堕天使襲来

第13話「堕天使降臨」

ここはどこか……暗い場所に彼らは集まっていた。

「時は満ちた……今こそ我らの力を見せてやろう……」

1人がそう声を上げる。

「ならば俺が先行して……」

また1人が名乗りを上げる。

「フンッ……良かろう……我々も直ぐに追い付く……」


何やら怪しげな影が動き出す……。


2024年を迎えた新年の日本。

1月1日。

「新年、明けましておめでとうございます」

マーレイハウスではアルス、沙耶香、マーレイ、アデルが集まり新年の挨拶をしていた。

「さぁ、皆、張り切っておせち料理を作ったから遠慮なく食べてね」

そう言ってマーレイがおせちのお重を開ける。

「うわー!美味しそう!」

「秀介君もライヤも来れなくて残念ね」

「まぁ、秀介はバイト休めないって言ってましたし……」

と沙耶香が言うと……。

「ライヤも今忙しい時期だって」

とアデルも言う。

「まぁ、この時期は天界人の天界と人間界の往来が多いからね……ライヤはその行き来をサポートするコンダクターだから忙しいのよ」

「へぇ〜、やっぱり天界人も里帰りとかするんですね」

「勿論よ。人間も天界人も故郷を思う気持ちは一緒よ」

「アルスは帰らないの?」

「ん?いやぁ、僕は人間界でデビルズと戦う使命があるから……帰ってなんていられないよ……」

「そう……でも帰りたいと思わないの?」

「そりゃあ……まぁ……」


とそこにチャイムが鳴る。

誰かがマーレイハウスを訪ねて来た様だ。

「あら?誰かしら……はーい」

マーレイが出る。


「あら、シャルルちゃん、どうしたの?」

シャルルは慌てた様子で中に入って来る。

「お兄様!!」

「うわっ!?シャルル……何だよいきなり……?」

「直ぐに天界に戻って来て!!」

「はぁ?……あのな、新年の挨拶も無しにいきなり何なんだよ……」

「そんな事どうでもいいから早くして!天界が大変なの!!」

「へ?」

シャルルの物凄い剣幕に圧倒させるアルス。

しかし、その様子にただ事では無い事を感じ取る。


「シャルルちゃん落ち着いて。それじゃ何がなんだか分からないよ」

沙耶香がシャルルを落ち着かせる。

「あっ……ごめんなさい……」

マーレイはシャルルに温かいココアを入れた。


「それで?何があったんだ?」

アルスが改めて尋ねる。

するとシャルルは震えた様子でアルスに天界で起きた事を話始めた。


シャルルの話によると突如天界に堕天使が攻めて来て街は壊滅状態にされたと言う。

天界に住む民達は家を失い一時的に神殿に避難して来てると言う。

神殿を守る多くの兵士達も堕天使の手により犠牲者が次々に出ていると言う。

「堕天使……?」

「そんな……酷い……」

「堕天使と戦うにはお兄様の力が必要だと思って……父上と母上は私1人を逃がして人間界に送ったの……」

「父上と母上は無事なのか?」

「必至に戦ってたけど……今は分からない……」

「そんな……」


「アルス、直ぐに行ってあげな」

マーレイがアルスの背中を押す。

「でも……今僕が離れたら人間界は……」

「大丈夫。人間だってそんなに弱くないよ。それに心配なんだろ?天界の両親が」

「……」

「アルス、行ってきて!」

沙耶香もアルスの背中を押す。

「……分かった。直ぐに戻って来る。シャルル、準備するから少しだけ時間をくれ」

「うん、急いで」

そして、アルスは準備をして天界に戻る事に。


「じゃあ……行って来ます」

「アルス、気を付けてね」

「うん、直ぐに戻って来るから」

「皆さん、お騒がせしました」

シャルルもマーレイや沙耶香に頭を下げる。

「よし、行くか」

「うん……」

アルスとシャルルは天界へ旅立つ。


天界ーー


堕天使:ヴァグレスが天界の兵士達と戦っていた。

「あーあ……まさか兵士共がこんなに手応えがねぇとはな……つまんねぇなぁ……」

既に多くの兵士達が倒されていた。

「こりゃ俺1人で神殿を制圧出来ちまうなぁ」

「貴様……我々を舐めるな!!」

1人の兵士が剣を構えヴァグレスに斬り掛かる。

だが、ヴァグレスは一撃で兵士を倒す。

「だから……お前らじゃ俺に勝てねぇって……」

「ぐっ……う……うわっ!?」

ヴァグレスは兵士をまた1人惨殺。

「さぁ、次の犠牲者は誰だ?」

「くっ……我々では……勝てない……」


ヴァグレスは兵士達と街中で戦い、天界の街はその戦いに巻き込まれ壊滅状態となっていた。


神殿ーー

ここには多くの一般人の天使達が避難して来ていた。

老若男女様々な天使達がここに身を潜めていた。

「ママ……怖いよ……」

1人の少女が母親の服を引っ張りながら恐怖を訴える。

「大丈夫……大丈夫よ」

母親は少女を抱きしめ落ち着かせようとする。

しかし、その母親も震えていた。

「大丈夫ですよ。今、皆様を守る為に必死に兵士達が戦ってますからね」

そう優しく声を掛けるのはアルス達の母親、ミシェル·クイーザーだった。

「じょ……女王様……」

「心配しなくて大丈夫よ」

そう言ってミシェルは優しく少女の頭を撫でた。


その頃、アルスの父、アルカエル·クイーザーは、前線で兵士達の戦いを見守っていた。

「怯むな!何としても民達を守るのだ!!」

「アルカエル様、ここは兵士達に任せて避難して下さいませ」

バサフがアルカエルにそう進言するが……。

「何を言っておる!兵士達が命懸けで戦っているのだ!王である私が逃げる訳にはいかん!!」

「しかし……」


だが、ヴァグレスによって次々に兵士は倒されていった。

もう既に何人の兵士が犠牲となっただろうか……。

「つまんねぇなぁ……雑魚の相手ばっかじゃよ……」

街で戦っている兵士はとうとうあと1人を残すのみとなってしまった。

「あ……あぁ……」

残された兵士は恐怖で足が動かない。

「なんだ?いつの間にかテメェ1人じゃねぇか……んじゃとっとと終わらせてやるか」

ヴァグレスは兵士にトドメを刺そうと迫る。

「早く仲間達の元へ逝きな……」

「や……やめ……」

「そこまでだ!!」

「あん?」

パラディオンが到着しヴァグレスに斬り掛かる。

「おっと……」

ヴァグレスはパラディオンの攻撃を避ける。

「ア……アルス様!?」

「ここまで良く頑張ってくれた……後は任せろ!」

パラディオンは最後まで勇敢に戦って兵士を労いヴァグレスに『聖剣·レグニス』を向ける。

「貴様……堕天使の様だが何者だ!!」

「フンッ……王子様のご到着か……俺は堕天使ヴァグレス。少しは手応えがありそうだな」

シャルルも合流。

「お兄様!」

「シャルル、彼を連れて神殿へ」

「はい!……立てる?」

「シャルル様……えぇ、大丈夫です」

「お兄様、気を付けて」

「大丈夫。さぁ、早く!」

「はい!」

シャルルは兵士を連れて神殿へ走る。


「王子様……お手合わせ願おうか!!」

ヴァグレスはパラディオンに襲い掛かる。

「はっ!!」

ヴァグレスはパラディオンの『聖剣·レグニス』の攻撃を腕で受け止める。

「フンッ……流石は王子……雑魚の兵隊共よりはマシに戦える様だな」

「貴様……兵士達を愚弄する事は許さん!!」

パラディオンは珍しく本気で怒っている様だ。

パラディオンはヴァグレスに反撃。

「フンッ、その程度の攻撃でやられるかよ!!」

2人の戦いは更に激しさを増す。


「フンッ……流石にやるな……」

「くっ……強い……」

パラディオンは必殺技『ジャッジメントスラッシュ』を放った。

光の刃がヴァグレスに迫る。

ヴァグレスは防御体勢に入る。

しかし、何処からか雷撃が放たれ『ジャッジメントスラッシュ』と相殺された。

「何っ!?」

「ん?チッ……何だ、もう来たのか」


「フフフッ……ヴァグレス、そこまでにしておけ」

「お前達は……?」

パラディオンの前に現れたのはヴァグレスの仲間の堕天使達だった。

「我は堕天使アルガム……更に仲間達を紹介しよう」

「私は堕天使カルドロ。以後お見知り置きを……」

「我は堕天騎士レグザム。……パラディオン、貴様は俺が倒す。覚悟しておけ」

「堕天騎士……レグザム?まさか……僕と対となる力……」

そして、リーダー格のアルガムが口を開く。

「天界騎士パラディオン……そして天界の民共……我々は貴様らに天界の明け渡しを要求する」

「何だと!?」


新たな敵堕天使が現れ、天界に向け宣戦布告をしてきた。

果たしてパラディオンは天界を守り抜く事が出来るのか?


続く……。

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