補佐官

サーナス家の屋敷に戻り、アルスは王城での出来事をサノスとルナに報告した。

まさかの大臣と伯爵になったことに2人ともかなり驚いていたが祝福をしてくれた。


「さすが私たちの息子ね!」


ルナは興奮のあまりアルスに抱きついた。


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そして次の日、初登庁の日を迎えた。

アルスが屋敷を出る時には、サノスは既に法務庁に登庁をしていた。

初登庁ということもありルナが外まで見送りに出てくれていた。


「アルス、初登庁で緊張するかもしれないけどあなたなら大丈夫よ。行ってらっしゃい。」


「はい母様、行ってきます。」


ルナに温かく送り出され、アルスは馬車に乗り込んだ。


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この国の行政機関は国王をトップに宰相府、財務庁、外務庁、法務庁、商務庁、農林水産庁、工務庁、魔法庁、教育庁、労働庁、国防庁の11の大きな官庁がある。

宰相府を除く10の官庁は全て西エリアにあり、各庁ごとに大臣がトップを務める。


馬車は外務庁へ着いた。馬車を降りると1人の紫髪の美少女が立っているのが見えた。かなりの美少女だ。

そんなことを思っていると美少女はこちらへと近ずいてきた。


「お待ちしておりました。アルス大臣。」


美少女は一礼する。


「あなたは?」


「はい、私は本日よりアルス大臣の補佐官兼秘書を務めるイーナ・フォン・リスタと申します。リスタ侯爵家当主ダット・フォン・リスタの長女になります。」


「リスタ侯爵家って宰相の娘が補佐官!!」


アルスは驚いた。

そして疑問に思ったことを聞いてみる。


「あ、あの、ちなみにお幾つですか?」


「はい、19歳です!」


「19歳!ってことは王立学園の生徒ですか?」


「はい!ですが今は学園にはほとんど通っていません。成績が良いということで自由登校なのです!」


イーナは満面の笑みで答えてくれた。


「あ、もしかして19歳の少女が補佐官かよって思ってます?」


「い、いや、そんなこと...」


「こっちだって最初、16歳の私より小さい子に仕えるようにって言われて衝撃をうけたんですから!」


「そ、そうなんだ...」


「ですが、詳しく話を聞いたところ、16歳でかなりの功績を残しているって言うじゃありませんか。そういう人ならまあ仕えてもいいかなって思って補佐官になりました!」


アルスはイーナに圧倒される。


「まあこの話はここまでにして...アルス大臣、この後すぐに着任式です。職員訓示もあります。原稿は私の方で準備しておきましたので、これをそのままお読み下さい!力作ですよ!」


「えっ、準備してくれたの!?」


「はい!」


アルスはイーナが作ってくれた原稿を読む。


「い、いいよ。この原稿!」


「でしょでしょ!そういうの得意なの!」


素晴らしい出来にアルスはイーナを讃えた。


「さぁ早く会場に!今日の着任式は外務庁・商務庁合同にしてありますのでたくさんの職員が待ってますよ!」


「えっ、合同!?」


「はい、手間が省けるでしょ?」


「し、仕事が早い!さすが宰相の娘だ。」


アルスは宰相とイーナを重ねた。

イーナに急かされアルスは会場へと向かった。


その後アルスは無事、着任式での職員訓示を終えることができた。

イーナが色々と裏で準備をしてくれたからだ。


そして、イーナとの出会いによって色々と新たなことに着手することになる。



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