第26話 ニート、畜産動物を飼う

 メグミさんにやってもらいたいことは主に動物の面倒を見ることだ。

 だが、いきなり大規模な牧場をメグミさん一人で回すのは無理がある。メグミさんの給金も考えると無茶はできないし、月十万ぽっちでこき使うのはさすがに心苦しい。

 そこで俺が考えたのが、メグミさんを中心として結成する牧場経営チームだ。

 動物に特価した妖精はいないものの、農作業に特化していない妖精を回してもらえば人員は十分に確保できるだろう。

 後はメグミさんによる指導で動物の世話の仕方を覚えていってもらえば、大きな牧場でも回せるようになるだろう。


「というわけで、お前達にはこれから牧場経営チームに入ってもらう」

「みんな頑張るのナー」


『はーい!』


 コナーの一声で集まった妖精達が元気よく返事をする。


「へえ、そよ風の妖精に、雑草の妖精、小川の妖精に、泥の妖精、あとはうん――排泄物の妖精か」


 こう言っては悪いが全体的にしょぼそうな連中ばかりである。最後の奴とか正直いろいろと心配である。いや、ある意味牧場チームには向いているかもしれないが。


「しかし、いろんな妖精がいるんだな」


 改めて思うが、この島全土の大地を統べる大地の妖精であるコナーって凄いのではないだろうか。


「この子達は僕達みたいな力を使えない分、肉体労働で貢献させるのナー」

「地殻変動起こせるお前と比べるのは酷だろ」


 牧場を始めるにあたって一番の障害が土地だったのだが、それをコナーは大地の妖精としての力を使って山の一部を隆起させ、無理矢理広大な土地を作ることで解決してしまった。

 当然、ロープウェイ周りに影響が出ないよう、微調整を加えてだ。


 これで俺の所有している土地面積は島の半分以上を占めることになった。いくら女神の治める土地は自由に使っていいと言っても、島民から不満が出ないか心配なくらいである。

 その分、しっかりと島民には島の発展という形で貢献するしかないな。


「牧場の設備系はカイジ達のおかげで完成したし、あとは動物を迎え入れるだけだな」

「確かお昼頃に港に船で運ばれてくる予定なのナー」

「よし、メグミさんを連れて港まで行くか」


 今回断腸の思いで購入した動物は、牛がホルスタイン四頭にジャージー四頭。鶏が十羽の内半分が烏骨鶏だ。最初からジャージーや烏骨鶏などの高い動物を仕入れたのは、量より質を重視したからだ。

 かなりの出費になってしまったが、そこはゴンさんお得意の交渉術でかなりお安くしてもらった。はやりコネって素晴らしい。それでも俺のダイヤモンド貯金は軽く吹き飛んだ。また採掘せねば。


「っと、そうか。まだ改修工事中だったな。普通に山道を下るか」


 街に行くため、ロープウェイ乗り場に向かおうと思ったが、重要なことに気が付いた。

 カイジはクダイさんに指摘された箇所を改善するため、ロープウェイの改修工事をしていたのだった。

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