第26話「気付いた気持ち」

ガトリングデビルズの攻撃を受け、バルサムは大ダメージを受ける。

「うわぁぁぁぁっ!?」


「バルサム!?」

「ぐっ……俺は……大丈夫だ……それより……未来を……」

「バルサム……あ、ああ……」


「2人ならここに居るよ」

デズモアは磔にした未来と明里を3人に見せ付ける。


「助けてー!?」

「あっ……未来ちゃん!?」

「デズモア!2人を離せ!!」


「何で?それじゃあ面白くないじゃないか……」

「面白く……無い?」

「そう……これはショーなんだよ。人間を愛してしまった愚かな死神がその愛故に無惨に死に行く姿を見せる為のね……」


「ふざけるな……ふざけるなー!!」

パラディオンがデズモアに攻撃を仕掛ける。


だが、その攻撃は何者かに阻まれる。

「うわっ!?」

「デビルズ!?」

そこには2体のデビルズが居た。


「ああ……久しぶりのハイランクだ……楽しんで行きな……」

2体のデビルズはハイランクデビルズのコブラデビルズとクロコダイルデビルズだった。


「くっ……ハイランクか……」

「お兄様、戦うしかないですよ」

「ああ……早く倒して2人を救出しよう」

パラディオンとエンジェルパラディオンが構える。


「フフッ……行け」

デズモアの指示でコブラデビルズとクロコダイルデビルズがそれぞれパラディオンとエンジェルパラディオンに襲い掛かる。


「くっ……」

「だから……他所見してんじゃねぇー!!」

ガトリングデビルズもバルサムに襲い掛かる。

3人はそれぞれハイランクデビルズとの戦いに苦戦……。


ガトリングデビルズの攻撃が容赦なくバルサムを追い詰める。

「ぐはっ!?」

「オラオラオラ!!」

「ぐあぁぁぁっ!?」


「バルサム!?」

「テメェは自分の心配をしろ!!」

コブラデビルズがパラディオンの腕に噛み付く。

「ぐあっ!?」

猛毒を注入しパラディオンを苦しめる。


「あっ……あっ……あっ……」

直ぐに体が痙攣し始め変身が解除されるパラディオン……。

アルスが倒れ込む。


「お兄様!?」

エンジェルパラディオンが直ぐに手当てをしようとするがクロコダイルデビルズの突進攻撃に弾き飛ばされる。

「きゃっ!?」

クロコダイルデビルズのパワー攻撃はエンジェルパラディオンとは相性が悪かった。


クロコダイルデビルズは更に容赦なくエンジェルパラディオンを攻撃する。

「あっ……」

「シャ……シャルル……」

アルスはエンジェルパラディオンを助けようと必死に体を動かすが、思うように動かない……。


「くっ……パラディオン……エンジェル……」

バルサムも何とか立ち上がる。

「フンッ……流石死神……しぶといな……」

「くっ……邪魔だ!!」

バルサムは『スカルデスサイズ』を振り回しガトリングデビルズを退ける。

「おっと……」

更に『スカルデスサイズ』の柄を使い砂を立ち上げる。

「うわっ!?」

ガトリングデビルズに目眩ましをし、クロコダイルデビルズへ攻撃を仕掛ける。

「ぐっ……」

「バルサム……さん……」

「今の内に兄貴を……」

「は、はい!」

その隙にエンジェルパラディオンはアルスの元へ。

「お兄様……」

アルスは体が硬直し動けなくなって来ていた。

「急いで毒を……」

「させるかー!!」

ゴブラデビルズがエンジェルパラディオンに襲い掛かる。

「きゃっ!?」

「クソッ……」

バルサムはクロコダイルデビルズを退け今度はコブラデビルズをエンジェルパラディオンから引き離す。


目眩ましを喰らったガトリングデビルズも戻り戦いに参加。

バルサムは3体のデビルズを相手に戦いを繰り広げる。


その間にエンジェルパラディオンはアルスから毒を取り除く。

エンジェルパラディオンの回復技『ヒーリングシャワー』が発動。


しかし……。

「ダメ……回復系の技でも毒は消せない……」

「おい……まだか?長くは保たないぞ……」

バルサムは3体を相手に苦戦しながら言う。

「そう言われても……私の力じゃ……」

「何とか毒を消す技は無いのか!……ん?待てよ……」

「え?」

バルサムは必殺技『デス·スパーダ』で3体のデビルズを退ける。

「どけ!」

「え?」

バルサムはエンジェルパラディオンをどかす。

「我慢しろよ……」

バルサムは右手にエネルギーを集めアルスの腹に突き刺す。

「あっ……!?」

「ちょっと!何するの!?」

「ぐあぁぁぁぁっ……」

アルスは苦しむ。

「辞めて!」

「我慢しろ!」

「ぐぁぁぁぁぁっ!?」

アルスの悲鳴が山中に響き渡る。


「奴め……何をしている?」


そして、バルサムがアルスの腹から右手を引き抜く。

「ぐっ……毒は取り除いた……後はお前の回復技で立ち直るはずだ……」

「え?バルサム……そんな事出来たの?」

「俺は死神だぞ……生と死を操る技は会得してる……ほら、早く回復してやれ!さもないと本当に死ぬぞ!」

「え?ええ……」

エンジェルパラディオンは改めて『ヒーリングシャワー』をアルスに浴びせる。

アルスの表情は大分穏やかになった。


「くっ……おのれ〜……何をしている!!デビルズ達よ、奴らにトドメを刺せ!!」

デズモアがデビルズ達に指示を出す。

ガトリングデビルズが構える。

「喰らえ!!」

両腕から弾丸の嵐が襲い掛かる。

「くっ……」

咄嗟にバルサムがエンジェルパラディオンとアルスの盾になる。

「ぐぁぁぁぁぁっ……」

「バルサム!?」

「悪い……お前ら……後は頼んだぜ……」

バルサムはガトリングデビルズの攻撃を受けながらもガトリングデビルズに立ち向かって行く。

「バルサム……」

アルスが目を覚ました。

「お兄様!気が付いたのね!」

「ガトリング……デビルズ……貴様だけは絶対に道連れにしてやる!!」

「何っ!?」

バルサムはガトリングデビルズを捕える。


「一緒に行こうぜ……地獄にな!」

バルサムは死神戦士の最終奥義『デストロイダイナマイト』を発動。

バルサムの命と引き換えにガトリングデビルズと共に大爆発。

「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!?」


「バルサム!?」

爆炎の中からボロボロになったバルサムが出てくる。

「バルサム!良かった……生きてた……」

「いや……この技は命と引き換えの最終奥義……死神だって無事じゃねぇ……」

「え?……じゃあ……」

「アルス……妹……いや、シャルル……ありがとう……お前達が居たから俺は人間を愛する事が出来た……。2人にも伝えてくれ……ありがとうとな」

「そんな……バルサム……」

徐々にバルサムの体は消滅して行く。

「悪いが……後は……頼んだぜ……」

そう最後に言い残しバルサムは消滅。


「バルサム……バルサムー!?」

「そんな……やっと……仲間になれたと思ったのに……」


「フンッ……死神が死んだか……人間を愛した愚かな死神だったな……」

とデズモアが捨て台詞を吐く。

「デズモア……許さない……お前を……絶対に許さない!!」

「フフッ……なら、残りの彼らを倒してみろ」

コブラデビルズとクロコダイルデビルズはまだ生き残っている。


「ああ……直ぐに倒してやるよ……お前を含めてな!!」

アルスは再び『変身』

天界騎士パラディオンが登場。

そして直ぐに『アメイジングフォーム』にチェンジ。

コブラデビルズとクロコダイルデビルズが襲い掛かって来る。

「シャルル……コイツらは僕が引き受ける……2人の救出を頼む……」

「え?」


パラディオンがコブラデビルズとクロコダイルデビルズにジワジワと近付いて行く。

クロコダイルデビルズがパラディオンに噛み付こうと襲って来る。

「フンッ!!」

パラディオンは一撃でクロコダイルデビルズを斬り裂いた。

「凄い……お兄様が……本気で怒ってる……あっ、早く未来ちゃん達を助けなきゃ……」

エンジェルパラディオンは未来母娘の元へジャンプ。


「デズモア!覚悟しなさい!」

「フフッ……死神は消えた……目的は果たしたから今は引き下がるよ……」

そう言ってデズモアは姿を消した。

「え?……まっ、いいか……大丈夫ですか?」

「ええ……ありがとうございます……」


その頃、コブラデビルズがパラディオンと戦っていた。

「また毒に侵してやろうか!!」

「フンッ……同じ手は食わないよ……」

パラディオンの反撃。

「ぐあっ!?」

コブラデビルズも斬り裂いた。


「纏めてトドメだ!」

パラディオンは必殺技『アメイジングクラッシュ』を放った。

コブラデビルズ、クロコダイルデビルズは共に消滅。


「終わった……」

「お兄様ー!2人は無事よー!」

「良かった……」


未来母娘は無事に救出され怪我も無かった。

「本当にありがとうございました」

「いえ、お二人を必死に助けたのはバルサムですよ」

「え?」

「未来ちゃん、あのお兄ちゃんが言ってたよ。ありがとうって」

「?」

未来は何の事か良く分からない様な顔をしていた。


バルサムは自らの命を犠牲にアルス達や未来母娘を助けた。

彼が人間を愛したのは本当だった様だ。


続く……。

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