第5話「戦慄のアイドル」
ショッピングモールに現れたサイリウムデビルズはファンの人々を洗脳し、アルスに襲い掛からせる。
「うっ……うわぁぁぁぁっ!?」
大勢の人間に追い掛けられ逃げるしかないアルス。
「なっ……なんなんだこの人達!?」
必死に逃げるアルス。
それを追い掛ける洗脳された人々。
騒ぎに気付きライブ会場に戻って来たセブンガールズのメンバー達。
「一体何?」
「きゃっ!?」
そこに居たサイリウムデビルズに驚き思わず声を出してしまったアイカ。
「ん?あらっ、皆も来たのね……じゃあ皆にも見せてあげる……私がトップアイドルになる瞬間を……」
そう言ってサイリウムデビルズはじわじわとアイカ達に迫る。
「その声……まさかアカネなの?」
「ん?気付いた?そうよ、アカネよ!」
サイリウムデビルズは変身を解除しアカネの姿に戻った。
「そんな……アカネ!何でこんな事を!?」
アイカがアカネに詰め寄る。
「あんた達には分からないわよ!!人気の無い私の気持ちなんて!」
アカネはアイカの手を振り払う。
そしてステージの方に戻る。
「皆ー、追いかけっこはもう終わり。戻って来て」
アカネの一声でアルスを追っていたファン達はアルスを追うのを止めアカネの元に戻る。
なるで女王様の様だ。
「あっ……何だったんだ?」
アルスもステージの方に戻る。
「アカネ……ファンの人達をどうするつもり?」
アイカが尋ねる。
「そうね……このまま数を増やして私がトップアイドルに君臨するのを見届けて貰おうかしら……」
そう言って不敵な笑みを浮かべながらアカネは洗脳したファン達と共に姿を消した。
「そんな……」
アイカは泣き崩れる。
「ちょっと……アイカ……泣かないで……」
ナツキがアイカを慰める。
そこにアルスが近付く。
「あの……何があったか話して貰えませんか?」
「あなたは?」
アルスに呼ばれ沙耶香と秀介もセブンガールズの控え室にやって来る。
「え?メンバーの1人がデビルズに?」
「デビルズって……この前の怪物か……」
「うん……それに沢山のファンの人達を連れて行った様だ」
アルスはアイカ達から事情を聞く。
「それで、何故アカネさんはそんな事に?」
アイカはアカネに起こった出来事をなるべく細かく話した。
「アイドルの世界も大変なんですね……」
話を聞き、沙耶香は頷く。
「私達、まだデビューして1年ちょっとで……これからなんです……お願いします!アカネを助けて下さい!」
アイカがアルスに懇願。
「勿論そのつもりです。ただ……アカネさんがデビルズに変身しなければ僕も気配を察知する事は出来ない……今は何も……」
「向こうが動くのを待つしか無いのね……」
「父上だったらアカネさんの存在を感じ取る事が出来るんだけど……」
「父上って……まさか天界の王様!?」
「え?そりゃそうだよ。あっ、そうだ!」
アルスは『テンカイフォン』を取り出し早速父のアルカエルに連絡を取る。
「おお、アルスか、全然連絡が無いから心配したぞ」
「父上……色々ありまして……それより父上にお願いが……」
「ん?お願い?」
アルスがアルカエルに電話をしている間に……。
「なぁ沙耶香……アルスの父親って……」
「うん、天界の王様みたい」
「へぇ〜すげぇな……」
電話を終えるとアルスは『テンカイフォン』をしまい、皆に話す。
「父上が試みてくれるみたいだ。きっと直ぐに見つかるよ」
その頃、アカネは洗脳したファン達を引き連れ遊園地へ……。
「ここならきっともっと多くのファンを獲得出来るわ」
そしてアカネが向かった先はキャラクターショーが行われてる野外ステージへ……。
日曜日の遊園地と言う事もありかなりの人が……。
当然、中には子供連れも多かった。
アカネがキャラクターショーのステージに近付くと子ども達に大人気のヒーロー『超戦士グレイザー』のヒーローショーが行われていた。
「フフッ……悪いけどヒーローさん……あなたへの歓声は私への歓声に変えさせて貰うわ……」
そう言うとアカネはステージに乱入。
グレイザーも悪役の怪人も戸惑っている。
「ちょっとちょっと……あなた誰?……こんな演出聞いてないけど?」
MCのお姉さんが尋ねる。
「演出じゃなくて本物よ!」
アカネはサイリウムデビルズに変身した。
「えっ!?何っ!?グレイザー!何が起こってるの!?」
「え?い、いや、知らないよ……」
「さぁ……私のワンマンライブの始まりよ!」
サイリウムデビルズはまたサイリウムをばら撒き観客を洗脳。
天界でアルカエルがアカネの居場所を感じ取る。
「くっ……遅かったか……」
だが、急いでアルスに連絡。
アルカエルからアカネの居場所を聞いたアルスは沙耶香と秀介、そしてセブンガールズのメンバーと共に遊園地へ向かう。
遊園地は既に大パニックに陥っていた。
「無駄よ。ここに居る全員を私の虜にしてあげるわ!」
逃げ惑う人々を掻き分けながらアルスはステージに近付く。
「辞めろ!!」
「!あんたはさっきの……」
「アカネさん!自分の心の闇に飲まれちゃダメだ!あなたの仕事は人々を笑顔にする物のはずだ!なのに……こんなに沢山の人を悲しませてどうする?」
「うるさい黙れ!!人気の無い私にはこうするしか無いのよ!!」
アルスはアカネに必死に訴える。
だが、アカネは聞く耳を持とうとしない。
「アカネ!!」
後から来たアイカが声を掛けた。
「アイカ……何をしに来た!?」
「アカネ……ごめん……私……アカネがこんなに苦しんでいるのに気が付けなかった……リーダー失格ね……」
「うるさい!!今更何だって言うのよ!!」
「アカネ……あなたは私達の大切な仲間なの!誰1人欠けたってそれはもうセブンガールズじゃないの!だからお願い……戻って来て……」
「う……うるさい!うるさい!!うるさい!!」
サイリウムデビルズはアイカに攻撃。
「きゃっ!?」
「くっ……」
サイリウムデビルズの迫り来る攻撃からアルスが身を挺してアイカを守る。
「……アルスさん……?」
「ここは僕に任せて……今のアカネさんには何を言っても届かない……アカネさんの心に巣くう悪魔を倒すしかない!……沙耶香、秀介、皆を連れて逃げて……」
「いきなり呼び捨てかよ……」
「分かった……秀介、行くよ!」
「あ、ああ……」
「皆さん、こっちに……」
沙耶香と秀介はセブンガールズのメンバーを連れその場を離れる。
「アカネさん……今助けます!」
アルスは『変身』
「天界騎士!パラディオン!降臨!」
サイリウムデビルズが構える。
「あなたも私のファンにしてあげるわ……」
サイリウムデビルズは洗脳した人々を盾にする。
「行くぞ……」
パラディオンが走り出し一気に距離を詰める。
そして、洗脳された人々の前で高くジャンプ。
「何っ!?」
洗脳された人々を飛び越え『聖剣·レグニス』でサイリウムデビルズを攻撃。
「ぐはっ!?」
更に反撃の隙を与える事無く攻撃を続ける。
「ぐっ……おのれ……」
「アカネさん……今、君の心の闇を払う!」
パラディオンは必殺技『ジャッジメントスラッシュ』を発動。
サイリウムデビルズを斬り裂く。
「ぐわぁぁぁぁぁっ!?」
サイリウムデビルズは倒されアカネは元の可愛らしいアイドルの姿に戻る。
「勝った……」
「ハハハハハッ、お見事だパラディオン!」
高笑いと共にあの青年が現れた。
振り向くパラディオン。
「誰だ?」
「我が名はデズモア……悪魔の統率者なり……」
「悪魔の……統率者?つまり……お前が黒幕か!」
「御名答……まぁ、今日はほんの挨拶代わりだ……次に会うのを楽しみにしているぞ……」
「待て!お前の目的は何だ?」
「……世界を暗黒に染める事……」
「なん……だと……」
「じゃあな……」
デズモアはそう言い残すと姿を消した。
「奴が……本当の敵……」
遂にパラディオンの前に現れたデズモアと名乗る男。
パラディオンの本当の戦いはここから始まる。
「アカネ、アカネ!しっかりして!」
アイカが気を失っているアカネを起こす。
その声に気付き振り返るパラディオン。
パラディオンはそっとその場を離れる。
「ん……う〜ん……」
アカネは目を覚ましゆっくりとまぶたを開く。
「アイカ……?あれ?私どうして?」
「アカネ……ごめんね、アカネの苦しみに気付いてあげられなくて……」
「え?……ちょっ……何?」
そこにアルスが戻って来る。
「アカネさん……自分に人気が無いだなんて思わないで下さい。アカネさんにだってちゃんとファンが居るじゃないですか」
「え?」
周りには多くのセブンガールズファンが集まって来ていた。
その中の1人の男性ファンが声を掛けた。
「アカネちゃん!俺、ずっと推すから!一生推すから!頑張って!」
「……ありがとう……」
パラディオンの活躍で1人のアイドルと多くのファンが救われた。
だが、パラディオンの戦いはまだ始まったばかりだ。
続く……。
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