ノスタ家の晩餐会
ネーサ周辺の復興事業、治水事業は宰相府でさが指揮し進められている。復興事業の堤防の補修は魔法庁の協力もあり、普及が完了した。やはり魔法は有能である。しかし魔法ばかりを多用すれば既存の産業の衰退、経済の衰退に繋がりかねない。それを阻止するために魔法による事業を統括する必要がある。
アルスは新たに国土開発、管理を担当する国土庁の新設を国王と宰相に提案した。そして回答はすぐに出た。
国土庁の新設を許可と。
そしてこの国土庁の大臣にはノスタ財務大臣が就任し、アルス同様にふたつの大臣職を兼務することとなった。
そして今日は8月1日。
王都のノスタ公爵邸で就任の晩餐会が開かれていた。
会にはサーナス家からアルスとサノスが出席した。今からちょうど挨拶に向かうところである。
「父様、さすが公爵ですね。挨拶するまでにまだまだ時間がかかりそうです…」
「うむ、そうだな…」
なんとノスタ公爵ロフに挨拶しようとかなりの長い列ができていた。
ロフは超重要な財務庁を管轄し、爵位も公爵。そして今後大きな役割を持つ国土庁も管轄することとなり、ノスタ家はより力を持つこととなった。
となればどの家もお近づきになりたい。それが今のこの行列である。
そして体感30分ほどが経った。
ようやく順番が回ってきた。
「ノスタ公爵、この度は国土大臣就任おめでとうございます。」
サノスとアルスはロフに挨拶をする。
「サーナス侯爵、そしてアルス殿。本日はどうもありがとう。いつもサーナス家には大変お世話になっているよ。……サーナス侯爵、この後話したいことがあります。応接室へ来ていただけませんか?」
「話ですか…承知しました。お伺いいたします。」
こうしてロフへの挨拶は終わった。
それにしてもロフからの話とはなんだろうとアルスは思った。それに今回はアルスは呼ばれなかった。いつもならこのような時は同席するように言われるからだ。
そしてその後は食事会が開かれ、アルスは美味しい食事を楽しんだ。
「サーナス侯爵、旦那様が応接室でお待ちです。」
「うむ…」
ノスタ家の執事がサノスを迎えにきた。
「アルスは先に戻っていなさい。」
「は、はい。では先に屋敷に戻ってます。」
「気をつけて帰りなさい。」
そういうとサノスは執事について応接室へと向かっていった。
「はぁ、なんだろう。話って…まぁ帰るか…」
アルスはサーナス家の屋敷へと帰った。
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「ノスタ公爵、お話とは一体…」
サノスはロフとふたり応接室で向かい合っていた。
「サーナス侯爵、いやサノス殿。今日呼んだのはアルスくんにうちのリエラを婚約させたいと思い呼んだのです。」
「婚約ですか…我がサーナス家としては大変ありがたいお話です。」
「そう言っていただけて嬉しいよ。」
ロフは笑顔を浮かべる。
この時代の婚約は貴族の家の当主同士が話し合い決める。
両者が納得すればそれで成立するのである。
「アルスくんのおかげでうちのリエラは大きく成長できました。アルス・リエラに始まり、今はオースで責任者として街づくりまで…見違えるほど立派な娘となりました。全てアルスくんのおかげ。リエラもアルスくんのことを好いています。」
ロフの語り口に熱が入る。
「ノスタ家の意向はわかりました。サーナス家当主である私はこの婚約に賛成です。我が家としてはアルスの意向を聞くだけです。」
「そうですか。回答は急ぎません。」
「では、屋敷に戻り、アルスに聞きます。では本日はこれにて。」
「サノス殿ありがとう。」
こうしてサノスとロフの会談は終わった。
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