第22話「旧友との別れ」

レグザムはアルガムに新たな闇の力を与えられ『ダークネスフォーム』となった。

そして、アルガムにアルカエルの処刑宣告をされ、2時間のタイムリミットが迫る。


「父上を救う為には……戦うしかない!」

「行くぞ……パラディオン!!」

レグザムはパラディオンに攻撃を仕掛ける。

そのスピードは格段に飛躍していた。

一瞬で間合いを詰めパラディオンに攻撃する。

「ぐあっ!?」

パラディオンはその勢いに押され壁に叩きつけられる。

「ハハッ……やっぱ闇の力は良いなぁ……」


「ぐっ……レグザム……いや、ディアス……これ程まで闇を……」

「ああ、今の俺をかつての俺と思うな!!俺は闇が大好きだぜぇ……」

レグザムは更にパラディオンに蹴りを入れる。

「ぐあっ!?」

「ハーハッハッハッ!!苦しめ苦しめ!お前が苦しむ度に俺の心は満たされて行く……」

レグザムは更にパラディオンを蹴り続ける。

「ぐっ……ディアス……辞めてくれ……」

「そういえばガキの頃は俺の方が強かったよなぁ……そのパワーバランスはまだ変わってねぇ様だな!!」

「ぐはっ!?」

レグザムの執拗な攻撃はパラディオンにダメージを与え続ける。


確かに……ディアスの方が強かった。

子どもの頃からずっとそうだった。

アルス自身もパラディオンになるのはディアスだろうと思っていた。

一体何が違っていたのか……。


アルスとディアスは子どもの頃から修行を共にし天界騎士になる事を目指していた。

ラオルから尋ねられた事があった。


「2人は天界騎士になったら何がしたい?」

ディアスは元気良く答えた。

「俺は悪い奴らを皆倒してこの世界を平和にしたい!」

「それは頼もしいな。期待しているぞ。……アルス王子はどうです?」

「僕は……戦うと言うよりも……皆を守りたい……かな?」

「アルス王子は優しいですね……」

とラオルはアルスに笑顔を向ける。


「そうか……思い出した!」

パラディオンはレグザムに反撃。

「ぐっ……はっ……ようやくおねんねは終わりか?」

パラディオンは立ち上がる。

「ディアス……君が居なくなってから僕の中でもうやむやになってたけど……思い出した!僕の天界騎士としての信念」

「あん?信念?」

「そう。僕はそもそも皆を守る為に天界騎士を目指してたんだ。その皆の中に君も含めて居た!」

「ほぉ……んで?」

「だから……君も……父上も……天界の皆を守る!それが僕がパラディオンになった理由だ!!」

「ケッ、んなことぁどうでも良いんだよ」

「良くない!!」

「あ?」

「僕の大切な人達は絶対に守る!だからこそ……君にも撒けられないんだ!!」


「だったら……倒してみろよ!!」

レグザムが再び攻撃を仕掛ける。

「はっ!!」

パラディオンは『聖剣·アメイジングセイバー』で攻撃を受け止める。

「何っ!?」

そして、『聖剣·レグニス』でレグザムを攻撃。

「ぐはっ!?……何っ!?二刀流だと!?」

「気付いたんだ。君も救う為には何が必要かって……レグニスなら君を傷付けず闇の力だけを斬れるはずだ。この力で君を救う!」

「面白ぇ……なら救って貰おうか?王子様よー!!」

レグザムはまた攻撃を仕掛ける。


「悪しき心を滅する……それが僕の戦い方だ!!」

パラディオンは『聖剣·アメイジングセイバー』で攻撃を受け止め、『聖剣·レグニス』の必殺技『ジャッジメントスラッシュ』を発動しレグザムを斬り裂く。


「ぐあっ!?……馬鹿な……俺の力が……抜けて……行く……」

レグザムの鎧が砕けディアスの素顔が現れる。

「フンッ……今回は俺の負けだな……でも俺が勝ち越してる事忘れるなよ?」

「ディアス……ああ。分かってるよ」

ディアスは倒れ込む。

「ディアス!!」

「だ……大丈夫……ちょっと疲れただけだ」

「ディアス……頼む教えてくれ、父上はどこに居る?アルガムは何処で父上を処刑しようとしてるんだ?」

「……天界の国民皆の注目を集める所はどこだと思う?」

「国民の注目?……まさか、光の広場か!」

「ああ……アルガムはそこに処刑台を設置しアルカエル様を処刑するつもりだ。もうあまり時間は無いぞ」

「分かった……ありがとうディアス。ここで休んでてくれ!直ぐに戻る!」

「皆を守るんだろ?頼んだぜ親友……」

「ああ!」


パラディオンは変身を解除しアルスの姿に戻る。

「ディアス……この戦いが終わったら戻って来てくれよ」

「考えとく……」

「ったく……じゃあ行ってくる!」

アルスは光の広場に向かって走る。


その頃、シャルルは……。

アルガムに連行されているアルカエルに追いつく。

「お父様!」

「ん?これはこれはお姫様……お父上はこれから大切な王としての最後の仕事がありますので……」

「ふざけないで!お父様を返して貰うわ!」

シャルルは『変身』

エンジェルパラディオンがアルガムに斬り掛かる。

「あんただけは絶対に許さない!!」

「フンッ……調子に乗るなよ小娘!!」

アルガムの反撃。

黒い雷撃がエンジェルパラディオンを襲う。

「キャッ!?」


「小娘……お前ごときの力で私に勝てる訳がなかろう」

アルガムはエンジェルパラディオンの首を掴み持ち上げる。

「ぐっ……あっ……ぐっ……」

「お前には特等席で見せてやろう。父親が死ぬ姿を」

エンジェルパラディオンは変身が解けシャルルの姿に戻る。


アルスは光の広場に向かって走る。

光の広場は神殿の中庭中央に位置する王家の式典等を執り行う場所だ。

アルスやシャルルが生まれた時もそこで誕生祭を開き国民にお披露目した。

アルカエルとミシェルの結婚式もそこでやった。

天界の王家に代々使用される格式高い場所。

そんな所で王の処刑など絶対にさせる訳には行かない。

アルスは戦い続け体力の限界が近いながらも必死に走った。


そして光の広場に到着。

既にデビルズ達が処刑台を設置し準備を進めていた。

「お前達!そこで何をしている!!ここは神聖な場所だぞ!!」

デビルズ達はアルスに襲い掛かる。

「ぐっ……」

だが、体力を随分消耗しているアルスは動きが鈍くデビルズ達の攻撃を喰らい続ける。

「ぐっ……こいつら……」

デビルズの一体が背後からアルスに襲い掛かる。

「しまっ……」

反応が遅れかわす事が出来ないアルス。

だがそこへ。

「ぐはっ!?」

「ディアス!?」

ディアスが身を呈しアルスを庇った。

「アルス……大丈夫か?」

「ああ……でもディアス……君は……」

「へへっ……気にすんな……ただの罪滅ぼしだ……こんなんじゃまだ足りないだろうけどな……」

ディアスはデビルズの攻撃で腹を貫かれていた。

「ディアス……血が……」

「当たり前だろ……怪我してんだから……でもな……この程度の奴に負けはしねぇよ!!」

ディアスはデビルズを蹴り飛ばす。

「うっ……」

ディアスは倒れ込む。

「ディアス!?」

「アルス……ごめんな……大して役に立てなかった……」

「そんな事無いよ……ありがとう……助かった……」

デビルズはまだ迫って来る。

「どけよ……そこをどけ!!」

アルスはパラディオンに『変身』し即座に『アーチャーフォーム』にチェンジ。

必殺技『シャイニングレイン』で周囲のデビルズを一掃。

直ぐに変身を解除してディアスの元に駆け寄る。

「ディアス!」

「はぁ……はぁ……やっぱ……お前は……強いな……天界騎士になれた訳だ……」

「ディアス……分かったからもう喋るな……」

「喋らせてくれよ……お前に言いたい事は沢山あるんだ……」

「分かったよ……そんなの元気になったらいくらでも聞くから!」

「残念だが……それは無理そうだ……アルス……ごめんな……それと……ありがとう……」

そう言い残しディアスはそっと目を閉じた。

「ディアス?……ディアス!おい!目を開けろ!死ぬな!!」

ディアスはそのまま目を開ける事は無く、光の粒子となって消えて行った……。

「ディアスー!!」

ディアスは最後に光になる事が出来た。

ディアス自身の心も救われたのだろう。


そこへ……。

「おや?まだ処刑台の準備が出来ていない様だな……」

アルガムがアルカエルとシャルルを連れてやって来た。


「アルガム……」

「アルス王子……君とシャルル姫には父上の最後を特等席で見せてやろう……」

「アルガム……お前だけは……絶対に許さない!!」


今、アルガムとの最終決戦が始まる!!


続く……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る