第27話  次の国へ向けて





 【黄金の樹海】から戻り、【クイーンハニー】の採取依頼を達成した二人はリィラが待つ冒険者ギルドへ報告に行く。



「確かに【クイーンハニー】ですね、まさか達成するとは思いませんでした...。

でもこうして達成してきたのですから良いでしょう、ウィノカー様」



「あいよ、【勇者教】の聖女ナターシャ殿の冒険者開位を【アルティメットクラス】に昇格するよ」



「ありがとうございます!」



 やったー!これでナターシャはボクと同じアルティメットクラス!

 風向きは良い!順風満帆!枕も高くして寝られる!今夜はパーティだ!



⦅語彙力小学生以下ですね⦆



 酷い!



「時にメイドの嬢ちゃん、その【クイーンハニー】をあたしゃに売ってはくれないかい?」



「構いませんが...どうしてでしょうか?」



 ギルマスから買い取りを申し出た事に、疑問を投げかける。



「せっかくの昇格なんだ、あたしゃの作る【クイーン・ハニードーナツ】、食べてって欲しいのさ」



 【クイーン・ハニードーナツ】?!なにそのミ◯ドの新作みたいな心踊るドーナツは!



⦅そんなに食べたら太りますよ⦆



 その時はその時だ!



⦅あ、ダメだこの人⦆



「【クイーンハニー】を使ったドーナツ...想像するだけで頬が落ちそうな響きですね♡」



 リーチェの食欲がナターシャに伝播し、感染する。



⦅キミもかい⦆



「あの...、無償で提供致しますので私もご相伴に預かりたいのですが...」



 なんならリィラも気になり始めている。



「ええよええよ、みんな食べてって」



 そして30分後...



「ほい、召し上がれ」



「「「いただきまーす」」」



 一口食べた瞬間、3人の頬が緩む。



 この味は!ヤバい!めっちゃ美味しい!

【クイーンハニー】を使ったハニードーナツ、こんなに美味しいんだ!!!



「これは!まさに天からの祝福!こんなに美味しいドーナツは初めてです!」



「これは!!!なるほど...また採取依頼を出して再現すれば公爵様への献上品としても悪くない...!」



 それぞれ反応は違えど、味に感動する気持ちは同じであった。



⦅....⦆



 ん?どうしたのアイ?



⦅いえ、何でもありません⦆



 そう?なら良いけど...。



(羨ましい...)



 その後、二人は宿でゆっくり休むことにする。



「次は海のある国にしませんか?」



「海かー、良いね!」



⦅海のある国でしたら、エレウシス農国から東にある【オケアノス海岸】から【ミネルヴァの跳ね橋】を渡った先に【海洋都市国家アトランティス】があります⦆



 【海洋都市国家アトランティス】?!なにその幻の国みたいな名前の国!行ってみたい!



「では次の国は【海洋都市国家アトランティス】にしましょう、あの国のお寿司は絶品なのですよ」



「お寿司あるの?!行きたい行きたーい!」



⦅決まりですね⦆



翌日



 出発の準備を整え、お世話になった人達に挨拶に行く。



「もう行ってしまうのかい?」



「はい、冒険者は長居しない職業ですので」



 ギルマスは名残惜しそうにするが「仕方ないさ」と言って送り出す。



「またいつでも遊びに来て下さい、来年の春も収穫祭はありますので!」



 テスモ公爵様とギルマスに見送られ、エレウシス農国を後にする。



「そういえば、リィラさん居なかったね」



「彼女は【冒険者ギルド本部】に推薦状を出す為、【エルメギア山脈帝国】へ先に向かったみたいです」



 エルメギア山脈帝国?



⦅大きな山脈に囲まれた、資源の豊富な国です。【エトナ火山】は最も有名な観光名所なので毎年多くの観光客で賑わっています⦆



 そんなところに冒険者ギルドの本部があるのか....。



「さ、行きましょう!」



「うん!」








ミッツェガルド王国・リーゼロッテ公爵邸



 月明かりに照らされた中庭のパーゴラドームで優雅に寛ぐ美女、彼女の名は【リーゼロッテ・パルテナス・アームストロング】公爵。



 専属側近メイド【リィラ・ヴィーヴィル】の焼いた【クイーン・ハニードーナツ】を食しながら報告を聞く。



「例の冒険者に接触出来たみたいだな」



「はい、並みのアルティメットクラスとは思えない強さでした。

私程ではありませんでしたが」



「ははっ、アルティメットクラスとマスタークラスでは実力の差が大きいであろう」



 リィラの報告に苦笑しながらも、興味深い感じの反応を示す。



「あのバカ王に仕えていた【工作騎士団】も蹴散らしたそうだな、また暗殺の手間が省けたか」



「えぇ、お陰でこちらの仕事が楽に終わりました」



 リーゼロッテ公爵の手にある暗殺リストの中に、【工作騎士団】全員の名前が載っていた。



「そういえばリーゼロッテ様、例の冒険者ですが...リーチェと名乗っていました」



「・・・何?!バカ王の鳥籠から消えた妾の子のリーチェだと!」



「はい、騙りではないかと」



 途端に難しい顔をになり、考え込む。



「バカ王め...己の首を絞める存在を自ら産み落とすとはな、これが因果か」



「ですが、私達の最終目標... 【オウルバー・ビヨンド・ミッツェガルドの暗殺】には足りないかと」



「あぁ...リーチェという少女はこのまま泳がせろ、彼女が行く先々でバカ王の手駒を潰してくれれば私の計画を早い段階で進める事が出来る筈だ」



「かしこまりました、リーゼロッテ様。

私はこれにて失礼します」



「うむ、ご苦労であった。

引き継ぎ計画を進めてくれ」



 深くお辞儀をして、中庭から下がる。











「頼んだぞ、【⬜︎⬜︎⬜︎】よ」











⦅報告、ステータスを更新します。

お読み頂き、ありがとうございます⦆


名前:リーチェ

年齢:15歳

性別:女性

前世の名:⬜︎⬜︎⬜︎ ⬜︎⬜︎

職業:冒険者

服装:春夏秋冬のコーデ

称号:【妖精騎士】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【妖刀村雨】

加護:【アイとの交信】

   【天照大神の寵愛】

   【妖精騎士の証・風纏い】



名前:ナターシャ

年齢:22歳 

性別:女性

職業:暗殺者・冒険者・【勇者教】の聖女

服装:聖女の修道服

資格:錬金術師一級・冒険調理師一級

称号:【導きの聖女】

隠れ称号:【麗しき爆乳聖女】

冒険者階位:アルティメットクラス

武器:【アダマスの大鎌】




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