概要
そうしたヴァンパイアの伝説が数多く伝わる国、ムーンダリア公国。
貿易商社ハロワイルカンパニーのひとり娘、エルシア・ハロワイルはある夜、社交界を抜け出したところで公爵家の引きこもり公子、カルティオ・ヴァン・ストリフォンに出会い、命を救われる。
カルティオは、伝説に語られるヴァンパイアの血を引いていて――。
「きみ、放っておくと、死にそうだけど」
――「え?」
「きみの血に、溺れたい」
――「それはちょっと、勘弁してもらいたいけれど」
恋を知らない乙女と、人の血を吸わない主義だという偏食ヴァンパイア。
その出会いをきっかけに、恋愛音痴のふたりの距離は自然と近づいていく。
そんな中、エルシアは商社を巡る事件に巻き込まれ――。
愛と思惑は錯
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!運命的な出会いとゆっくり近づいていく二人の距離感が素敵なお話です
主役の二人を引き立てるような華やかな世界観が丁寧に描かれていて、物語の中に一気に引き込まれます。
ヒロインのエルシアは商人である父親を見て育ち、仕事に誇りを持っていて、芯があるけれど、近寄り難さを感じられない所が、好感を持てていいなと思いました。
ヴァンパイアと噂される公子のカルティオは謎めいていて、とても気になってしまいます。
二人の運命的な出会いを辿るように、少しずつ近づいていく距離感も、いいなと思いました。
エルシアの家族など、脇役である登場人物達も魅力的な人物が多く登場してくるので、そちらも物語を読んで行く中で是非注目して欲しいです。
個人的に、最後の一文がとても素敵でお気に入…続きを読む - ★★★ Excellent!!!熟した果実を食べる為、貴方にやって欲しい事。
初めに、私はよるか先生の作品を幾つか拝読しているが、本作は先生の中でも新たな境地に至っている話であるとも思えた。
多くの読者が求める需要を抑えながらも、個人的に先生の書く文章の美点であると思っている描写の細かさと、先生の事を知った頃から思っている作品の強い読了感が、文字数以上の読書体験を演出している。
本レビューのタイトル通り、昨今のネット小説達を果実にたとえるとするならば、昨今の多くの流行に見て取れる"極めて個人的"な印象は『高級スーパーで購入され、熟しているブランド種の果実を見栄え良く切り分け、派手な器に乗せて出す』といったものだ。
一方、本作は『丹念に育てられ、手摘みで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!偏食で引きこもりのヴァンパイアを変える、運命の恋。
貿易商社の娘で自分の仕事に誇りを持っているエルシア。父親譲りの確かな商人の腕で多くの信頼を集める彼女だが、それゆえに両親は「淑女としての幸せ」と乖離していく娘の将来を案じていた。
そんなある日、エルシアはストリフォン公爵家が主催するパーティーに参加することに。そこで出会ったのは、引きこもりがちで「伝説のヴァンパイアなのでは」という噂もあるストリフォンン公爵家の秘蔵っ子・カルティオ。
とあるアクシデントから彼の牙をその身に受けたエルシアは、徐々にヴァンパイアという存在に興味を持つようになり、やがて――。
まず、ヒロインであるエルシアの人物像にとても好感が持てます。商家としての矜持があり、相…続きを読む - ★★★ Excellent!!!夢見る乙女と端麗な偏食ヴァンパイアによる、密やかな溺愛!
恋を知らない夢見る商人の娘、エルシアは、ある夜の社交界で「人の血を吸わない主義」で偏食家のヴァンパイア公子カルティオに吸血されたことで、命を救われる──物語はそんな場面から始まります。
まず、冒頭のヒーローとヒロインの出会いのシーンがとてつもなく美しく、まるで映画のワンシーンの如く端麗です!!
この端麗な描写は物語全体を通して、美しく飾られておりますので、非常に魅力的です。
夢見る乙女と吸血鬼による美しい吸血シーンはもう、最高に艶やかな場面でありますので一番の見所です!!
そして、ヒロインのエルシアとヒーロー、カルティオの密やかな恋愛からの溺愛模様も本当に可愛らしく、いじらしく、応援せ…続きを読む