天界騎士 パラディオン
山ピー
天界騎士降臨
第1話「天使降り立つ」
悪魔……それは人の心に宿り悪事を働く存在……。
そんな悪魔と戦う者が居た……。
その名は天界騎士……。
〜天界〜
ここは天使達が暮らす世界。
天使達はここで人間界の平和と発展を見守っていた。
この日、1人の若き天使が父親に呼び出された。
「お呼びですか?父上……」
そう言ってやって来たこの若き天使の名はアルス·クイーザー。
「待って居たぞアルス……」
アルスを呼んだ父親、大天使アルカエル·クイーザー。
彼はこの天界を統べる天使達の王だ。
そしてその息子であるアルスは天界の王子であった。
「アルス、お前は天界騎士として長年修行を積んで来たな」
「ええ、もう500年程になります」
「正確には487年になります」
とワザワザ訂正をしたのはアルカエルの側近バサフ。
「細かいなバサフ……」
「アルス、話を聞け」
「あっ、はい……」
「良いか?いよいよお前の天界騎士としての力を示す時が来た」
「え?それって……まさか……」
「ああ、近々、悪魔の封印が解け人間界に放たれようとしている……お前の天界騎士としての力で人間達に巣食う悪魔を再び封印し人間界に平和を取り戻すのだ」
「いよいよ……人間界に行けるのですね!」
「浮かれてる場合ではありませんよアルス。人間界でお前を待ち受けているのは途方もない脅威なのです」
そう注意するのはアルスの母親でアルカエルの妻である天界の女王ミシェル·クイーザーだった。
「母上……分かっています。しかし、人間界に行く事は僕の夢でもあります。浮かれずにはいられません!」
「はぁ……まったくあなたは……」
「まぁ、良いではないか。アルスは昔から人間界に行きたがっていたからな……」
「まぁ良いってあなた!そんは無責任な!!」
「無責任とはなんだ!?」
口喧嘩を始めるアルカエルとミシェル……。
「はぁ……また始まった……」
呆れるアルス。
「お、お二人共お止め下さい……アルス様の旅立ちですぞ!?」
「おっと……そうであった……」
「ケンカしてる場合じゃ無かったわね……」
「さて、アルスよ……旅立ちにコレを持って行きなさ
い」
そう言ってアルカエルはアルスに人間界と天界の間でも連絡を取り合える携帯電話『テンカイフォン』を渡した。
「これは……テンカイフォン……」
「ああ、人間界に旅立つお前に私達からの贈り物だ」
「困った事があれば直ぐに連絡するのよ」
「はい!ありがとうございます。父上、母上」
「それじゃあ、気を付けてな」
「あまり無理をせず体に気を付けるのよ」
「はい……行ってきます!」
アルスは遂に天界を旅立ち人間界に向かった。
〜人間界〜
天界から見て下の地上にあるのが人間界だ。
大学生の今坂 沙耶香(いまさか さやか)(20才)はこの日もラーメン屋『ラーメン野坂』でアルバイトをしていた。
「醤油、塩ラー一丁、餃子2人前ー」
沙耶香は大きな声でオーダーを通す。
「はいよー!」
奥で調理をする店主の野坂幸治(のさか こうじ)(52才)がオーダーを聞き返事をする。
「沙耶香ちゃん相変わらず元気だねー」
「おいおい、田中さん今時若い女の子の事下の名前で呼んじゃセクハラになっちゃうよ」
近くの会社員であろう2人の中年男性が会話する。
「あっ、私は別に下の名前で呼ばれる位全然オッケーなんで気にしないで下さい」
と沙耶香も笑顔で返す。
「へぇ〜、今時珍しい良い子だよね〜。ねぇ大将!」
「ん?ああ、お陰でこっちも助かってるよ。愛嬌も良いし元気もあって働き者だし」
「ちょっと、褒め過ぎですよ大将!」
少し照れながら沙耶香が返す。
「はいよ!醤油と塩ラー一丁!」
時刻は丁度お昼時の為、店は結構混んでいた。
その頃、地上に降り立ったアルスは……。
「ここが人間界か……思った通り賑やかな場所だな」
街には多くの人が行き交っている。
そんな中、母親と街を歩く1人の少女が赤い風船を手放してしまった。
「あっ……」
と言ったがもう遅い。
風船は手の届かない所まで飛んで行ってしまう。
アルスは高くジャンプし風船を取ってあげる。
「はい」
アルスは風船を少女の元に。
「ありがとう」
「すみません、ありがとうございます」
「いいえ」
親子はアルスに礼を言って去って行く。
「ありがとう……か……」
アルスはなんだか嬉しくなった。
その頃……。
「それじゃあ出前行ってきまーす」
「おう、頼んだよー」
沙耶香は出前に出る。
その頃、1人の青年がビルの屋上から街を見下ろしていた。
「心に闇を抱えた人間……」
すると、公園のベンチで電話をする1人のサラリーマンが目に止まった。
「はい……はい……大変申し訳ございません……はい……以後この様な事はない様に致しますので……」
電話で相手に平謝りをしている様だ。
そして電話が終わると……。
「チッ……ったく!なんで俺があんな奴に謝んなきゃいけねぇんだよ!!ふざけんなチクショー!!」
そのサラリーマンは仕事でトラブルがありイライラしていた。
「クッソー……ムシャクシャする……」
すると先程の青年がサラリーマンに近付いて来た。
「良い心の闇を持っているな……その心の闇……利用させて貰う……」
「はぁ?何だあんた?あっ、今の若い奴に多いって言う厨二病ってやつか!」
青年は闇のエネルギーをサラリーマンに注入。
すると、サラリーマンは心の闇をを増幅され悪魔の姿に変貌。
更に自身が持っていたスマホと融合し怪人スマホデビルズとなった。
「何で俺が謝らなきゃならないんだー!!こんな腐った世の中俺がぶっ壊してやる!!」
スマホデビルズは行動を開始。
街で好き放題暴れ始めた。
デビルズが現れた気配をアルスは感じ取った。
「!邪悪な気配……遂に現れたか……」
アルスは直ぐに気配のする方に急ぐ。
スマホデビルズは周りの建物や車を破壊し人々を恐怖に陥れる。
「どいつもこいつも気に食わねー!!何もかもぶっ壊してやるー!!」
すると、出前で近くを通った沙耶香がスマホデビルズを目撃。
「何あれ!?」
スマホデビルズは形振り構わず周囲を攻撃する。
「きゃっ!?」
沙耶香も巻き込まれる。
沙耶香が自転車から転びラーメンが溢れてしまう。
「あっ……ラーメンが……」
だが、ラーメンの心配をしている場合では無かった。
スマホデビルズは沙耶香の方に向かって来た。
「きゃっ!?」
沙耶香は何とか逃げようとするが、腰が抜けて立てない……。
「俺の力を見せつけてやる……」
スマホデビルズがじわじわと沙耶香に近付く。
「止めろ!!」
「誰?」
声のした方を沙耶香が向くとそこには居たのはアルスだった。
「何だ貴様はー!?」
スマホデビルズは大声で威嚇する。
「悪魔め……地上に災いをもたらす者よ……報いを受けろ!」
アルスは左腕に装着された変身アイテム『パラディンブレス』を構えると『パラディンブレス』が輝き出した。
するとその光はアルスを包み純白の騎士へと姿を変えた。
アルスは天界騎士パラディオンに変身した。
「天界騎士!パラディオン!降臨」
「何……アレ……」
沙耶香は目の前に現れたパラディオンに驚く。
「貴様……邪魔をするなら容赦しないぞ!!」
スマホデビルズはパラディオンに襲い掛かる。
だが、パラディオンはしなやかな動きでスマホデビルズの攻撃をかわし反撃をする。
「ぐっ……チクショー!!」
スマホデビルズは怒りに身を任せパラディオンへの攻撃を繰り返す。
しかし、パラディオンの軽い身のこなしに尽くかわされる。
そしてパラディオンの反撃。
「ぐっ……」
スマホデビルズを怯ませる。
「邪悪なる魂よ、聖なる剣が貴様を滅す!」
パラディオンは『聖剣·レグニス』を取り出し構える。
パラディオンの必殺技『ジャッジメントスラッシュ』がスマホデビルズを切り裂く。
「ぐわぁぁぁぁっ!?」
悪魔の邪悪なる魂は滅され、元の人間の姿に戻った。
パラディオンのこの技は悪しき魂のみを切り裂き決して人間を傷つけない技だ。
「あれ?……私は……こんな所で何を……?あっ、会社に戻らないと!」
サラリーマンは慌てた様子でその場を去る。
パラディオンは変身を解除し、アルスの姿に戻る。
「ふぅ―……」
アルスは立ち去ろうとする。
「ねぇ、ちょっと待ってよ!!」
沙耶香に呼び止められる。
「え?」
「ねぇ、今のどうやったの?変身したよね?ね?ね?凄いじゃ〜ん!ヒーローって本当に居たんだ〜!ねぇねぇ、話聞かせてよ!」
沙耶香は物凄い勢いで食いつきアルスは戸惑う。
「え?え?……君だれ!?」
「あっ、ごめんごめん……いきなりでビックリしたよね。でもそれはお互い様。私は今坂沙耶香、宜しくね!」
「あ……ああ……僕はアルス。アルス·クイーザーだ」
こうして天界に住む天使の青年と地上に住む1人の人間の少女が出会った。
彼らにこれからどんな事が待ち受けているのか?
続く……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます