ネットワーク

魔導新幹線・超高速計画の進展に伴い、アルスはさらなる挑戦に直面していた。計画の次のフェーズは、ただ距離をつなぐだけでなく、異世界全土に一貫した高速鉄道網を構築し、魔導技術を駆使して新たなエネルギー供給体制を確立することだった。魔導エネルギーの持続力をどこまで高められるかが、この計画の成否を左右する鍵となっていた。


ある日の会議で、アルスはリエラ、イーナ、そして通信魔道具越しに参加したハルナと共に、魔導新幹線のエネルギー効率に関する話し合いを進めていた。


「これまでの魔導エンジンでは、速度をこれ以上高めると燃費の効率が悪化する。次なるステップでは、新しい魔力供給システムを考える必要がある」アルスは真剣な表情で話し始めた。


イーナがすぐに応答した。「それなら、各国間で魔力の共有協定を結ぶのはどうかしら?各国に魔導エネルギーの供給拠点を設置し、新幹線の運行中にリレー方式で供給できるようにすれば、長距離移動でもエネルギーが枯渇する心配はなくなるわ。」


リエラがその提案に付け加えた。「それに加えて、私のブランドが支援している各地方の工房や産業も、魔力供給に貢献できると思うわ。持続可能な魔導エネルギーの開発を支援することで、地域の経済活動も活性化するし、鉄道網のエネルギー基盤も強化できるはず。」


「そうね、魔導エネルギーの利用方法を工夫すれば、どんな遠隔地でも効率的に供給できるわ。リース帝国でも、特定の魔力結晶を使った持続的なエネルギー供給技術を研究している。これを応用すれば、エネルギー供給の問題は解決に向かうはずよ」と、ハルナも意見を述べた。


アルスは彼女たちの意見に頷き、次のステップを描き始めた。「よし、魔導エネルギー供給の基盤強化と各国の協力体制を構築しよう。このプロジェクトは単なる技術的な挑戦に留まらず、各国を繋ぐ強力なシンボルとなるはずだ。」


その後数か月にわたって、魔導新幹線のエネルギーシステムは劇的に進化していった。各国に新設された魔導エネルギーステーションは、魔力結晶や自然から抽出されたエネルギーを利用して持続的な供給を行い、長距離移動でもエネルギー不足に悩まされることがなくなった。アルスのチームは、新技術の導入により、魔導新幹線の速度をさらに高めることにも成功した。


ついに、新幹線がいくつかの各大陸を結ぶ壮大なネットワークが完成し、歴史的な一日が訪れた。


アルスは、リエラ、イーナ、そしてリース帝国のハルナとともに、新たな超高速魔導新幹線の運行を祝う式典に臨んだ。各大陸のリーダーたちが一堂に会し、新たな時代の幕開けを祝福する中、アルスは壇上で挨拶を述べた。


「この魔導新幹線は、ただ国と国を繋ぐだけではありません。私たちが築いたのは、未来を見据えた希望の架け橋です。この鉄道は、私たちの技術の結晶であり、協力の象徴でもあります。これを機に、世界全土の発展と平和をさらに推進し、未来を切り拓いていきましょう。」


その言葉に続いて、魔導新幹線が静かに動き出した。目の前に広がる新たな道は、アルスとその仲間たちが描いた壮大な夢の始まりに過ぎなかった。

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