クリスマス編

第11話「天使達のクリスマス」

2023年12月24日ーー


クリスマスイブのこの日、マーレイハウスではクリスマスパーティーの準備が行われていた。

沙耶香と秀介も招待されていたが、秀介はバイトの為まだ来て居ない。


「沙耶香ちゃん、そっちもう少し上げてくれる?」

とライヤが指示。

「はい!……こんな感じですか?」

「アデル、どう?」

「うん……イイ感じ……」

アデルがボソッと言う。

「はぁ?もっと大きい声で行ってよ!聞こえないじゃない!!」

「あっ!……ご、ごめん……良いと思うよ……」

「まぁまぁ、ライヤさん……アデルさんも手伝ってくれてるんですし……」

「沙耶香ちゃん、アデルを甘やかしちゃダメよ?こんなんだからいつまでもナヨナヨしてるんだから!」

「うっ……ごめん……」

「ライヤさんってアデルさんに厳しいですよね……」

「そう?でもアデルがああなんだもん。小さい頃からね……」


そこへアルスが……。

「アデル……大丈夫?」

「あっ、アルス王子……ええ……大丈夫です……」

「そんな王子なんて止めてって。ただの同居人じゃないか」

「アルス、お帰り。買い物終わった?」

「うん、いや〜どこの店も混んでて買うの苦労したよ……」

アルスは食材の買い出しに行って居た。

マーレイが奥から出て来た。

「ご苦労さまアルス。寒かったでしょう」

「うん……雪降るんじゃないかって位」

「東京の街じゃ雪はまだねぇ。さぁ、アルスが色々買ってきてくれたし、腕によりをかけて美味しい料理作るわよ!」

マーレイは張り切った様子で食材を取り出す。

「ところで……秀介はまだ?」

アルスが尋ねる。

「あー、秀介はまだバイトが終わらないみたい」

と沙耶香が答える。

「そっか……」


その頃、秀介は……。

この日はコンビニでバイトをしていた。

「ありがとうございましたー」

「早く帰って食べよう」

「うん!そうだね」

カップルがクリスマスケーキとチキンを買って帰る。


「はぁ……いいなぁ、リア充は……」

そこへ店長が……。

「田戸君、手が空いたら商品の補充お願いね」

「はーい」

「あっ、後さ……悪いんだけど年末年始も出てくれるかな?」

「えー!?全部ですか!?」

「うん……人手が足りなくてさぁ……お願い」

「はぁ……里中君が居ないから仕方ないっすね……」

そう、このコンビニは以前里中と言うアルバイトがキャットデビルズとなりバルサムによって魂を奪われた為、人手不足の状態であった。


一方、クリスマスパーティーの準備が着々と進むマーレイハウスでは……。

ピンポーンと突如チャイムが鳴る。

「はーい」

マーレイが出る。


「……秀介かな?」

「まさか……まだバイトも終わんないはずよ?」

そして、マーレイが来客を招き入れて戻って来る。

「アルス、お客さんよ」

「僕に?」

そして、マーレイの後ろに付いてきたのは可愛らしい少女だった。

「シャルル!?」

「エヘヘッ……来ちゃった……」

「え?誰誰?まさかアルスの彼女!?」

「え?違う違う!シャルルは妹!」

「あー、なーんだ妹かぁ……えぇっ!?妹!?」

「そんな驚く?」

「え?いや、だって……え?皆知ってたの?」

「そりゃそうよ。天界の王女様だもん」

「天界人なら皆知ってるよ」


「初めまして。アルスの妹のシャルルです。兄がいつもお世話になってます」

とシャルルは皆に笑顔で挨拶した。

「うわ〜!!可愛い!!アルスにこんな可愛い妹が居たなんて……本当に天使って感じね〜」

「僕達も本当の天使なんですけど……」

シャルルの登場にテンションが上がる沙耶香。

「で……何で来たんだ?」

アルスがシャルルに尋ねる。

「だって今年はお兄様居ないし……」

「そっか……そうだよな……」

シャルルも加わりクリスマスパーティーの準備を続ける一行。


「そういえば天界にもクリスマスってあるのね?」

沙耶香がふと疑問に思った事をアルスに尋ねた。

「勿論、クリスマスはキリストの神様の誕生を祝う日だからね、僕達天使にとっても一大イベントだよ」

アルスが答える。

「ああ、そっか!」

「お兄様、こんな感じでどう?」

シャルルがアルスに声を掛け、飾り付けを見せる。

「うん、良いんじゃない!」

「ねぇ、天界のクリスマスも人間界と変わらないの?」

「まぁ、一般的な家庭は変わらないけど……アルスの所は凄かったんじゃない?」

「いやぁ、そうは言っても父上と母上はクリスマスの日は忙しくて今まで僕達だけで過ごしてたから……」

「そうなんだ」

「うん……それで今年はお兄様も居なかったから……」

「シャルルちゃん寂しくなってお兄さんに会いに来たのね」

「いや……まぁ……」

「可愛い〜!!」

沙耶香がシャルルに抱き着く。

「ちょっ、ちょっと……」

照れ臭そうにするシャルル。

だが、そんなシャルルを見てアルスもどこかホッとした様な表情を浮かべている。


その頃、クリスマス一色の街を眺めている1人の女性。

「……皆楽しそう……何で……?何で私だけ辛い思いをしなきゃいけないの?」

「良い心の闇だ……その心の闇……利用させて貰うよ」

女性の前にデズモアが現れた。

「だ、誰!?」

デズモアは闇のエネルギーを女性に注いだ。

女性の心の闇から悪魔が誕生し、クリスマスツリーと融合。

クリスマスデビルズが誕生した。

「皆幸せそうにして……そんな幸せ壊してあげるわよー!!」

クリスマスデビルズは街に居るカップルを次々に襲い始めた。


「!……デビルズだ」

アルスがデビルズの出現を察知する。

「え?こんな時に?」

「お兄様……」

「ちょっと行ってくる!」

アルスはマーレイハウスを飛び出して行った。


クリスマスデビルズは捕えたカップルを吹雪で襲っていた。

「ハッハッハッハッ……いいわぁ……皆凍えなさい!」


そこにアルスが到着。

「あれか……聖なるクリスマスを汚すなんて許せない!」

アルスは『変身』

天界騎士パラディオンが登場し、クリスマスデビルズに斬り掛かる。

「ぐっ……何だお前は……」

「天界騎士パラディオン!悪しき魂を滅す!」

だが、クリスマスデビルズはパラディオンを払い除ける。

「くっ……」

「あなたも凍りつかせてあげるわ!!」

クリスマスデビルズの猛吹雪がパラディオンを襲う。

「うわっ!?……くっ……これじゃ……近づけない……」

凍える様な寒さがパラディオンを襲う。


マーレイハウスでアルスの帰りを待っているシャルルは……。

「お兄様……」

アルスの身を心配していた。


クリスマスデビルズの猛吹雪攻撃に苦戦するパラディオン。

「くっ……ダメだ……このままじゃ……」

凍える様な寒さにパラディオンの体力はどんどん削られて行く。

パラディオンが膝を着く。

クリスマスデビルズはツルを伸ばしパラディオンを拘束する。

「うわっ!?」

そして、周りの建物の壁へパラディオンを叩き付け始めた。

「ぐあっ!?」

パラディオンがクリスマスデビルズに苦戦している所に更に追い討ちを掛ける様に霧島が近付いて来た。

「面白そうな事やってんじゃねぇか……俺も混ぜてくれ……」

霧島はガトリングデビルズに変身。

「ぐあっ……こんな時に……」

「死ねー!!」

ガトリングデビルズはパラディオンを両腕のガトリングガンで一斉に発砲し始めた。

「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」

クリスマスデビルズのツルに捕われ身動きの取れないパラディオンはその攻撃をまともに喰らってしまう。


「ぐあっ……くっ……」

パラディオンをかつてない大ピンチが襲っていた。


その様子を見ているデズモア……。

「いいねぇ……面白くなって来た……」


更にクリスマスデビルズは猛吹雪攻撃。

ガトリングデビルズは一斉射撃を同時に行いパラディオンに大ダメージ。

「うわぁぁぁぁぁっ!?」

クリスマスデビルズの猛吹雪攻撃でパラディオンは凍り付いてしまった。


パラディオンは復活し平和なクリスマスを取り戻せるのか?


続く……。

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