第28話「奇跡の世界」

究極の闇の力を手に入れたデズモアはパワーアップし、デズモアダークネスとなった。

その圧倒的な力の前にパラディオン、エンジェルパラディオン共に倒されてしまった。

そして、デズモアは変身が解除されたアルスにトドメを刺そうと闇のエネルギー弾を放った。


アルス、絶体絶命の大ピンチ!!


だがその時、暗雲を突き抜け2つの光が天より差し込んみデズモアの攻撃を妨害。

「何だ!?」

「光……?これは一体……?」

2つの光の中から現れたのは2人の騎士だった。


「騎士?まさか……天界騎士か!?」

アルスも驚く。


「ああ……予定より早く約束が果たせそうだ」

「約束?」

「ガキの頃約束したろ?俺が天界騎士になってお前を守るって」

「ま……まさか……」

「まさか俺まで天界騎士になるとはな……」

「その声……まさか君達は!?」


「き……貴様ら……何者だ!?」


「我が名は天界騎士レグザム!」

「同じく天界騎士バルサム!」

「な……何ぃ!?」


なんとこの2人の天界騎士はレグザムとバルサムだった。


「君達……どうして?」


「アルカエル様の粋な計らいだよ」

「消滅したと思っていた俺を天界騎士として生まれ変わらせてくれたんだ……」

「俺もな」

「え?父上が?」


その頃天界では……。


「ふぅ……ギリギリ間に合ったか」

アルカエルは一安心。

「アルカエル様、まさか彼らを天界騎士にするのは……」

「彼らならアルスの力になってくれると信じたんでな。まっ、特例中の特例だがな」


人間界ーー


「馬鹿な……死神と堕天使のお前が天界騎士だと!?ふざけるな!!」

「ふざけてなど居ないさ……俺達は生まれ変わったんだ。アルスと共にお前を倒す為にな!」

「くっ……」

「アルス、シャルルちゃん、力を分け与えるよ。4人で戦おう」

レグザムはアルスとシャルルに光のエネルギーを与え回復させた。


「うっ……」

「シャルル?」

「お兄様……え?誰!?どういう状況!?」

「説明は後だ。とりあえず俺はバルサムだ」

「え?」

「俺はレグザム。宜しく!」

「どういう事!?」

「まっ、2人も天界騎士に生まれ変わったんだ。一緒に戦おう」

「え?えぇ……」

シャルルは訳が分からないまま立ち上がる。


「フッ……フフフッ……お前達が何人集まろうが同じ事だ。究極の闇の力の前にお前達が勝てる見込みなどない!」

「それはどうかな?僕達は互いに激闘を繰り広げてきたライバルであり友だ!その4人が力を合わせればお前なんかに負けない!!行くぞ!」

アルスとシャルルは再び『変身』

パラディオンとエンジェルパラディオンが加わり4人の天界騎士が並び立つ。


「くっ……」


「ところでさ……戦う前にちょっと思ったんだけど……」

「ん?どうしたシャルル?」

「バルサムもレグザムも、天界騎士になってるなら何でもっと早く出て来なかったのよ!バルサムはさっきまで死神だったからまだいいとして、レグザムは結構時間経ってるじゃない?最終回だけ出ても大して出番ないわよ!」

「え?」

「何言ってんだお前?」

「最終回?」

「シャルル……メタ発言するなよ……」

シャルルのメタ発言に困惑する3人。


「お前ら何をごちゃごちゃと……さっさと消えろー!!」

「おっと、とにかくデズモアとの最終決戦だ!皆、行くぞ!!」

「ああ!」

「おう!」

「ええ!」


その頃、車を走らせる秀介は……。

ラーメン野坂に。

「沙耶香……」

秀介は車を止め沙耶香を探しに。


「沙耶香!沙耶香ー!居るのか?無事から返事してくれー!」

だが、沙耶香の声は聞こえない。

「クソッ……」


「きゃーっ!?」

外で明里の叫び声が聞こえる。

「明里さん?」

秀介が急いで外に出ると……。

車ごと闇に飲み込まれていた。

「そんな……明里さん……未来ちゃん……」

そして秀介にも闇が迫る。

「う……うわぁぁぁぁっ!?」

秀介も闇に飲み込まれた。


デズモアダークネスがパラディオン達に攻撃を仕掛ける。

触手を伸ばし再び捕えに。

「させるかよ!!」

左右からレグザムとバルサムがデズモアダークネスに攻撃。

「何っ!?」

攻撃を妨害されたデズモアダークネスの攻撃をパラディオンがかわし反撃。

「はっ!」

パラディオンの『聖剣·レグニス』がデズモアダークネスを斬り裂く。

「ぐあっ!?」

更にエンジェルパラディオンの攻撃。

「くっ……」

闇のエネルギー弾でエンジェルパラディオンに反撃。

レグザムとバルサムがデズモアダークネスを攻撃。

「ぐあっ!?」

「へへっ、流石に4人の動きは対応し切れないみたいだな」

「このまま一気に倒すぞ!」

「お前ら……調子に乗るなよ……」


闇に飲み込まれた秀介は闇の中で目を覚ました。

「ん?……こ、ここは……」

そこは暗く冷たい闇の世界……。

他にも闇に飲み込まれた人々が大勢ここに居た。

その中に沙耶香を発見。

「沙耶香!」

秀介は必死に沙耶香の元へ……。

「沙耶香!沙耶香!」

「秀介?」

「沙耶香、大丈夫か?ここは一体どこ何だ?」

「何処でもない闇の中……もう私達はこの中から出られないのよ……」

「そんな訳あるか!今、アルス達が必死に戦ってる。俺達がアルス達を応援しないでどうするんだ!」

「アルス?」

「ああ、アイツは俺達の世界の為に必死に戦ってくれてるんだ。それを今までそばで見てきた俺達が応援しないと!2人でアルス達を!」

「そうか……そうよね!私達の想いをアルスに……」

「ああ……」

「アルスー!頑張れー!」

「アルスー!頑張れー!」

2人はアルスを必死に応援した。

この声が届くと信じて。


デズモアダークネスが再び強力な闇のエネルギーを集め始め最後にして最大の攻撃を繰り出そうとしていた。


「喰らえ……これで全てを終わらせてやる!!」

「くっ……デカいのが来るぞ……」

「この世界を……守るんだ!」

「アルスー!頑張れー!」

「!今の声は……」

沙耶香と秀介の声はアルスに届いた。


「何だ!?この声はどこから!?」

デズモアダークネスも狼狽える。

「奴の闇の中から聞こえるぞ!」

「沙耶香……秀介……そうか2人はまだ僕達を信じてくれてるんだ……」

沙耶香と秀介がアルスを応援する姿は闇に飲み込まれた人々にも希望を与えていた。

気が付けば多くの人々がアルス達を応援し始めていた。


「ば……馬鹿な……闇の力が……弱まって行く……」

人々は徐々に心の闇から解放されデズモアの闇の力が弱まって行った。


「今だ……皆、今助ける!!」

パラディオンが『アメイジングフォーム』にチェンジ。

そして『アメイジングセイバー』を掲げる。

「皆、アメイジングセイバーに皆のエネルギーを!」

「ああ」

「持ってけ」

「はい!」

バルサム、レグザム、エンジェルパラディオンのエネルギーを『アメイジングセイバー』に集めるパラディオン。

「デズモア!皆の想いでお前を倒す!!」

「くっ……」

パラディオンはデズモアに斬り掛かる。

「お前が究極の闇なら……こっちは究極の光だー!!」

4人の天界騎士の力が込められた最大の必殺技『アメイジングクラッシュ』がデズモアを斬り裂く。

「ぐっ……ぐわぁぁぁぁぁっ!?」

「やった!」

「ぐっ……おのれ……だが……人の心から……闇が消える事は……無い……」

「そうだな。だから僕達は守り続けるんだ。この世界を。消え去れデズモア」

「ぐっ……ぐぁぁぁぁっ……」

デズモアは消滅。

デズモアが倒された事により暗雲も消え青空が戻った。

そしてこの世界に平和が戻った。


「アルスー!」

沙耶香と秀介が駆け寄って来た。

「沙耶香、秀介!」

パラディオン達は変身を解除。

「勝ったんだね」

「うん、皆のお陰で」

「バルサム!?どうして?」

秀介が驚いた。

「奇跡が起きたんだ」

「奇跡?」

「お兄ちゃん!」

未来がバルサムに飛び付いた。

「うをっ!?……未来……」

バルサムは優しく未来の頭を撫でる。


数日後、戦いの終わったアルス達は天界に帰る事に。


マーレイハウスに集まり皆が見送る。


「アルス……本当に帰っちゃうんだね……」

沙耶香が寂しそうな顔で言う。

「うん……デズモアを倒した事で僕の使命は終わった……だから天界に帰らないと……」

「でも、永遠のお別れって訳じゃないよ。また人間界に遊びに来るし」

とシャルルは笑顔で言う。

「そうね、その時は連絡して。美味しいご飯作って待ってるから。ここは人間界に住む天界人の実家だよ」

とマーレイ。

「はい」

「皆ー、天界へのゲートは開いたから。遅れないで」

ライヤが天界へのゲートを開いてくれた。

「ありがとうライヤ。また人間界に来る時も頼むね」

「任せといて」

「よし、行くぞ」

ディアスが帰って1番に帰って行く。

「あっさりしてるな〜……アイツ」

「まぁ、ディアスは人間界に想い入れがないから……」


「お兄ちゃん、また来てね」

未来がバルサムに花を渡す。

「ありがとう。俺が変われたのは未来のお陰だ」

そう言ってバルサムはまた未来の頭を撫でた。

「じゃあな」

バルサムも帰って行く。


「お兄様、私達も」

「ああ……沙耶香、秀介……本当にありがとう!!」

アルスとシャルルも帰って行く。


「アルス……シャルルちゃん……元気でねー!」

「またいつでも来いよー!」

沙耶香と秀介はアルスとシャルルを見送る。


天界ーー


「あの子達も帰って来ますね」

「ああ、立派になってな」

「アルカエル様、ミシェル様、お二人が帰られたら直ぐにお食事のご用意を致しますので」

「ああ、だがその前にここに4人を集めてくれ」

「かしこまりました」


そしてアルス達が帰ると4人が神殿の広間に集められた。


アルカエルが4人の前に現れる。

「お前達、良くやった。皆のお陰で人間界は救われた。これからも天界騎士として日々鍛錬を怠る事なく、世界の平和の為に尽力してくれ」

「はい!」


4人の天界騎士は世界に平和を取り戻した。

しかし、彼らの世界を守る為の戦いはまだまだ続く事だろう。

この奇跡の世界を守る為に。


ー完ー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天界騎士 パラディオン 山ピー @TAKA4414

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ