第48話  難航する兵器開発






-賢者の塔-




「進捗の方はどうだ?先月の一斉解雇騒ぎにはびっくりしたが、それで研究が止まっているなんてことはないであろう?」



「問題ありません、多少の遅れこそ出てはいますがほぼ順調です」



「ふむ、【君主ロード】殿が問題ないと言うのであればひとまず安心だな」



「しかし前職員が一斉に仮病休暇を使うとは...何か動悸は聞いていたかね?」



 心当たりあると言えばあるが、誰も口を割る訳無いのではっきりコレと言う事が出来ないので考えるフリをする。



「目下調査中です、前職員一人一人から事情聴取を行っています」



「何かわかったら必ず伝えて欲しい、どんな理由であれ大事な研究を遅らせてしまうところだったのだからな」



「畏まりました、動機が分かり次第すぐにお伝え致します」



(事実を知ったら大噴火だろうな)




-総合錬金術学院・兵器開発研究室-




「と、言う訳で事情は何もわからないと言う事と研究は順調と言う事を上手く伝えて、爺共を丸め込んできた」



 誇らしげに言うが結局はその場凌ぎである。



「要するにまだ出来上がって無いことを伏せて、誤魔化しただけじゃん」



「仕方ないだろう、熱線兵器など今まで造ったことないからな」



「誇らしげに言うんじゃねぇ!」



 今現在、リーチェ達四人は勇者の魔法【ガーンディーヴァ】を再現した兵器を造る為に研究開発を進めているが、どの試作品も失敗に終わってしまって迷走している。



「ナターシャ〜、最後に寝たのっていつ〜?」



「み...三日前ですね」



「これも失敗、あれも失敗、何一つ進まないよ〜(泣)」



 四人は中々研究成果が出ないから寝不足で、リーチェに至っては泣き言を言い始める始末であった。



「ふむ、どの試作品も熱線、もしくはそれに近い物が出なくて失敗しているのか」



「そもそもその魔法って、どう言う原理で作ってるのかだよね」



 【ガーンディーヴァ】って要するにレーザービームを出す魔法だよね?

どうすれば同じ現象を起こす武器が出来るの?



⦅レーザー発振管は、『レーザー媒体』『励起源』『増幅器』の3要素から構成されます⦆



 ????



⦅火種を起こす『励起源』となる引き金を使って、燃焼することで光を発生させる為の『レーザー媒体』を用意します。

励起済みの『レーザー媒体』を合わせ鏡の真ん中に置いて光の反射増幅を繰り返し、もう一つの引き金で『照射用の鏡』を起動させ光を一方向へ照射出来ます。

これがレーザービームの原理でございます⦆



 ????????



⦅これは...完全にダメですね。

リーチェ様、今から言う物を用意して下さい⦆



 ?  わかった。



 アイの指示を受けて、大型の凸レンズを用意した。



⦅私の指示通りに動いて下さい⦆



 わかった。



リーチェの他にナターシャ、アデルも協力して実験を開始する。



⦅太陽が映るように、凸レンズの角度を調整して下さい⦆



 大型凸レンズを傾け、レンズ全面に太陽の光が当たるようにする。



⦅そのままキープして待って下さい⦆



???



 リーチェが疑問に思っていると、草原から急に大きな炎が発生する。



「何も無い草原で火事?!なんで?」



⦅はい、コレがレーザービームです⦆



 どういう事?!



⦅レーザービームを簡単に説明しますと、光を一点に収束して一方向に照射する事で標的に高温度の熱を当てることでございます⦆



 じゃあ最初にそう言ってよ!分かり難いわ!



⦅フッ...⦆



 あー、今鼻で笑ったな?!ボクのことバカにしたでしょ!



⦅滅相もございません⦆



「なるほど、コレが【ガーンディーヴァ】の原理か!面白いくらい単純だから全く思いつかなかったわ」



「そうですね、流石は高度な文明が生み出した人工知能。未知の知識でございます」



 れ、錬金術はあるのになんでこんな簡単なモノが広まって無いの?



⦅恐らく、勇者様が敢えてこの世界の文明レベルを調整していたのかもしれないです⦆



 どう言うことだろ?



「原理については、先程の過程が解析で既に判明済みだ。

問題はこの原理を、手のひらサイズの武器でどうやって起こせば良いのかだ」



「そこだよねー、結局大掛かりになっちゃうから難しいんだわ」



 研究は完全に手詰まり状態、打開策も見当たらない状況だった。



「皆様、紅茶が入りました」



 リィラが紅茶とお菓子を持ってきたので、一旦ティータイムと言う名の休憩に入った。



「進捗はどうですか?」



「全然ダメだ」



 しばらくの間、沈黙が続いて空気が重くなってしまう。



「勇者様が何かヒントを残してくれていたらな〜」



「そんなものがあれば、この研究開発などとっくに終わっている。

あの爺共の無理難題には腹が立つな」



 そんな愚痴を言い合っていると、リィラが何かを思い出して呟く。








「そういえば、レーザー熱線兵器が何処かにあったような...」







⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:邇弍芸ニニギ 乙葉オトハ

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳

性別:女性

職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】



名前:アデル

年齢:18歳

性別:女性

職業:冒険者・ビーストテイマー

服装:真夏のヘソ出しコーデ

称号:【最高に煌めく超新星】

隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】

冒険者開位:ノーマルクラス



名前:リーゼロッテ・P・アームストロング

年齢:35歳

性別:女性

職業:学院教授・博士号錬金術師

服装:研究白衣

称号:【君主ロード】【焔雷の錬金術師】

隠れ称号:【唯我独尊なドS女公爵】

二つ名:【紅蓮焔雷公】

地位:公爵

武器:【バレル・ブラスター】

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