がって鬣の様になっている毛むくじゃらの男性が来た。



「お初にお目にかかる、貴殿が【君主ロード】殿の婚約者リーチェ君で間違いないかな?」



「は、はい...」



 予想外の人物の登場に、リーチェ以外の全員が口を閉じてしまう。



 え?!ゴリラ?ライオン?

思い切った顔してるな...一体何類なんだろう?



⦅人類ですバカヤロウ⦆



「私は【ブライアン・ムジーク・ユグドラ・ミレニアム】、勇者様から錬金術を教わった弟子であり最初の錬金術師にしてミレニアム家初代当主、今は民の支持でこの国の財政を担う【元老院】のまとめ役をさせて貰っている」



「つまりこの国における最高責任者だ」



 そんな大物が一体ボクに何の用なんだ?!



「今日貴殿に会いに来たのは他でもない、貴殿の人となりを知りたくてな...。

すまないが少し付き合って頂けけないかな?あと私もバーベキューに参加したい、バナナはあるかね?」



「こちらをどうぞ」



 リィラはバナナを手渡す。



 やっぱりゴリラじゃねーか!!!



⦅いいえ、人類です⦆



「ボクの答えられる範囲であれば...」



「身構える必要はない、貴殿の魂に問いかける故な」



「?」



 リーチェの頭の中がクエスチョンマークだらけになっている時、ブライアンは少しの間沈黙しリーチェを見つめ続ける。



 なんだろ?



⦅特に気にせずとも大丈夫ですよ⦆



暫くすると不敵な笑みを浮かべ口を開く。



「成る程、貴殿の人となりは理解した...【君主ロード】殿とも上手くやっていけるだろう」



「えっと...ありがとう、ございます?」



「畏まらずとも良い、バーベキューの再開だ。

私もスーパーでジェムミート豚を買ってきたのだ、焼いて食べよう」



 その後六人で豪勢なバーベキューをして、夜を迎えた。



「ありがとう、久しぶりのバーベキューはとても良いものだった」



 とてもご満悦なブライアンは四人にお辞儀をして礼を述べる。



「お喜び頂けて何よりです、【元老長】閣下」



「うむ、では私は賢者の塔に戻るとする」



「お気をつけて」



 リーゼの見送りと共に、別荘から出て街中へ姿を消した。



(ふう、あのゴリラの気まぐれには手を焼く)



「なんか、凄い人だったね」



⦅見た目も強烈でしたね⦆



「あぁ、いろんな意味であのゴリ...錬金術師は凄いお方だ」



 ん?どう言う意味だろ?



⦅【ブライアン・ムジーク・ユグドラ・ミレニアム】は勇者様が今まで解明出来なかった【魔法】の原理を発見した錬金術師です⦆



 え?!魔法に原理なんてあったの?



⦅本来なら無いものだと思われていたものを発見した事で勇者様が認める唯一の天才であり、その功績で勇者様から直接博士号の称号を受けた唯一無二の天才です⦆



 勇者が認める天才って...また凄い人物だな。



⦅また彼は好奇心の塊の様な男で、魔法がどういう物なのかを調べる為に勇者様を実験台にしたりという神をも恐れる所業の数々を働いた事から、恐れ知らずのマッドサイエンティストとしても有名です⦆



 時代が時代だったら間違いなく【勇者教】に怒られそうな事してんな?!



⦅間違いなく極刑ですね⦆



 ん?でも勇者が生きていた時代の人間ってことは、あの人ハイエルフなの?



⦅否定、彼は錬金術で作った【不老不死の薬】で五百年以上生きているだけの人間です⦆



 そういえば前にグロリア姉さんが【不老不死の薬】を飲むか聞かれたな。

あれってガチだったんだ。



⦅まあ妖精族の間じゃ【不老不死の薬】は一般的ですからね⦆



 今ってどんな研究してるんだろ?



⦅今はとある事情で勇者様が使っていた熱線魔法【ガーンディーヴァ】を再現する研究をしています⦆



 熱線魔法?



⦅簡単に言えばレーザー光線の魔法です⦆



 レーザー?!何それカッコいい!!!開発に成功したらボクも使えるかな?



⦅お高いと思いますよ?⦆



 アイとリーチェがレーザー銃の話で夢を広げていると、後ろからアデルが声を掛けてきた。



「リーチェ」



「ん?どうしたの?」



「後で相談があるんだけど...良いかな?」



 何やら深刻そうな顔をして、リーチェから時間を貰えるか聞く。



「良いよ」



「!! ありがとう///」



 何か悩みでもあるのかな?



⦅そうかもしれないです⦆




-錬金術学院都市エンデュミオン・賢者の塔-




「戻ったか、ブライアン」



「ギアスか...わざわざ迎えにきたのか?」



「あぁ、私も気になっていたのだよ。

君主ロード】殿が気に入った小娘がね」



 賢者の塔に戻ったブライアンに、遠回しな質問を投げかける。



「なかなか面白いヤツだった、【君主ロード】殿が気に入るのも納得するくらいにな」



「成る程、ミッツェガルド王家の血筋は碌でも無い連中だと思っていたのだが...。

捨てた物でも無かったみたいだ、他に分かったことはあるか?」



 ギアスの質問に少し考え込むが、すぐに答えた。



「確証は無いが、あの娘...









【神秘の力】をその身に宿しておる」











⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:邇弍芸ニニギ 乙葉オトハ

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳

性別:女性

職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】



名前:アデル

年齢:18歳

性別:女性

職業:冒険者・ビーストテイマー

服装:真夏のヘソ出しコーデ

称号:【最高に煌めく超新星】

隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】

冒険者開位:ノーマルクラス

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