第12話「聖夜の奇跡」
パラディオンはクリスマスデビルズとガトリングデビルズの同時攻撃に敗北し凍り付いてしまった。
パラディオンは敗北した……。
「なぁんだ……呆気なかったぜ」
ガトリングデビルズは飽きた様で去って行く。
「何だったの?アイツ……まぁ、邪魔者は居なくなったし、私はもっと他人の幸せを壊してやる!」
クリスマスデビルズも次のターゲットを探し街の中へ消えて行く。
アルスの帰りを待つマーレイハウスのメンバーは……。
「はぁ……お兄様遅いな……」
シャルルはアルスの心配をしていた。
「シャルルちゃん、アルスに何かあったのかも……探しに行こう」
「沙耶香さん……はい!」
アルスを探しに行こうとする沙耶香とシャルル。
「お待ち」
だが、そんな2人にマーレイが待ったを掛ける。
「アルスはデビルズと戦いに行ったんだよ。アルスが帰って来ないって事はまだデビルズが居るって事だろ?危険だよ」
「でも……」
「アルスを信じておやり」
「……分かりました……」
だが、その頃アルスは……。
パラディオンの姿のまま氷漬けにされ、動けないでいた。
そんなパラディオンに誰かが近付いて来る。
「……哀れな奴だ……」
それはバルサムだった。
マーレイハウスでは帰って来ないアルスにシャルル達は不安を募らせていた。
「ダメ!やっぱり待ってられない!!」
シャルルがマーレイハウスの玄関に走り出す。
「シャルルちゃん!」
沙耶香が追う。
シャルルとそれを追った沙耶香が外に出て辺りを見渡すと、暗い夜道を向こうからゆっくりと何かが近付いて来る。
「アレは?」
街灯が照らしたその姿は……。
なんと、巨大は氷を担いだバルサムだった。
「あれ……あなたは……」
バルサムは巨大な氷を降ろす。
「パラディオン!?何で!?まさかあなたが!?」
沙耶香はバルサムを疑う。
「フンッ、馬鹿な……死神の俺にそんな力は無い」
「死神?お兄様に何があったの?」
「さぁな?……俺が行った時にはもうこの様だった……」
「そう……アルスをここまで運んでくれた事にはお礼を言うわ」
「なら俺は帰らせて貰う」
そう言ってバルサムは帰って行く。
「早くお兄様を助けないと……」
「そうね、早く氷を溶かしましょ」
沙耶香とシャルルは準備に掛かる。
アデルやライヤ、マーレイも協力し、パラディオンの氷を溶かす。
パラディオンの氷が溶けるとシャルルが変身を解除させアルスの姿に戻った。
「ふぅ〜……皆ありがとう」
「いいっていいって、困った時は助け合わないと」
「早くアルスを温めないと……」
「僕、お風呂沸かして来るよ」
そう言ってアデルは風呂場に。
風呂が沸くと沙耶香達は湯船にアルスを入れる。
しばらくすると、アルスは目を覚ました。
「あれ……?ここは?」
「お兄様!」
「あちぃー!!」
アルスは湯船から慌てて飛び出る。
「良かった……」
「いや、熱すぎるって!!何度だよ!?」
湯船の温度設定は60℃になっていた。
「いくら何でも熱いって!……まぁでも……助かった。ありがとう」
「アルスをここまで運んで来たのはあの死神よ」
「え?バルサムが?」
「うん……」
「まさか……バルサムに助けられるなんて……で、バルサムは?」
「直ぐに帰っちゃったわ」
「そうか……」
「ねぇ、何があったの?」
「そうだ!デビルズが……デビルズを追わなくちゃ」
「待ってお兄様、その体じゃ無理よ」
「でも……」
「そうね……今はゆっくり休んで」
アルスもとりあえずはデビルズの気配を感じない為、今日はデビルズを追うのを止めた。
夜ももう遅い。
ようやくバイトを終えた秀介がマーレイハウスに向かう。
「はぁ〜……やれやれ……やっと終わった……皆待ってるかな……」
「きゃーっ!?」と言う秀介の耳に悲鳴が聞こえて来る。
「何だ?……まさか、デビルズか?」
秀介は行ってみる事に。
秀介が悲鳴がした方に行くと先程のクリスマスデビルズがまたしてもカップルを襲っていた。
「うわっ、やっぱり……」
秀介は急いで沙耶香に連絡し、アルスに来てもらう。
アルスも気配に気付いており急いで現場に向かう。
アルスを待つ秀介は……。
「な……何とか助けなきゃ……」
と傍にあったカラーコーンに掛かる黄色と黒の棒を取りクリスマスデビルズに立ち向かう。
「うわぁぁぁぁっ!!」
だが、この程度の武器ではクリスマスデビルズには通用しない。
「何だお前は……邪魔をするな!」
クリスマスデビルズは秀介を投げ飛ばす。
「うわぁっ!?痛ぇ……」
だが、そこに……。
「見つけたぞ……」
ずっとデビルズを探していたバルサムが現れる。
「アイツは……」
バルサムは死神戦士の姿に『変身』
『スカルデスサイズ』を手にクリスマスデビルズに斬り掛かる。
だが、クリスマスデビルズはツリーのツタを使いバルサムを拘束。
「ぐっ……しまった……」
身動きの取れないバルサムにクリスマスデビルズは猛吹雪を浴びせる。
「ぐあぁぁぁぁっ……くっ……このままではアイツの二の舞いだ……」
バルサムが苦戦していると、そこにアルスが到着。
「秀介!」
「アルス!」
「大丈夫か?」
「うん……大した事はないよ……それより……」
秀介はバルサムの方に目をやる。
「バルサム……大丈夫。後は任せて」
アルスは立ち上がると『パラディンブレス』で『変身』
天界騎士パラディオンが登場。
『聖剣·レグニス』を手にクリスマスデビルズに攻撃を仕掛ける。
ツタを斬り裂きバルサムを拘束から開放。
「お前……」
「これで借りは返したよ。奴は強い……手を貸してくれ!」
「フンッ……まぁ、良いだろう……」
バルサムも構えパラディオンと並び立つ。
「どいつもコイツも私の邪魔を……消えろー!!」
クリスマスデビルズが2人に攻撃してくる。
パラディオンとバルサムは左右に別れ攻撃をかわす。
そして、右からのパラディオンの攻撃でクリスマスデビルズを斬り裂く。
「ぐあっ!?」
更に左からのバルサムの攻撃でクリスマスデビルズを斬り裂く。
「うわっ!?」
2人の連携攻撃を喰らいダメージを受けるクリスマスデビルズ。
「ふざけるな……何故……何故私だけこんな目に!!」
クリスマスデビルズは再び猛吹雪を発生させ2人を襲う。
「うわっ!?」
「くっ……こうなったらその魂を……」
バルサムはトドメを刺そうと構える。
「待て!あの人にまで罪はない!」
「貴様……まだそんな甘っちょろい事を!!このままでは俺達が死ぬぞ!!」
「分かってる……だけど……あの人の声を聞きたいんだ……あの人の心の叫びを……」
「くっ……ならば勝手にしろ!次は助けんからな!」
そう言ってバルサムは戦線を離脱。
姿を消した。
「残ったお前1人に何が出来る?もう1度凍りつかせてやる!!」
「見つけるんだ……あの人の心の闇の元凶を……」
猛吹雪に耐え何とかクリスマスデビルズの心の闇を見つけようと奮闘するパラディオン。
そこにーー
「ホホホっ……ならその願いワシが叶えてやろう」
「え?」
老人の様な声が聞こえパラディオンが振り向くとそこに居たのは……。
「サ……サンタクロース?」
そう、サンタクロースだった。
「えぇ!?サンタさん!?何で!?」
秀介も驚く。
「今日はクリスマスイブじゃ……サンタクロースが居て何が悪い?」
「え?いや……そういう意味じゃ……」
「ほれ、奴の心の声を聞きたいんじゃろ?なら、コレが役に立つ。ワシからのクリスマスプレゼントじゃ」
そう言ってパラディオンに包装されたプレゼントの箱を渡すサンタクロース。
「え?僕に?」
「信じるんじゃ……自分の力を……」
そう言ってサンタクロースは去って行く。
パラディオンはそのプレゼントを開けて見る。
「ん?これは?」
中に入っていたのは赤と緑のクリスマスカラーのブレスレット型のアイテム。
パラディオンはそれを右腕に装着してみる。
すると、ブレスレットが光り輝きパラディオンに新たな力を与えた。
「うをっ!?」
パラディオンは全身が赤と緑のクリスマスカラーの姿にチェンジ。
『パラディオン·クリスマスフォーム』となった。
何故……何故私だけ不幸なんだ……
パラディオンに何故かその声が聞こえて来た。
「何だ……?あのデビルズの心の……声?」
何故私だけ……クリスマスに恋人も居らず上司には残業を強いられ……何故私だけ不幸なんだ!!
クリスマスを笑顔で過ごす奴らが憎らしい……。
「そうか……コレがこの人の心の叫び……あなたは1人じゃない!今、その心の闇を消し去ってやる!!」
パラディオンは『聖剣·レグニス』を構える。
そして、クリスマスフォームに秘められた奇跡の力を注ぎ込む。
パラディオンは必殺技『クリスマスラッシュ』を発動。
猛吹雪を掻き分けクリスマスデビルズを斬り裂く。
「ぐわぁぁぁぁっ!?」
クリスマスデビルズは倒され吹雪も治まった。
デビルズから解放された女性が座り込む。
「あなたは決して1人じゃない。来年こそ、素敵な人や友人とクリスマスを楽しんで下さい」
そう言い残しパラディオンは去る。
変身を解除し、アルスの姿に戻る。
すると、右腕の『クリスマスブレスレット』は消えた。
「あっ……ブレスレットが……」
「本当にクリスマスの奇跡だったのかな?」
「きっとね……さぁ、皆待ってる。マーレイハウスに帰ろう」
「うん!」
アルスと秀介はマーレイハウスに帰る。
マーレイハウスでは皆が2人を待っていた。
「あー、やっと帰って来た!早くパーティー始めるよ!」
沙耶香が張り切って2人を出迎える。
「って、その子誰?」
秀介がシャルルを指さして尋ねる。
「僕の妹のシャルルだ」
「へぇ〜、アルスに妹が居たのか〜」
「シャルルです!初めまして。いつも兄がお世話になってます」
シャルルが秀介に笑顔を向ける。
「可愛い〜」
「ほら、クリスマスパーティー始めるよ!」
「うん!」
皆がジュースを持ちマーレイはケーキを運んで来る。
「それじゃあ……メリークリスマス!!」
マーレイハウスでは楽しいクリスマスパーティーが開かれた。
メリークリスマス。
続く……。
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