第7話「ハイランク」

里中は病院に搬送されたが、意識は無く医学では手の施しようが無かった。


病院にはアルスと秀介が付き添った。

「バルサム……なんて奴だ……」


アルスは集中治療室で寝かされている里中を見守りながら呟いた。

そこに秀介が店長への電話を終え戻って来た。

「はぁ〜……店長に事情を説明するの大変だった……」

「お帰り……大変って?」

「ああ……魂が抜かれたなんて言っても信じて貰えないからな……店もめちゃくちゃだし……俺、1度店に戻って店長と合流するよ」

「分かった……気を付けて……」

「ああ……あっ!アルス」

「ん?」

「ありがとうな……助けてくれて」

「いや、当然だよ」

「落ち着いたらマーレイハウスに行くよ」

「うん、待ってる」


その後、アルスはマーレイハウスに戻る。


大学とバイトを終わらせた沙耶香がマーレイハウスにやって来きていた。

「え?死神?」

「ああ……とうとう姿を現した」

「そっか〜……死神が居るって本当だったんだ……まぁ、天使が居るんだから死神も居ても驚かないけど……」

「奴のやり方は間違ってる!悪いのは悪魔であって人間じゃない……なのに……」

「強力なライバル出現って感じだね……」

「ライバル?」

「うん。ヒーロー物ではお約束のライバル戦士よ!主人公と考え方の違いで衝突するのがお決まりなの!」

「ふ〜ん……」

「もう少し興味持とうよ……」


そこに秀介が帰って来る。

「お邪魔しまーす」

「あらっ、秀介君いらっしゃい」

マーレイが出迎えた。

「あっ、秀介来た!おかえり」

「ああ……いや〜何とか店は大方片付いたよ……でもまだまだ再開は出来そうにないな〜」

「大変だったね」

「うん……」


その頃、またしてもデビルズを倒されたデズモアは……。

「おのれ……やはりもっと強力な心の闇を持つ人間でなければハイランクは生み出せないか……」


翌日ーー

アルスが朝起きるとリビングにはアデルとライヤが居た。

「あっ、おはよーアルス」

ライヤが元気よく声を掛ける。

「ちょっ……ライヤ……王子に向かってそんな軽く……」

あでるは小さな声でライヤを注意。

「別にいいじゃん、アルスだってただの下宿仲間って言ってくれてんだし。ねぇ?」

「勿論、僕達はただの下宿仲間なんだからそんなにかしこまらないで」

「ほら〜!」

と言いながらライヤは軽くアデルの肩を叩く。

「はぁ……ライヤみたいなコミュ力がもう少し僕にあったらな〜……」

「ホラホラあんた達、早くしないと遅刻するよ!」

マーレイがアデルとライヤを急かす。

「あっ、いっけない!じゃ、じゃあ行ってくる!!」

ライヤは大急ぎでマーレイハウスを出る。

「ちょっ……はぁ……」

「アデル?どうしたの?」

「あっ、いえ……なんでも……僕も行ってきます」

アデルもマーレイハウスを出ていく。

アルスは首をかしげる。

「アルス、あんたもそろそろ仕事探しな」

「え?」

「人間界で生活するならお金が必要だよ。自分が生活する分は自分で稼ぎな」

そう言ってアルスに数冊の求人情報誌を渡すマーレイ。

「あっ……うん……」

アルスはリビングのイスに座り朝ご飯を食べながら求人情報誌を眺める。

「それにしても……何をすれば良いんだ……?」

とりあえずアルスは日雇いのバイトをする事にした。


アルスは早速急遽求人を出していたとある会社の事務で働く事に……。

「いや〜助かったよ。急に社員が体調を崩しちゃってね。元々人手も足りないから困ってたんだ。まぁ、仕事は至って簡単な入力作業だから心配いらないよ」

そう説明するのはこの会社で竹田課長。

「はい、宜しくお願いします」

アルスも挨拶。


早速パソコンを使い、入力方法を教わる。

資料に纏められた情報をパソコンに入力するだけの作業だ。

人間界で始めての仕事をするアルスにもそう難しくはないだろう。


「何か分からない所があったら聞いてね」

「はい!」

竹田課長は中々人柄が良さそうな人物だ。


その頃、デズモアはより強力なデビルズを生む為にとある場所に来ていた。


「見つけた……奴なら深い心の闇を持っている……」

デズモアが目を付けたのは警察署から刑務所にこれから護送される犯罪者、霧島五郎だった。


霧島は5人もの被害者を出した凶悪な殺人犯だ。

その心の闇にデズモアは目をつけた。


デズモアは早速霧島を連行する警察官に襲い掛かる。

「うわっ!?何だお前は!?」

「テメェらに用はねぇよ」

デズモアは警察官を殴り飛ばし気絶させる。

「きっ……貴様ー!!」

もう1人の警察官がデズモアに拳銃を向ける。


「フンッ……そんな玩具で俺に勝つつもりか?」

デズモアは構わず警察官に迫る。

警察官はデズモアに発砲。

しかし、デズモアには全く通用せず警察官の首を掴み締め上げる。

「大人しくしとけば命はあったのになぁ……」

そう言ってデズモアは警察官の首をへし折る。

「お……お前何もんだ?」

霧島がデズモアに尋ねる。


「お前の心の闇を利用させて貰うぞ……」

デズモアは霧島に闇のエネルギーを注ぐ。

霧島は悪魔に変貌し、警察官が落とした拳銃と融合。

リボルバーデビルズが誕生した。

「何だ……?凄い力だ……俺は無敵だー!!」


デビルズの出現を察知したアルスは急に立ち上がった。

「どうしたんだい?」

「すみません、僕ちょっと……」

アルスは急いで現場に向かう。


リボルバーデビルズは警察官を次々に殺害し街へ逃亡。


「良いぞ……奴には素質がある」

デズモアは不敵な笑みを浮かべる。


街へ出たリボルバーデビルズは無差別に人々を襲う。

両腕のリボルバーで発砲し多くの人々が倒れて行く。


そこへバルサムが現れる。

「また新たなデビルズか……」

「何だテメェは?ぶっ殺すぞ!!」

「それはどっちかな?」

バルサムは死神戦士の姿に『変身』


バルサムとリボルバーデビルズが戦い始める。

リボルバーデビルズは形振り構わず発砲。

バルサムは『スカルデスサイズ』で攻撃を防ぎつつ徐々に距離を詰める。

「くっ……」

バルサムは距離を詰め『スカルデスサイズ』を振り下ろす。

だが、リボルバーデビルズはバルサムの攻撃を受け止め反撃の発砲。

「ぐわぁっ!?」


そこにアルスが到着。

「バルサム……」

「!天界騎士か……奴は中々手強いぞ」

「悪いが君に魂を奪わせる訳には行かない!」

アルスは『パラディンブレス』で『変身』

天界騎士パラディオンが登場。


パラディオンがリボルバーデビルズに戦いを挑む。

リボルバーデビルズはパラディオンに発砲。

「ぐっ……」

「俺の邪魔をする奴はぶっ殺す!!」

「何だ……この男の心の闇の深さは……」

リボルバーデビルズはパラディオンを追い詰める。

「ぐはっ!?」

バルサムもリボルバーデビルズに再び攻撃を仕掛ける。

だが、こちらもリボルバーデビルズは応戦しバルサムに反撃。

「ぐっ……強い……ここまでとは……」

「こうなったら……」

パラディオンは『聖剣·レグニス』を取り出す。

必殺技『ジャッジメントスラッシュ』を発動しリボルバーデビルズを斬り裂く。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

「やったか……」

「ぐっ……俺はまだまだこんなもんじゃねぇー!!」

なんとリボルバーデビルズは『ジャッジメントスラッシュ』を耐え切った。

「何っ!?」


そして、リボルバーデビルズの闇の力が増幅し更に進化。


「おお!遂に!」

デズモアはこの瞬間を待っていた。


リボルバーデビルズは更に進化し、ハイランクデビルズとなった。

その名もガトリングデビルズ。

「遂に生まれた……ハイランク……」


「これは……」

「くっ……ハイランクか……厄介な……」

「喰らえ!!」

ガトリングデビルズがパラディオンとバルサムを攻撃。

2人に弾丸の嵐が襲い掛かる。

「うわぁぁぁっ!?」

「ぐあぁぁぁぁっ!?」

「ハーハッハッハッ!!死ね死ね死ねー!!」

パラディオンとバルサムは力尽き倒れた。


「最高の気分だぜ!!」

ガトリングデビルズは2人を倒すとその場から姿を消す。


続く……。

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