ノスタ公爵領編

15歳になりました。

水路を作ってから、約5年が経ち、アルスは15歳になった。

この間アルスは、勉強はもちろん、剣術、武術に力を入れて生活をしてきた。

勉強は前世の知識で事足りたため、剣術、武術をサーナス侯爵家の騎士団で訓練する日々だった。

剣術、武術の腕はこの5年間、家からほとんど出ず訓練したためかなり上達していた。


そして今日は教会に洗礼に行く日であった。この世界の15歳になった子供は皆教会に行き、神に健康に成長している事を報告し、祈る文化がある。

この洗礼を受けることで、自らが持つスキルや加護、魔力量といったものが記載されるステータスボードを見ることができ、魔法も使えるようになる。


アルスはこの洗礼を転生以来待ち遠しく思っていた。なぜならアルスには創造神ザインとの約束があったからだ。楽しみで仕方がない。

アルスは新しく仕立てた貴族の外出用の服に着替え、部屋を出てエントランスへと降りた。

エントランスにはサノスとルナ、御者を務めるセシルが待っていた。


「アルス似合ってるじゃないか。」


「えぇ、とてもよく似合っているわ!さすが私たちの子ね!」


サノスとルナに褒められ少し照れくさかった。

この5年で容姿もかなり変わってきた。成長したことで身長も伸びたし、訓練により筋肉質にもなった。顔もサノスとルナの遺伝子をしっかりと継承し、とてもイケメンだ。本当にこの2人から生まれてよかったと思うアルスであった。


「皆様、馬車の準備ができております。いつでも出発できます。」


セシルに促され、教会へ向かうのであった。


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教会は領都スパムの西側にある。領主邸からは馬車で10分程でついた。教会は高さ約16メートル。素朴であるが、とても立派である。サノス曰く、王都の教会はこの3倍はあるという。


この世界の宗教は統一教であり、どの国も同じ神を崇拝している。統一教は創造神をトップとして、9柱の神がいる。

創造神ザイン

生命神レーネ

魔法神メヌ

剣神サルタ

武神ナリム

農業神マリル

商業神ボルテ

大地神キルタ

技術神ケルト

である。

アルスは全ての神を見たことがあったが、話をしたのは創造神ザインと生命神レーネだけである。アルスは他の神々と会えるのをとても楽しみにしていた。

馬車を降りると、司祭が出迎えてくれた。


「お待ちしておりました、侯爵様。」


「出迎えありがとう、司祭。今日は息子のアルスの洗礼で訪れさせてもらった。よろしく頼むよ。」


「アルスです。司祭殿、本日はよろしくお願いします。」


アルスも司祭に挨拶をした。


「おぉ、こちらがかの有名なアルス様ですか。お噂は聞いております。さぁ、早速洗礼を始めましょう。」


一体どんな噂を聞いているのか気になったが、アルス達は教会に入った。


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教会に入るとアルスだけが礼拝堂に案内された。洗礼は子供だけで行われるのが習慣で、サノスたちとはわかれた。


礼拝堂に入るとアルスは椅子についた。そして司祭が祈り始める。


それと同時に神に今までの感謝を心の中で伝えるように言われ目を閉じて祈ると、突然視界が明るくなった。


「えっ、目を閉じてるのにどうして!」


アルスは焦っていると聞いた事のあるあの声が聞こえてきた。


「ホッホッホ、久しいの。翔太くん。」


声のするほうを向くと創造神ザインともう1柱の男性の神がいた。

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