第17話「ヴァグレスの猛攻」

堕天使達の襲撃を受け最悪の年明けになってしまった天界と人間界。


それぞれの世界の人々は復興に向けて動き始めていた。


天界ーー


復興していく街を見渡すアルカエルとミシェル。

「やれやれ……年明け早々大変な事になってしまったな……」

「そうですね……今回は私達のせいで人間界にも多大な被害が出てしまいました……」

「うむ……しかし、天界を明け渡す訳にはいかん。堕天使達もいつまた攻めて来るかも分からんから警戒を強めなくては……」

「そうですね……多くの兵士が犠牲になりましたし……アルスも……」

「だが、シャルルまで天界騎士になるとはな……」

「一体何が起きたのでしょう?」

「それに関しては今バサフが調べている。いずれ何か分かるだろう」


人間界ーー


こちらも街の復興が進む。


秀介はアルバイトととして復興作業をする工事現場で働いていた。

「あ〜クソッ……こんなに大変だとは……でも日給いいし頑張ろ……」


沙耶香はラーメン野坂でアルバイトを再開していた。

「味噌ラーメンお待ち!」

「おっ!沙耶香ちゃん年明けから元気がいいね!」

「そりゃそうですよ!」

常連さんと談笑しながら仕事をこなす沙耶香。


そこに……。

扉が開き新たなお客が入って来た。

「いらっしゃいませーっ、あっ!」

アルスとシャルルがやって来た。

「やぁ!」

「こんにちは」

「アルス!シャルルちゃん!どうしたの?」

「どうしたのって……そりゃラーメンを食べに来たんだよ」

「沙耶香さんがここで働いてるって聞いたので、お兄様と一緒に来ちゃいました」

「そうなんだ、じゃあ、こちらの席にどうぞー」

沙耶香に案内され、2人はカウンター席に座る。


「シャルルはラーメン初めてだよな?ここのラーメン美味しいぞ?」

「へぇ〜、楽しみ!」

「そっか、シャルルちゃんまだラーメン食べた事無いんだ!」

「はい」

「沙耶香ちゃん知り合いかい?」

大将の野坂が尋ねて来た。

「アルスの妹さんなんです。」

「へぇ〜じゃあ、とびきり美味いラーメン作るからな!」

「はい!」


正月が明け、堕天使達やデビルズの攻撃も無く、平和な時間が流れていた。


その頃、バルサムは街をブラブラと歩いていた。

「あっ!お兄ちゃん!」

「ん?」

声を掛けて来たのは前にバルサムが助けた少女、未来(ミク)とその母親、明里だった。


「あらっ、お久しぶりね」

「どうも……」

バルサムは一応軽い会釈をした。

「この前の火事以来どうしたのか心配してたのよ」

「まぁ、色々と……それより2人は今どこに?」

「今は近くのアパートを借りて住んでるわ」

「そうか……」

バルサムはそれだけ行って立ち去ろうとする。

「何処に行くの?」

「別に行く宛は無い……」

「だったら、一緒にご飯でも食べない?」

「え?」

「うん!お兄ちゃん、行こっ!」

そう言って未来はバルサムの手を引っ張って行く。

「あっ、おい……ちょっと……」

「コラ未来、お兄ちゃん困ってるでしょ?走らないの」

未来はすっかりバルサムに懐いた様だ。

バルサムも不思議と、この親子と居ると心が安らいでいるのを感じていた。


その頃、この平和な時間を壊そうと堕天使達とデズモアが画策していた。

「あ〜あ……平和過ぎてイライラするぜ……」

ヴァグレスは何やら苛ついていた。

「レグザムが回復するまでまだ少し掛かる。それまで暴れて来て良いぞ。こちらは再び天界に攻め込む準備を整えておく」

とアルガム。

「そうか……ならそうするかな」

「デズモア、デビルズの尖兵が欲しい。頼めるか?」

「勿論……お安い御用……」

ヴァグレスは暴れに、デズモアはデビルズを生み出しにそれぞれ出て行く。


「チッ……俺も動けりゃな……」

「レグザム、そう焦るな。もうじきだ」

「ああ……」


「さて、んじゃ退屈しのぎに暴れてやるか。人間共がせっせと作りあげた物をぶち壊すの楽しいんだよな」

そう言ってヴァグレスは工事現場を襲い折角ここまで修復した建物を再び壊し始めた。

卑劣な奴だ。


その工事現場は秀介のバイト先だった。

「うわっ!?……ア……アルスに連絡しなくちゃ……」

秀介はスマホを取り出しアルスに連絡しようとする。

「おりゃあ!!」

だが、ヴァグレスの攻撃で建物が大きく振動し、秀介はスマホを落としてしまう。

「あぁ!?しまった……」


ラーメン野坂でラーメンを食べていたアルスとシャルルは悪意を感じ取った。

「!デビルズ?いや、堕天使か……」

「お兄様、行きましょう!」

「ああ!ご馳走様!」

アルスはお金を置いて出て行く。

「あっ、ちょっと……アルス君お釣り……」

「ああ、私が後で返しておきますから……」

「そ、そうか……じゃあ、沙耶香ちゃん頼むよ」


アルスとシャルルは現場に走る。


その頃、スマホを落とした秀介はスマホを探して逃げ遅れてしまった。

「あっ、あった!」

何とかスマホを回収。

だが、秀介にヴァグレスが迫る。

「フンッ、人間、俺を楽しませてから死ねー!!」


「う……うわぁぁぁぁっ!?」

秀介が叫び声を上げる。


「はっー!」

アルスが到着し、ヴァグレスに飛び蹴り。

「ぐっ……パラディオンか!」

「アルス……」

「秀介さん大丈夫ですか?」

シャルルが秀介に駆け寄る。

「あっ……シャルルちゃん……」

「ヴァグレス!お前達の好きにはさせない!今日ここでお前を倒す!」

「フンッ、やってみろ……」

「シャルル、行くぞ!」

「はい!」

アルスとシャルルは揃って『変身』

天界騎士パラディオンとエンジェルパラディオンが登場。

「行くぞー!!」

ヴァグレスが襲い掛かってくる。

「はっ!」

パラディオンが『聖剣·レグニス』を手に攻撃。

エンジェルパラディオンも『聖剣·エンジェルレイピア』で攻撃。

「ぐっ……だがその程度で……負ける俺じゃねー!!」

ヴァグレスも一歩も引かない激しい戦いを繰り広げる。


その頃、バルサムは未来達と食事をしていた。

だがそこに……。

「キャーッ!?」

と女性の悲鳴が突如聞こえて来た。

バルサムが振り向くとそこには堕天使カルドロが居た。

「堕天使……」

「え?何っ!?なんなのアレ……」

明里は未来を抱いて守ろうとする。

「バルサム……こんな所で食事とはいい気なもんだな」

「貴様……何の用だ?」

「お前と交渉をしに来た」

「交渉?」

カルドロの目的とは?


その間もパラディオンとエンジェルパラディオン、ヴァグレスの激しい戦いは続いていた。

ヴァグレスの一撃がエンジェルパラディオンを襲う。

「きゃっ!?」

「シャルル!大丈夫か?」

「ええ……大丈夫です」

「こうなったら……」

パラディオンは『アーチャーフォーム』にチェンジ。

『セイントアーチャー』を構える。

「フンッ……来るか……」

「喰らえ!!」

必殺技『シャイニングシュート』を放つ。

「ぐぁぁぁぁっ!?」

ヴァグレスに大ダメージを与えた。

「どうだ?」

「ぐっ……クソッ……中々強力な一撃だったぜ……」

「くっ……倒せないか……」

「今度はこっちから行くぜ!!」

ヴァグレスが大技を発動する為、エネルギーを為始める。

「まずい……大技が来るぞ……」

「お兄様、下がって!ここは私が……」

エンジェルパラディオンが前に出て防御の体勢に入る。

ヴァグレスの必殺技『ダークデストラクション』が放たれた。

エンジェルパラディオンは防御技『フルールディフェンダー』を展開し防御。

「ぐっ……うわぁぁぁっ!?」

「うわぁぁぁぁっ!?」

直撃は免れたが大爆発が起こり大きな被害が出てしまった。


「チッ……」


「うぅっ……」

巻き込まれた秀介が大怪我を負い倒れた。

「!秀介!?秀介!!」

パラディオンは秀介に駆け寄った。

秀介は頭から血を流して気を失っていた。


「クソッ……流石に力を使いすぎたぜ……」

ヴァグレスは撤退。


周囲にはまた甚大な被害が出てしまった……。


その頃、バルサムと接触していたカルドロは……。

「フフッ……良いかバルサム?……お前の使命はパラディオンを殺す事……」

「分かった……俺は……パラディオンを殺す……」


バルサムに何があった!?


続く……。

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