第27話「消え行く人々……」

バルサムは自らの命を犠牲にガトリングデビルズを倒した。


九膳岳での戦いはバルサムを失う辛い物になってしまった。


未来と明里を乗せ秀介の運転する車は東京に戻っていた。


「そっかぁ……バルサムが……」

「うん……彼が居なかったらここまで戦えなかった……彼には感謝してもし切れないよ……」

「そうね……堕天使との戦いでも力を貸してくれたし……」

「お兄ちゃん……」

未来の一言にアルスは後部座席に乗る未来の方を見た。

「未来ちゃん寝ちゃってる……寝言よ」

「未来はバルサムの事本当に好きだったんだな」

「あの……教えて頂けませんか?あなた達は一体……」

明里の問い掛けに顔を見合わせるアルスとシャルル。


こうなってしまっては流石に話さない訳にも行かない。

アルスとシャルルは天界から来た天使である事を話した。


「天使?あなた達が?」

「ええ……僕達の戦いにあなた方を巻き込んでしまい、本当にすみませんでした」

「ううん……確かに怖い思いはしたけど……皆さんが必死に助けてくれようとしてたのは見てて分かりますし……」


その頃、姿を消していたデズモアは東京に現れた。

「フフフッ……さっきの戦いで闇の力は十分に集まった……さぁ……いよいよ究極の闇の目覚めだ!!」

デズモアはこれまで人の心の闇から集めた闇のエネルギーを全て解放した。


空に暗雲が立ち込め街を闇が覆い始める……。


「何だ……?空が急に……?」

街の人々も突然真っ暗になった空に驚いていた。


そして……闇が人々を飲み込み始めた。

「きゃーっ!?」

「うわぁぁぁっ!?」

大勢の人々が一気に闇に飲み込まれ街は大パニック。


沙耶香がバイトをしているラーメン野坂でも……。

「あれ?……なんか急に暗くなりましたね……」

「まるで夜だ……一体何が起きてるんだ!?」


闇が店の中にも侵入。

「な……何だ!?」

客の1人が闇に飲み込まれた。

「う……うわぁぁぁぁっ!?」

「ウッ……ウソ……何が起こってるの!?」

「沙耶香ちゃん逃げろ!!」

大将の野坂が叫ぶ。

しかし、その野坂も闇に飲み込まれる。

「う……うわぁぁぁぁっ!?」

「大将!?」

沙耶香は急いで逃げる。


デズモアは大パニックに陥る街を眺めニヤけている。

「いいねぇ……人は誰しも心に闇を抱えている……その闇こそが俺の力になる!!」


空を覆う闇は更に広がり続けていた。


アルス達が乗る車からもそれが見えた。

「何だ?空が黒く……」

「!!」

アルスは何かを感じ取った。

「うぅっ……」

シャルルもだ。

「アルス?シャルルちゃん?どうした?」

「何だか……とてつもない悪意を感じる……」

「え?」

「得体の知れない力が……街を……いや、地球を飲み込もうとしてる……」

「な……何なんだよ……それ……」


それは天界でも……。

「くっ……一体人間界に何が起きてるんだ?」

アルカエルも悪意を感じ取っていた。

「アルカエル様、どうやら人間界で闇のが溢れている様です」

とバサフが報告。

「何っ?……こ、これは!?」

アルカエルは万物を見通す目で人間界で起こっている状況を見た。

「デズモアめ……究極の闇を目覚めさせたのか……」

「究極の闇?それって……」

ミシェルもその正体を知っている様だ。

「くっ……直ぐにアルスに連絡だ!究極の闇を絶対に封印しろとな!」

「しょ、承知致しました!」

バサフは『テンカイフォン』でアルスに連絡。

しかし、既に通信が遮断されアルスと連絡が付かない。

「あ、あれ?おかしいな?」

「バサフ、どうした?」

「アルス様との連絡が付きません」

「何だと!?……まさか……人間界を覆ってる闇が通信を妨害しているのか……」


その頃、ようやく東京に戻って来たアルス達。

ひたすら車を走らせ街を疾走する。

「何だ?東京……だよな?人が全然居ないぞ……」

「皆どこかに避難したのかしら?」

「いや……それにしても人っ子一人居ないなんて……」


そして、秀介が運転する車の前にデズモアが現れる。

「うわっ!?」

秀介は急ブレーキ。

「くっ……デズモア……」

アルスは車を降りる。

「お兄様、待って!」

シャルルも車を降りる。


「やぁ、パラディオン……エンジェルパラディオン……待っていたよ」

「デズモア……これはお前の仕業か!」

「ああ……とうとう究極の闇が目覚めた。この力でお前達を葬ってやるよ……」

「究極の闇……」

「この西原とか言う器はもう要らないな……この人間に返してやるよ」

そう言うとデズモアは西原昴生の体から抜け正体を現した。


デズモアの姿はまさに悪魔その物だった。


デズモアの依り代にされていた西原はその場で気を失い倒れる。

「フンッ……」

デズモアは西原を宙に浮かせた。

「ほらよ」

そのまま西原を投げ捨てる。

「やめろ!」

咄嗟に西原の体は秀介がキャッチ。

「秀介!?」

「くっ……だ、大丈夫……」

「秀介さんナイス!」

「秀介……彼と明里さん達を連れて離れててくれ」

「アルス……うん」

秀介は西原を抱えて車に戻る。

秀介はそのまま車を発進させる。

「フフッ……何処に逃げようが無駄さ、いづれ闇に消える……」

「!……まさか街に人が居ないのは……」

「ああ、この闇に飲み込まれたのさ……この闇はいづれ世界を覆い尽くす……。そうすれば全ての人類が闇に消える事だろう」

「そんな……なんて事を……」

「……お前がそのつもりなら……僕達は全力でお前を止めるだけだ!!」

「フフッ……」

「行くぞシャルル!」

「ええ!」

アルスとシャルルは『変身』

天界騎士パラディオンとエンジェルパラディオンが登場。

「折角だから見せてやるよ……究極の闇の力を……」

デズモアは究極の闇の力で更にパワーアップ。

姿形も変わりより禍々しく恐ろしい姿に変貌した。


「そうだなぁ……名付けて、デズモアダークネスとでもするか」

「デズモア……ダークネス……」

「とんでもない闇の力を感じるわ……」

デズモアダークネスはパラディオンとエンジェルパラディオンに触手を伸ばして攻撃。

「来るぞ!」

「はい!」

2人は攻撃をかわす。

しかし……。

「無駄だ」

更なる触手がパラディオンとエンジェルパラディオンを捕えに襲い掛かる。

「うわっ!?」

「きゃっ!?」


触手に捕まり身動きを奪われるパラディオンとエンジェルパラディオン……。

デズモアダークネスは2人に闇のエネルギーを流し込む。

「うわぁぁぁぁっ!?」

「あぁぁぁ……」

「フフフッ……苦しかろう……光の力を使うお前達には闇の力は地獄の苦しみのはずだ……」

「くっ……デズモアめ……」

「ダメ……力が……入らない……」

デズモアダークネスはエンジェルパラディオンを投げ捨てる。

「きゃっ!?」

「シャルル!!」

「喰らえ……」

デズモアダークネスが強力な闇のエネルギーでエンジェルパラディオンに攻撃。

「きゃあぁぁぁぁっ!?」

「シャルルー!?」


エンジェルパラディオンは大ダメージを受け変身が解除された。

シャルルがその場で倒れる。


「フフッ……奴は回復系の技を使うからなぁ……厄介だから先に消しとくに限る……」

「き……貴様ー!!」

パラディオンは『アメイジングフォーム』にチェンジし触手を引き千切る。

そしてデズモアダークネスに攻撃を仕掛ける。

だが、デズモアダークネスはその攻撃を軽くかわしパラディオンの背後へ……。

「俺はもう闇そのものなんだよ……そんな攻撃無駄だよ」

パラディオンにも闇のエネルギーを至近距離で叩き込みダメージを与える。

「うわぁぁぁぁっ!?」

地面に叩き付けられたパラディオンは変身が解除された。

「くっ……シャ……シャルル……」

倒れたシャルルの方に手を伸ばすアルス。

「フフッ……美しい兄妹愛だ……ヘドが出る」

デズモアダークネスはアルスに闇のエネルギー弾を放つ。

アルス、絶体絶命の大ピンチ!!


続く……。

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