第21話「アルスとディアス……」

アルスはディアスを救う為に本気で戦う事を決意。

「ディアス……お前を必ず……救って見せる!」

「救う?はぁ?何から?……笑わせるな……」

「行くぞ!!」

パラディオンは『アメイジングフォーム』にチェンジ。

『アメイジングセイバー』を手に構える。

「ようやく本気か……」

レグザムも再び構える。


その頃、シャルルは神殿の中へ入っていた。

「お兄様……お父様……お母様……皆、無事で居て……」


だが、アルカエルはアルガムの攻撃により瀕死の重傷を負っていた……。

「がっ……」

「フンッ……手こずらせよって……だが……民達の前で公開処刑する為には、虫の息程度には生きていて貰わんとな……」

アルガムはアルカエルの首を掴み持ち上げる。


「うおぉぉぉぉー!!」

パラディオンがレグザムに挑む。

「はあー!!」

レグザムも迎え撃つ。

互いの剣術で一歩も引かず激闘を繰り広げるパラディオンとレグザム。


その戦いの中でレグザムの心を見ようとするパラディオン。

レグザムは『ダークレクイエム』を再び発動。

パラディオンは『アメイジングクラッシュ』で応戦。

2人の必殺技が激突し再び激しい爆発が起こる。

「ぐぅ……はっ!」

パラディオンの目に見えて来たのは、幼い頃の自分とディアス……。

「これは……見えて来た!」


パラディオンが見た物……それは……。


およそ300年程前、幼い頃のアルスとディアスは互いに天界騎士になるべく修行に励んでいた。


この日も稽古をするアルスとディアス。

「はっー!」

ディアスの攻撃がアルスを追い詰める。

「そこまで!」

声を掛けたのは2人の剣術指南役のラオル。

「ディアス、今のは中々良い剣捌きだったぞ」

「へへっ、ありがとうございます、先生」

と無邪気な笑顔を向けるディアス。

「これでまた俺の勝ち越しだな」

ディアスがアルスに手を差し出す。

「ちぇ……まったく……ディアスは本当に強いな……」

アルスもディアスの手を掴み立ち上がる。

「当たり前だろ!俺は絶対天界騎士になって天界も人間界も守るんだ。お前が王様になった時に堂々と構えていられる様にな!」

「王様か……僕になれるかな?」

「なれる……のではなくなるのですよアルス様。あなたはアルカエル様の御子息にして第一王子なのですから」

とラオルはアルスに唱える。

「は……はい……」

アルスは少し元気がなさげに返事をした。


「稽古の調子はどうだ?アルス」

そこにやって来たのはアルカエルだった。

「父上!」

「アルカエル様、只今一段落した所です」

「そうか。2人共頑張っている様だな。では頑張っている2人に差し入れだ」

そう言ってアルカエルが差し出したのはアップルパイだった。

「うわぁ、アップルパイだ!」

「美味しそう!……でもこれ人間界の食べ物でしょ?どうしたの?」

「この前バサフが人間界に行った時にリンゴを買って来てな。ミシェルが作ったんだよ」

「へぇ〜!母上が!」

「2人で仲良く食べなさい」

そう言ってアルカエルはアップルパイを渡し帰って行った。

「早速食べようぜー」

とディアスがアップルパイを手を伸ばす。

「これディアス!」

「うっ……」

「いつも言っているだろ!王子より先に食べ物に手を出すなと」

「ご……ごめんなさい……」

「アルス様、お先にお召し上り下さい」

「う……うん……」

アルスも少々申し訳なさを感じながらアップルパイに手を伸ばす。

アルスが食べ始めるとようやくディアスもアップルパイを食べる事が出来た。


その後も稽古を続け稽古が終わるとディアスは家路についていた。


その途中、街の人々がディアスを見て話している。

「ねぇ、聞いた?あの子……また王子様に勝っちゃったらしいわよ?」

「聞いたわよ、もう少し身分をわきまえるべきよねぇ」


何故そんな事をコソコソと言われなければならないのか、ディアスは不思議に思っていた。


ディアスが家に帰る。

「ただいまー」

「ちょっとディアス!聞いたわよ!またアルス様に勝って調子に乗ったんですって?お母さん恥ずかしくて表も歩けないわよ!」

母親にまで怒られる始末……。

「なんだよ……アルスがそんなに偉いのかよ!」

「当たり前でしょ!」

「くっ……」

ディアスは家を飛び出して行った。

「あっ、ちょっとディアス!」


クソ……クソ……なんだよ……どいつとこいつも……


そんな事を思いながらディアスはただひたすら走った。


しばらく走ってディアスは小高い丘に辿り着いた。

ここは昔からよくディアスとアルスが遊んでいた場所だ。


大人達は立場や身分の違いにうるさいが、アルスやディアスにとってはどうでも良い事だった。

そう昔から思っていた。

「チクショー……アルスがそんなに偉いのかよ……王子がそんなに偉いのかよ!!」


「何か悩みがあるのか?少年……」

誰かが声を掛けて来た。

「誰!?」

「怖がらなくて良い……私は君の話を聞きたいだけだ……」

「ねぇ、おじさん……王子ってそんなに偉いのかな?……俺はアルスとは友達のつもりだった……でも、大人はアルスは王子なんだから敬えとか敬意を払えとか……分かんないよ……」

「なるほどねぇ……君の考えは間違ってなんかないよ。むしろ間違っているのは身分を分けた大人達の方さ。私も今のこの天界には少々疑問を抱いていてね……本当に力のある者が王様になるべきじゃないのかな?」

「どういう事?」

「力を認められれば誰も君の言う事に逆らわなくなるさ。どうだい?おじさんを手伝って貰えないかな?成功すれば皆が君を認めてくれるよ……王族なんかよりも……」

「おじさん……何者なの?」

「私はアルガム……堕天使だ」

アルガムはニヤリと笑う。


その夜、神殿に侵入者が忍込み神殿で管理されていた闇のアイテム『ダークネスロッド』が盗まれた。


兵士達は必死に侵入者を探す。

「ハァハァ……」

必死に逃げる侵入者。

「居たぞ!!」

兵士が見つけ侵入者を追う。


この騒ぎに眠っていたアルスも起きてしまった。

「ん〜……どうしたの?」

「ああ、アルス様出て来てはダメです」

バサフがアルスを止める。

「だってこんなにうるさくちゃ寝られないよ」


「追い詰めたぞこの盗っ人め!」

兵士が侵入者を追い詰めライトで照らす。

「おっ、お前は……ディアス!?」

「え?」

その名前を聞きアルスは中庭の方を見る。

そこには確かに兵士達に追い詰められたディアスが『ダークネスロッド』を抱えていた。


「ディアス、それをこっちに渡せ……今渡せば大事にはならない」

兵士の1人がそう言ってディアスに手を伸ばす。

「嫌だ!俺は皆に俺の力を認めさせるんだ!!」

「良く言った小僧……」

「誰だ!?」

建物の屋根の上にアルガムともう1人……。

カルドロが居た。

「フンッ……あの少年中々見所がありますね」

「ああ、我らの同志になるだろう」

「おじさん!」

アルガムはディアスと兵士達の間に降り立ち衝撃波で兵士達を倒す。

「うわっ!?」

「小僧……いや、ディアス……良くやったぞ。これで皆がお前の力を認める……だが、その前にこいつらを始末せねばな……」

アルガムは『ダークネスロッド』をディアスから受け取り兵士達を闇の力で攻撃。

「うわぁぁぁぁっ!?」

神殿中に衝撃が響く。


「うっ……ディアス!?」

アルガムはその隙にディアスを抱え神殿の外へ脱出を図る。


だが、そこに稲妻の様なエネルギーがアルガムを貫いた。

「ぐあっ!?」

「そこまでだ!!」

現れたのはアルカエルだった。

「父上!?」

「アルカエル……おのれ……」

アルガムは再び逃走を図る。

「逃がすか!」

アルカエルはもう一度雷撃を喰らわせる。

「父上辞めて!」

アルスはディアスを心配しアルカエルに攻撃を辞めるよう頼むが……。

アルカエルの攻撃は止まらずアルガムに大ダメージを与えた。

「ぐはっ!?」

ディアスもその攻撃に巻き込まれた。

「あっ……あっ……」

ディアスは気を失っていた。

アルガムもダメージを受け倒れ込む。

「今だ!捕らえろ!」

兵士達がアルガムを囲む。

だが、アルガムは『ダークネスロッド』の力で別の空間に逃げ込んだ。


「何っ!?消えた……」

「ディアス……」


そして現在……。


「ディアス……ごめん……僕は君の苦しみに気付けなかった……」

「今更何を……くだらない……」

「僕はあの時、君は死んだと思っていた。だけど……活きていて本当に良かった……」

「あん?だからどうした」

「今、僕にも新たな夢が出来た。僕が天界の王になったら、誰もが平等に暮らせる世界を作る!だが、それにはきっと君の力が必要だ。頼むディアス……戻って来てくれ」

「フンッ……そんな事……どうでも良いんだよ!!」


「盛り上がっているなぁ2人共……」

そこにアルガムが現れた。

「アルガム!?貴様!!」

パラディオンがアルガムに剣を向ける。

「アルガム、何をしに来た。俺達の戦いの邪魔をするな!」

「邪魔をする気はない。だが、パラディオンが死ぬ前に教えておいてやろうと思ってな」

「何っ?」

「お前の父、アルカエルは2時間後に処刑する。それまでに俺を止めてみろパラディオン……お前ごときの力で止められるならな」

「何だと!?貴様!!」


「フンッ……それとレグザム、お前にも力を与えてやろう」

アルガムは『ダークネスロッド』を取り出す。

「パラディオンに対抗する新たな闇の力だ」

アルガムがレグザムに闇の力を注ぎ込む。

「ううっ……うをぉぉぉぉぉ!!」

「な、何だと!?」

レグザムは新たな力、『ダークネスフォーム』となった。

「さぁ、後2時間だ。存分に戦うがよい」

そう言ってアルガムは去って行く。


「くっ……父上を救う為には……戦うしかない!」


パラディオンとレグザムの激闘は続く。


続く……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る