第56話  責任取って、結婚して♡





 邪龍ファヴニールを討伐したカナリアは解体作業を終えて、リーチェの錬金術で作ったもう一つの貨物車両に積む。



「ふー、なんとかなって良かったー」



「ん」



「どうしたんだい?両手を出して」



「賠・償・金」



 崩壊していたキャラが戻ったリィラは、恐ろしく圧力のある笑みで♯3に詰め寄った。



「今の手持ちは白金貨が5千枚しか無くて...」



「後で報酬金を別途で頂きます」



 ♯3が持っていた大袋を無理矢理奪い取って、睨みつけながら吐き捨てた。



「あ、有り金が...トホホ」



「その...ドンマイ」



 カナリアは父親の不憫過ぎる姿を見て、居た堪れなくなったのか励ました。




-サニー聖国・中央区ターミナル駅-




「な、なんとかサニー聖国に到着した〜」



⦅運転終了、お疲れ様でした⦆



 リーチェとナターシャは到着まで気を張り詰め過ぎて、緊張の糸が切れたかのようにぐったりする。



「リーチェ...生きてますか?」



「なんとか...ナターシャは?」



「降りたらラブホテルでリーチェと思いっきりエッチしたいですわ...」



「ボクも物凄くムラムラしてきたよ...」



⦅リーチェ様?お気を確かに!⦆



 疲れ過ぎた二人は、性欲が臨界点を突破していた。



「たっだいまー!ライブは大盛況でお客さん皆んな満足して降りてったよー!」



「そうか...良かった...」



「リーチェにナターシャ?!どうしたの?」



 一方のアデルは客室から戻って来るが、二人の疲労困憊した姿を見て驚愕する。



(な、なんとか誤魔化せたのかな?)



(そ、そのようですね)



 何も知らないアデルの様子を見て、二人は更に安堵する。



「皆様、お疲れ様でございまs・・・、大丈夫...ですか?」



「もう二度と車掌なんかやるもんか!!!」



「ご負担をおかけして申し訳ございません」



 兵器車両の武器を片付け戻ってきたリィラは車掌室のカオスな状況に頭を抱えつつ、リーチェ達に謝罪した。



「ん、おつー」



「カナリアもお疲れ〜」



「バテバテじゃん、大丈夫?

ほら、おんぶしてあげるから立ちなよ」



 カナリアは先程の戦闘で大分体力を使ったにも関わらず、リーチェを背負って歩き出す。



「では僭越ながら、ナターシャ様は私が背負って差し上げます」



「よろしいのですか?」



「はい、自慢ではありませんが大砲より軽い物を持った事がありませんので」



 今、大砲って言わなかった?!



⦅言いましたね⦆



 このメイドさん...前から思ってたけど、ひょっとして脳筋バカなのでは?!



⦅本人の前で言ったら間違いなく八つ裂きコースですね⦆



「やあ」



「あ、♯3さんだ」



 リーチェ達が背負われている時、向こうから♯3が声をかけてきた。



「遅れてすまない、諸事情で【アルケミスト商会】の銀行に行ってお金を下ろして来たんだ。

約束の白金貨三千枚、受け取ってくれ」



「毎度ありー!やったねリーチェ、大儲けだよ!」



 アデルが元気よく受け取って、満面の笑みでリーチェに大袋を見せる。



 この娘は何処で何があっても、幸せになりそうだね。



⦅ずっとそのままでいて欲しいですね⦆



「それと、はいこれ」



「?」



 報酬金を渡した後、カナリアに一振りの刀を渡した。



「何これ?」



「二年分の誕生日プレゼントだ、今までゴメンね?」



「・・・バカ親父///」



 頬を赤らめてそっぽ向きつつも受け取った。



 ねえアイ、さっきの発言は凄く気になるけど...あの刀って妖刀だよね?



⦅鑑定完了しました、こちらをご覧下さい⦆



武器名:【妖刀村正】

位列:最上大業物

特徴: 全長110cm・刃渡り80cm・重さ2000g

   材質(玉鋼・砂鉄・軟鉄)

備考:ハイエルフの名工【千子村正】が

 【星詠みの魔女リリア】の弟子【ミクス】の

  依頼を受けて造られた生涯最高の名刀。

 『最愛の我が娘へ、生きて幸せになってね』

  と刀身に銘が刻まれている。




 よし、見なかったことにしよう!



 その後、駅で待機していた【勇者教】の職員さんたちが次々と荷物を運んで行って貨物車の中を空っぽにしたので、貨物車を分離して車庫に戻した。



「とりまこのドラゴン、換金しに行く?」



「うん、換金してホテルに泊まりたーい」



「アタシが荷車で運ぶね、アイドルは体力が自慢なんだよ!!」



 ♯3から貰った報酬金を駅員さんに渡して、バラバラに解体されたファヴニールを荷車に乗せて冒険者ギルドまで引き摺って行く。



 5人はファヴニールの素材を持って冒険者ギルドまで持って行ったが、



『ドラゴンの素材を持ってきた冒険者が今まで居なかったので価値をつけられないから、【勇者教本部】の教会で査定して貰った方が良い』



 と言われたので教会まで運んで行く。



-【勇者教】本部・大聖堂前の教会-



「では査定の方をお願いします、振り込みはリーゼロッテ・パルテナス・アームストロングの口座でお願いします」



「かしこまりました、査定と振り込みが終わりましたら領収書を今夜宿泊されるホテルまでお送り致します」



 大聖堂前に建てられている教会の受付けカウンターでリィラが査定の手続きを完了させ、皆んなの所へ戻って行く。



「私はご主人様から仰せつかっている教皇猊下へのアポ取りを済ませて参りますので、皆様は先にご主人様が昨日の今日で手配されたホテルにお泊まり下さい。

この公爵家の懐中時計を見せれば、対応して頂ける手筈となっております」



「色々とありがとね〜」



「こちらこそ我々の窮地を救って下さり、ありがとうございました」



 リィラは四人に深くお辞儀をして、ホテルまで見送った。








「さて...行きますか」







 



-高級リゾートホテル『トパーズ』-




「中は広くて綺麗だね〜、プールもある!水着持ってないから下着で飛び込んじゃえ!!」



「ベッドはフカフカ〜」



「もう動けませんわ〜」



 リーゼが大急ぎで手配したホテルは高級なだけあって部屋が広く快適で、アフタヌーンティーセット&高級スイーツやプールと露天風呂付きの超VIPルームであった。



 アデルは元気が有り余っている所為かはしゃぎ回り、リーチェとナターシャは疲労困憊な所為かベッドの上でだらしなく寝転がっていた。



「ちょーちょーアンタら、今日は仕事で汗びっしょりなんだからベッドが汚れるでしょ?

お風呂に入って身体洗いなさい」



「「は〜い」」



 カナリアに注意された二人は、重たい身体を引き摺って脱衣所に行く。



 ねぇ、なんかカナリアがオカンに見えるのは気のせい?



⦅いわゆる『ギャルママ』ですね⦆



「たーのしー♪」



「はしゃぎすぎ、うら若き乙女がお天道様の下でぽんぽんすーになって端ない...アンタもお風呂に連行よー」



「はーい」



 服も下着も脱ぎ散らかしてプールに入っていたアデルはカナリアに捕まって、そのままお風呂に連行されて行った。



「ふー、疲れた身体に沁みる〜」



「のぼせてしまいそうです〜」



 四人は泡で汗と汚れを洗い流し、露天風呂で身体の疲れを癒す。



「何分経った?」



「30分くらいでしょうか?」



「いやどんだけ長風呂してんの?

ほらこっちおいで、マッサージしたげるから」



 アデルとカナリアは既に上がっていたがリーチェとナターシャはまだ浸かっていた為、様子を見に来たカナリアに手招きされて漸く上がってきた。



 二人は脱衣所で部屋用のワンピースに着替えてアデルにドライヤーで髪を乾かして貰った後、カナリアからマッサージを受ける。



「よーし、身体の力抜いてー、ふん!」



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」



「ガッチガチじゃん、柔らかくなるまで揉み解しコース確定」



 ナターシャはカナリアの全身指圧マッサージで凝り固まった筋肉を強制的に揉み解され、今まで聞いたこともない声で悶絶する。



「ん、次リーチェね」



「お、お手柔らかに...」



 先程のナターシャの様子を見ていたリーチェは少し腰が引けていた。



「んー、...多分思いっきり痛くするから我慢して」



「え?」



「ふん!!!」



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」



 ナターシャよりも酷い声で悶絶し、のたうちまわる。



「コイツは手強い...解し甲斐あるじゃん♪」



 その後、ディナーのフルコースや高級スイーツでお腹を膨らませ、歯を磨いてリーチェとナターシャ、アデルとカナリアでそれぞれダブルベッド乗って布団に潜る。



「ヤバ、耳ヤニごっそり出んじゃん」



「すぅ...すぅ...」



「てか寝てるし、アタシの耳かきは催眠術か」



 ライブのせいでいつもよりテンションが高く、わんぱくになってて眠れないアデルに耳かきをしてあげたら速攻で爆睡し出した。



「カナリア...ボクも、お願い///」



「私もお願いします///」



「はいよ」



 それを見て羨ましく思ったのか、リーチェとナターシャもおねだりしてきたので順番にしてあげたら、二人も寝落ちしてしまった。



「ったく、リーチェとアデルはともかくナターシャもか...。

なんか急に世話の焼ける妹が三人も増えた気分で草生えるし」



「カナリアって可愛いよね、ムシュッとしてて...」



「寝言でも同じこと言ってるよ、この天然タラシが...。

そんな罪深い可愛さで人を惑わす悪い子はこうだー、なんてね」



 リーチェの寝言を聞いて可愛らしく思ったのか、両頬を抓った。



「綺麗で美しいお嫁さんが三人も居るくせにアタシ...いや、ウチのことまで誑かした罪は重いぞー?うりうりー」



 そして抓った頬を上下に振るわせて遊び出す。



「カナリア...だいしゅき♡」



「責任取って、ウチとも結婚しろよな///

ウチもリーチェのこと、大好き♡」





⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:邇弍芸ニニギ 乙葉オトハ

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳

性別:女性

職業:冒険者・暗殺者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】



名前:アデル

年齢:18歳

性別:女性

職業:冒険者・ビーストテイマー

服装:真夏のヘソ出しコーデ

称号:【最高に煌めく超新星】

隠れ称号:【セクシーな巨乳アイドル】

冒険者開位:ノーマルクラス



名前:リーゼロッテ・P・アームストロング

年齢:35歳

性別:女性

職業:学院教授・博士号錬金術師

服装:研究白衣

称号:【君主ロード】【焔雷の錬金術師】

隠れ称号:【唯我独尊なドS女公爵】

二つ名:【紅蓮焔雷公】

地位:公爵

武器:【バレル・ブラスター】



名前:カナリア

年齢:16歳 

性別:女性

職業:冒険者・【勇者教】本部の処刑執行人

服装:ミニスカメイド服

資格:一刀流居合術の総師範

称号:【幽玄の剣聖】

   【邪龍殺戮者ドラゴンスレイヤー

隠れ称号:【塩分高めで無愛想な巨乳美少女】

冒険者階位:マスタークラス

武器: 【妖刀髭斬り】【妖刀村正】

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