第2話「人間界の生活」

初めて人間界に降り立った天界騎士パラディオン=天使、アルス·クイーザーは人の心に巣食った悪魔を倒しサラリーマンを助けた。


そして変身を解除したアルスに沙耶香は興味津々の様子。

「ねぇねぇ、アルスだっけ?さっきのなんなの?教えてよ!」

「はぁ……しつこいな……まぁ見られたらなら仕方ないか……僕は天界騎士パラディオンなんだ」

「天界騎士?何それ!?なんかめっちゃヒーローっぽくてワクワクするんだけど!!」

その時アルスのお腹がなる。

「ん?……なんか……お腹すいたな……」

「お腹空いてるの?あっ!じゃあ私のバイト先のラーメン屋においでよ!」

「ラーメン?」

「出前の予定だったラーメンも溢れちゃったし大将に謝ってもう一回作って貰わなきゃだし。行こっ!」

そう言って沙耶香はアルスの手を引っ張ってラーメン野坂まで帰る。


ラーメン野坂に戻ると大将の野坂はとても心配した様子で駆け寄って来た。

「沙耶香ちゃん大丈夫か?なんか怪物が出たとかで騒ぎになってたから心配してたんだよ」

「ええ、私は大丈夫です。それよりすみません……その怪物のせいで出前のラーメンが……」

「ああ……ラーメンならまた作り直すさ。それより彼は?」

野坂は沙耶香の後ろに居るアルスが気になっていた。

「ああ、彼が助けてくれたんです。怪物から」

「へぇ〜凄いな!君、名前は?」

「名前?あっ、アルスです。アルス·クイーザー」

「へぇ〜外国人なのかい?日本語上手いねぇ〜」

「ええ……まぁそんな所です」

「大将、彼もお腹空かせてるみたいなんです。彼のラーメンも一緒に作ってもらえます?」

「よし来た!」

すると、野坂は急いで2人前のラーメンを作り始めた。

「お待ち!醤油ラーメン一丁!」

「へぇ〜美味しそうですね〜」

「じゃあ私、もう一回出前に行ってくるからゆっくり食べてて」

そう言って沙耶香は再度出前に出掛けた。


アルスは初めてのラーメンを一口食べて見る。

「!!美味しい……」

「だろ?ラーメンの味には自信あるんだ」

アルスは夢中でラーメンをすする。

「あっ、全然聞いてない……」

「もう1杯貰えますか?」

「おっ、兄ちゃん見かけに寄らず良い食いっぷりだなぁ。よし来た!せっかくだから次は味変えるか?」

「他にもあるんですか?」

「おうよ!じゃあ試しに味噌行ってみるか!」

野坂は今度は味噌ラーメンを作り始める。


しばらくして沙耶香が帰ってきた。

「ただいまー」

「お帰り」

「うわっ!?ラーメンめっちゃ食べてるじゃん!」

アルスの食いっぷりに沙耶香も驚く。

なんとアルスは既に5杯もラーメンを食べていた。

「ちょっと……そんなに食べて大丈夫なの?」

「うん、全然大丈夫ですよ?」

「てゆーかお金あるの?」

「お金?」

「まさかお金無いの!?」

「ああ、良いって良いって。こんだけ美味そうに食ってくれたらそれだけで嬉しいぜ。まっ、今回だけは俺の奢りだ」

「大将、気前良すぎ」

「そうか?じゃあ沙耶香ちゃんの給料から引いとくか」

「何でそうなるんですか!?」

「ハハハッ、冗談だよ」

そんな会話をしている間にもアルスは食べ終わっていた。

「ふぅ〜……ご馳走様」

「兄ちゃん本当に食いっぷりが良いな」

「まさかこんなに食べるなんて……」

「沙耶香ちゃんももう上がって良いぞ?出前で時間過ぎちまったし」

「あっ、そうですね。ではお先に失礼します。ねぇ、アルスはどうするの?」

「どうするって?」

「行くとこあるの?」

「まぁ、一応世話になる所は決めてます」

「ふ~ん……じゃあそこまで一緒に行こっ、アルスの話色々聞きたいし」

「ええ…良いですけど」


アルスと沙耶香はアルスが暮らす家に向かう。

「え〜っと……この辺のはずなんだけど……」

「え?本当にこの辺なの?私の家とすぐ近くじゃん!」

「そうなんですか?奇遇ですね」

「そうね……てか、敬語やめない?」

「え?」

「私達同い年ぐらいだろうし敬語で喋るの辞めようよ」

「はぁ〜同い年かどうかは分かりませんけど……沙耶香さんが良いなら」

「じゃあ、敬語辞めよ。所でアルスって何歳なの?」

「ん〜?そう言われても僕達天使には年齢と言う概念が存在しないんです。あっ、しないんだ」

「へぇ〜そうなんだ……え?天使?アルスって天使なの!?」

「あれ?言って無かったっけ?」

「いやいやいや、聞いてないって!!はぁ〜天使って本当に居たんだね……ねっ、その辺の話も聞かせてよ!」

「うん……まぁ、本当は秘密何だけど他の人にバレなければ……あっ、ここだ」

アルスの下宿先に到着した。

オシャレな外観の集合住宅の様だ。

看板には『マーレイハウス』と書かれている。

「マーレイ……ハウス……ここがアルスの下宿先?」

「うん、間違いない!」

早速中に入りドアの前に。

ピンポーンとチャイムを押す。

「はーい!」

中から50代位と思われる初老の女性が出てきた。

「あの……今日からお世話になります。アルス·クイーザーです」

「まぁまぁ、良く来たわね、お父様から話は聞いてるわよ。私はここの管理をしているマーレイよ。そちらは?」

「あっ、初めまして。今坂沙耶香です。今日たまたまアルスと知り合って下宿先が家の近所だってので一緒に」

「そうだったの、さぁさぁお入りなさい」

マーレイは優しく迎え入れてくれた。


「へぇ〜綺麗な所〜」

「ありがとう。今お茶を出すからゆっくりしててね、王子様」

「ええ、ありがとうございます」

「王子様?」

「あっ、いや……僕実は天界の王子なんだ」

「えぇ〜!?……なんか……今日は驚かされてばっかりなんだけど……」

「あら?言って無かったの?」

マーレイがお茶を入れて持ってきた。

「マーレイさんは知ってたんですか?」

「ええ、アルスのお父様とは昔からの知り合いでね、今度息子が人間界に行くから世話を頼みたいって」

「へぇ〜……じゃあマーレイさんも天使?」

「ええそうよ。まぁ、私はほとんど人間界で暮らしてあて天界にはあまり帰らないんだけどね……」

「あの……もし良かったらその……アルス達の世界の事聞かせて下さい」

「良いんじゃない。私も久しぶりに天界の話が聞きたいわ」

「ああ……じゃあ……」

アルスは自分と天界の事を沙耶香に話始めた。

自分が天界騎士として人間界で悪さをする悪魔を倒す為にやって来た事、天界では王である父の元500年近くも修業を続けて来た事等など……。

「あの……さっきアルスから天使に年齢と言う概念が無いって聞いたんですけど……」

「そうねぇ、正確には人間の何倍も長く生きてるから自分が今何歳かなんて忘れちゃうのよね……私も3000年以上は生きてるんだけど……」

「3000才以上って事ですか?天使って凄いですね」

「あっ、でも人間界で生活するには年齢は決めておいた方がいいから……アルスはそうね……19才位かしらね」

「19才ですか……じゃあそういう事にしときます」

「んなアバウトな……」

沙耶香は少し呆れ切りだ。


その頃、昼間悪魔を生み出した男が再び暗躍を始めていた。

「さて……次の獲物は……?」


そこに……。

「お……お願いします!僕とお付き合いして下さい!!」

「はぁ?誰があんたみたいなキモいオタク野郎と付き合うのよ!冗談じゃないわよ!!」

女性は怒ってそそくさと帰って行く。


「何だよ……そこまで……そこまで言わなくても良いじゃないか……クソッ……クソッ……僕を馬鹿にした事を後悔させてやる……」

そこへ男が近付いて来る。

「良い心の闇を持っているな……その心の闇……利用させて貰う……」

男はフラれた男性に闇のエネルギーを送り込み新たなデビルズを誕生させる。

デビルズはその男性が持っていたバラの花と融合しローズデビルズとなり、彼を振った女性に襲い掛かる。

「きゃああぁっ!?」


デビルズの出現を感じ取ったアルスは突如立ち上がる。

「どうしたの?」

沙耶香が尋ねる。

「デビルズが出たんだね」

マーレイは分かる様だ。

「ええ……行ってきます」

アルスは現場に向かう。

「あっ、ちょっと待ってよ!」

沙耶香も追い掛ける。


襲われた女性は恐怖で怯えきっていた。

「ねぇ?僕の事キモいって言ったよね?ねぇ?どうかな?これでもキモいかな?」

女性に迫るローズデビルズ。

「い……いや……キモいっていうか……怖い……」


そこにアルスが到着。

「アイツか……」

アルスは『パラディンブレス』でパラディオンに『変身』

「天界騎士パラディオン!降臨!」

「でたー!変身!」

沙耶香が再び現れたパラディオンに興奮。

「行くぞ……」

パラディオンはローズデビルズに近付いて行く。


続く……。

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