第3話「ヒーローになる時」

天界騎士パラディオンがローズデビルズに近付いて行く。

「何だ貴様は……?」

ローズデビルズはパラディオンにイバラの触手を伸ばして攻撃。

だが、パラディオンは『聖剣·レグニス』でイバラの触手を切り裂く。

「何っ!?」

「その人を離せ」

「くっ……ふざけるな!!この女は絶対に殺す!!」

「そうはさせるか!!」

パラディオンは走り出し一気に距離を詰め、ローズデビルズを切り裂く。

「ぐはっ!?」

ダメージを与えた隙にパラディオンは女性を捕えているイバラを切り裂き女性を救出。

「沙耶香さん、この人を頼む!」

「え?わ、分かった!」

沙耶香はパラディオンから女性を預かり安全な場所まで避難する。

ローズデビルズは花粉を放ちパラディオンを攻撃。

「うわっ!?」


そして、女性を取り戻そうと沙耶香にイバラの触手を伸ばし攻撃する。

「きゃっ!?」

沙耶香はイバラの棘で足を怪我して倒れてしまった。

ローズデビルズが沙耶香と女性に近付く。


「ぐっ……沙耶香さん……逃げて……」

パラディオンは体が痺れていて動けない。

しかし、何とか沙耶香達を助けようと立ち上がる。

「くっ……」

パラディオンは『聖剣·レグニス』をローズデビルズに投げ付ける。

「ぐはっ!?」

聖剣に刺された悪魔は身を焼かれる様な苦しみを味わう。

その力でローズデビルズにダメージを与えた。

「くっ……おのれ……」

ローズデビルズは『聖剣·レグニス』を引き抜き逃走。

「良かった……」


その後アルスは何とか力を振り絞り沙耶香と女性を『マーレイハウス』まで連れて行く。

「ちょっと、アルス!大丈夫かい?」

「僕は大丈夫……それより2人を……」

「分かった。でもアルスも横になってなさい」

そう言うとマーレイは沙耶香と女性の手当を始めた。

アルスはまだ体の痺れが残っており、横になって休む事に……。


翌日ーー


アルスはいつの間にか眠ってしまっており、目を覚ました。

「あれ?……眠っちゃったのか……」

「あっ、アルス気が付いた?」

そこには案外元気な沙耶香が居た。

「沙耶香さん……怪我は?」

「大丈夫。大した事ないよ。それにあの人もね」

「そうか……良かった……」

「アルスこそ体の具合いはどう?」

「もう大丈夫。普通に動ける」

「良かった」

「沙耶香さん……僕のせいで怪我をさせてしまって本当にごめんなさい」

「そんな……全然そんな事ないよ!気にしないで」

「ありがとう……」

そんな会話をしていると昨日の女性が出てきた。

「あの〜……」

「あっ、昨日の……」

「昨日は助けてくれてありがとうね」

「怪我の具合いはどうですか?」

沙耶香が女性に尋ねる。

「うん……大した事ない……お世話になったね……私、会社行かなきゃだからそろそろ行くね」

「そんな……またあの悪魔に狙われるかも知れないんですよ?」

「そうですよ。ここに居れば安全です」

「……気持ちはありがたいけどそんな訳にも行かないんだ。今仕事で大事なプロジェクトを任されてるし……」

「でも……」

「あの……じゃあせめて聞かせてくれませんか?何故あの悪魔はあなたを狙ったのか」

「……はぁ……彼ね、私に告白して来たのよ。付き合って下さいって。でも苦手なんだよね……いつもオドオドしてて見た目のキモくて仕事も出来なくて」

「悪口止まんないな……」

沙耶香が思わず呟く。

「だから振ったんだけどそしたらあの有り様よ。全く……オタクは何考えてるのか分からなくて本当無理……これで良いかしら?じゃあね……」

女性は出て行く。


「う〜ん……悪い人では無さそうなんだけど……ちょっと性格キツめね……」

そこに女性と入れ替わる様にマーレイハウスに来客が。

「沙耶香ー!!」

「ん?あの声は……まさか……」

「はーい、ちょっと待ってね」

マーレイがドアを開けると……。

「お邪魔します!沙耶香ー!!」

現れた1人の男。

「やっぱり……」


やって来たのは、田戸 秀介(たど しゅうすけ)(20才)

「秀介……朝から騒がしいな〜」

「沙耶香!!け、怪我したって本当?」

「ああ、うん……ちょっとね、でも全然大した事ないから」

「あの〜……どちら様?」

マーレイが尋ねる。

「あっ、俺、田戸秀介って言います」

「私の幼馴染みなんです……もう秀介!こんな朝から騒いじゃ迷惑でしょ!」

「そんな事言われても沙耶香が怪我したって言うから……」

「ごめんなさい!!」

アルスが深々と頭を下げて謝る。

「ちょっとアルス!?」

「お前か……お前が沙耶香を怪我させたのか!!」

秀介はアルスに掴み掛かる。

「ちょっと秀介、辞めて!!」

「ごめんなさい……僕が付いていながら……」

「ふざけんな!!今回は大した怪我じゃなかったからまだいいよ!でももっと大きな怪我してたらどうするんだ!!だいたいお前誰だよ!!」

「秀介!!……その人はアルス……友達なの。それに怪我したのだってアルスのせいじゃ無いんだからアルスを責めないで」

「……分かったよ……」

秀介はアルスから手を離した。


その頃、昨夜の悪魔ローズデビルズは出社する途中の女性を狙っていた。

「あの女……今度こそ殺す……」

ローズデビルズは再び女性に襲い掛かる。

「きゃっ!?ちょっとあんたまたなの?しつこいわよ!」

「うるせー!!振られた事よりも俺を馬鹿にした事が許せねぇんだよ!!」


「!また出たか……」

アルスは現場に急ぐ。

「あっ、ちょっと!アルス!」

沙耶香が追い掛ける。

「待てよ!!」

秀介も追い掛ける。


「やれやれ……朝から騒がしい子達だね……」


アルスは現場に到着。

するとローズデビルズは女性を捕らえトドメを刺そうとしていた。

「させるかー!!」

アルスはローズデビルズに飛び掛かる。

「うわっ!?……またお前か!?」

そして沙耶香が女性に駆け寄る。

「大丈夫ですか?」

「え……えぇ……」

「何だ?何だよあの化け物……何がどうなってんだ?」

ローズデビルズはアルスを引き剥がす。

「うわっ!?」

「アルス!!」

アルス、沙耶香、女性にローズデビルズが迫る。


「沙耶香……沙耶香が危ない……クッソー!!」

秀介は沙耶香を助ける為にローズデビルズに殴り掛かる。

「うわっ!?何だお前!?邪魔するな!!」

「うるさい!!お前なんか……お前なんか怖くないぞ!!沙耶香は……沙耶香は俺が守るんだ!!」


「秀介……」

沙耶香を守る為に必死にローズデビルズに食らいつく秀介……。

「くっ……、ただの人間に何が出来る!!」

ローズデビルズは秀介を投げ飛ばす。

「うわっ!?」

「秀介!!」

「くっ……負けるか……俺は……沙耶香を……」

「フンッ、貴様の様なただの人間には何もできないんだよ!!」

ローズデビルズのこの一言にアルスが反論。

「知らないのか?大切なモノを守りたいって強く思った時……人は誰でもヒーローになれるんだぜ?」

「アルス君……」

「アルス……」

「フンッ、こんなに弱いただの人間がヒーロー?笑わせんな!!力の差を見せつけてやるよ!!」

ローズデビルズが秀介にトドメを刺そうと右腕の触手を振り上げた。

「あんたやっぱり最低ね!!」

女性からの一言にローズデビルズの動きが止まる。

「……何?」

「あんたは自分の欲望のままに好き勝手に暴れるだけ!彼は大切な人を命懸けで守ろうとしてるのよ!!力の差?ふざけんじゃないわよ!!人間性の違いが雲泥の差なのよ!!」

「ぐっ……」

アルスはこの隙に秀介の元へ走る。

「秀介さん……大丈夫ですか?」

「アルス君……ああ……うん。ありがとう……」

「後は任せて下さい」

そう言うとアルスは立ち上がった。

「ローズデビルズ……ここからは僕が相手だ!!」

「フンッ、また地獄の苦しみを味あわせてやるよ」

「秀介さん、沙耶香さん達と下がってて」

「ああ……うん……」

秀介は沙耶香達の元へ。


「アイツ、大丈夫か?」

秀介が沙耶香に尋ねる。

「大丈夫。アルスはヒーローだから」


アルスは『パラディンブレス』で『変身』

眩い光がアルスを包み天界騎士パラディオンが登場。

「うわーっ!?え?何?何が起こってるんだ?」

秀介は驚きを隠せない。

それもそのはずだ。

さっきまで会話していた人物が突然変身したのだから。


パラディオンは『聖剣·レグニス』を手にローズデビルズと戦い始める。


ローズデビルズはイバラの触手を伸ばしてパラディオンに攻撃。

だが、パラディオンはそのイバラの触手全てを斬り裂いた。

「何っ!?」

パラディオンは一歩一歩ローズデビルズとの距離を詰める。

「ぐっ……だったらこれでも喰らえ!!」

ローズデビルズは花粉を吹き付ける。

パラディオンは背中のマントで花粉を防ぐ。

「同じ手は食わないぞ!!」

そして一気に間合いを詰めローズデビルズを斬り付ける。

「ぐあっ!?」

ローズデビルズはダメージを受ける。

パラディオンは更に連続で斬りつけローズデビルズは追い詰められて行く。

「ぐっ……」

「邪悪なる魂よ、聖なる剣が貴様を滅す!」

パラディオンは必殺技『ジャッジメントスラッシュ』でローズデビルズを斬り裂く。

「ぎゃああぁぁぁ……!?」

ローズデビルズは消滅し、男性は元の姿に戻った。


「あっ……あれ?僕は……何を?」

「あんたねぇ〜あんな事しておいて覚えてないとか言わせないわよ!!」

女性が怒りの表情で男性に迫る。

「ちょっと待って下さい」

パラディオンが女性の前に止めに入る。

「え?」

「彼が心に闇を抱えたのはあなたにも原因があります。悪魔は人の心の闇を好む……その心の闇を生ませない為にももう少し思いやりを持って下さい。でなければ次はあなたが悪魔になるかも知れませんよ?」

「うっ……そ……そうね……」

女性は男性に近付く。

「平山さん、酷い事言ってごめんなさい」

「横井さん……いえ……僕の方こそすみませんでした……」

「さぁ、早く会社行かないと遅刻よ!ホラ立って」

「え?あっ……ああそうか……」

「ホラ早く早く!」


「あの2人和解出来て良かったわね」

「ええ……」

アルスの言葉はあの女性、横井にも届いた様だ。


続く……。

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