リース帝国編
入国
アルスはリース帝国へ向けて馬車で移動している。
帝都グレスまでは12日かかる。
そして今日は12日目。既にリース帝国に入国済みであり、まもなく帝都グレスの街が見えそうな距離まで来ているが既に日が暮れそうな時間だ。
今回の訪問には補佐官であるイーナと外務庁職員20名、護衛隊100人の規模で向かっている。
道中特に問題もなく、スムーズに進むことが出来た。
この間、イーナと長い時間を過ごし、とても仲良くなった。
最終日もイーナと馬車の中で過ごす。
イーナとの話の最中、アルスがふと外に目を向けると
街が見えてきた。
「見て!イーナ、グレスの街だよ。」
アルスがそういうとイーナはすごい勢いで外を見る。
「アルス大臣!すごいわよ!」
イーナは大興奮だ。
なぜならマリアナ王国とは全く違う街だったからだ。
リース帝国は魔法先進国。魔法を街づくりに取り入れてるという。例えば魔法具で街灯を作ったりしており、夜でも明る街だ。サルサでも数年前に導入しているが、領都グレスには及ばない。
既に日が暮れていたがグレスの街だけが明るく輝いて見えた。
馬車はそのグレスの街に進み、無事街に入ることが出来た。
アルスたちはグレスの街に入るとよりこの街の凄さを知ることとなった。
「アルス大臣凄いわ!夜なのにこんなにも明るいなんて!ほんと魔法先進国ていうだけはあるわ。」
イーナはさらに興奮している。
馬車はそのままグレスの街の中心にある王城へと向かった。その間もイーナは街の様子をずっと見ている。まるでお上りさんだ。
しばらくすると馬車がとまった。
どうやら王城に到着したようだ。
馬車を降りると立派な純白な城が夜なのに、魔法具のおかげで明るく見えた。
規模はマリアナ王国の王城より少し小さいが魔法具のおかげでライトアップされており、とても綺麗だ。
王城を見ていると、数名の騎士を引き連れた、いかにもお偉いさんな風貌の50代くらいの男性がやってきた。
とても優しそうな顔である。
「ようこそリース帝国へ。マリアナ王国外務・商務大臣アルス殿お待ちしておりました。私はリース帝国で宰相を務めております、ラーダ・フォン・ナークです。」
お偉いさんだとは思ったが、この国の宰相であった。
アルスは急いで挨拶をする。
「マリアナ王国で外務・商務大臣をしております、アルス・フォン・サーナスです。宰相閣下、お出迎えありがとうございます。」
相手が宰相ということもあり、丁寧に挨拶をする。
そして隣にいたイーナも挨拶をした。
「アルス大臣の補佐官を務めております、イーナ・フォン・リスタと申します。マリアナ王国宰相ダット・フォン・リスタの娘です。」
「ダット宰相殿のご息女でしたか、ようこそおいでくださいました。」
ダット宰相の様子を見て、アルスは宰相同士の繋がりがあると認識した。
少し立ち話をし、ダット宰相はアルスとイーナを王城の応接室に案内をしてくれた。
「皇帝陛下との謁見まで少々こちらのお部屋でお待ちください。」
ダット宰相はそういうと部屋を出ていった。
案内をされた部屋は王城ということもありかなり豪華であった。少ししてイーナが話しかけてきた。
「アルス大臣、緊張されてますか?」
イーナは少し心配そうだ。というよりも緊張しているようだ。
「いや、そうでもないよ。とても楽しみなんだ!大臣として最初の仕事だし!」
「それならよかったです!」
イーナはそれを聞いて安心したのか笑顔になった。
そして声をかけられる。
『陛下との謁見に向かいます。ご準備を』
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