設計
翌日、アルスは徹夜で描き上げたサルサの再整備計画のイメージ図を手に、土木庁の会議室へと向かった。そこでは既にイーナが待っており、各部署の責任者たちも集まっていた。部屋の中央には大きなテーブルが置かれ、その上に広げられたサルサの地図が目を引く。アルスは地図の横に、自分が描いた新しい都市のイメージ図を並べた。
「皆さん、今日から王都サルサの再整備計画を本格的に始動します。ここに描いたのが、私の提案する新たなサルサのイメージです。」アルスはそう言うと、徹夜で描いたイメージ図を見せた。
イメージ図には、現在のサルサの外壁よりさらに外側に広がる新しい外壁が描かれ、その内側には拡張された居住エリアや、観光エリア、宿泊エリアが見事に配置されていた。観光エリアには公園や市場、劇場といった施設が点在し、宿泊エリアには大型の宿泊施設や温泉街のようなリゾート施設が描かれている。アルスはイメージ図を指しながら説明を始めた。
「まず、外壁工事を魔法工事で早急に進め、拡張区域を確保します。その後、拡張した居住エリアを整備し、次に観光エリアや宿泊エリアを整備していきます。観光エリアには、市場や劇場、広場などを配置し、他国からの観光客も楽しめる場所を作ります。そして、宿泊エリアでは、大型の宿泊施設や温泉を含むリゾート施設を設けて、滞在客がゆったりと過ごせる環境を整えたい。」
イーナが興味深そうに口を開いた。「観光と宿泊をセットにすることで、観光客の滞在期間も長くなるわね。観光だけでなく、リラックスできる場所があれば、経済も潤うわ。」
「そうだ、イーナ。そのために、地元の商人や工芸家たちとも連携して、彼らの技術を活かした特産品を並べる市場も作る予定だ。ここに来れば、異国の文化や特産品に触れることができるようにしたいんだ。」アルスの言葉に、イーナは大きく頷いた。
そして、会議の席に参加していた土木庁の技術長が口を開いた。「外壁工事の魔法工事は確かに速いが、計画には慎重を期すべきです。魔力消費も大きいため、魔法庁との連携が重要です。既にイーナさんから依頼が行っているようですが、具体的なスケジュールを確認し、進行状況を見ながら進めていく必要があります。」
「その通りだ、魔法庁とは密接に連携を取って進めよう。魔法工事の効率を最大限に活かすため、まずは最初の外壁工事に集中し、その後、順次居住エリアと観光エリアの整備に入る。この段階で地元の工事業者たちにも積極的に参加してもらうことで、工事の速さと品質を保つつもりだ。」アルスは続けた。
その後、会議は具体的なスケジュールや資材の調達方法、魔法工事の安全対策など、詳細な議論に移っていった。アルスは熱心に説明しながら、各部署の意見や質問に真摯に答えていった。すべての準備が整い、計画が具体化していく中、参加者たちの顔には期待感と使命感が漂っていた。
会議の終了後、イーナがアルスに声をかけた。「これだけの規模のプロジェクトを短期間で進めるのは、かなりの挑戦ね。でも、うまくいけば王都サルサがもっと魅力的な都市に生まれ変わる。そう思うと楽しみだわ。」
「そうだな、俺たちが作る新しいサルサは、きっと多くの人々を引きつける場所になる。それに、公国と王国だけでなく、他国とも繋がるきっかけになるだろう。」アルスはイーナに微笑みながら答えた。
そして数日後、いよいよ最初の外壁工事が始まった。魔法工事の特性を活かし、建設現場では見事に魔法による壁の形成が進められていった。その光景は、工事の進捗を見守る人々にとって圧巻であり、まるで魔法そのものが街を守るような印象を与えた。
これから始まる大規模な再整備計画。アルスの描いた未来図は、サルサの人々に新たな希望と期待をもたらし、次第に実現へと向かっていくのだった。
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