サーナス学院④

式典終了後、アルスは学園長室で教育大臣のターナ侯爵と財務大臣のノスタ侯爵ロフの3人で会談していた。


「いや、ほんとにアルスはすごいな。良い孫を持ちました。」


「ターナ教育大臣、ほんとにその通りですね。わがノスタ家にもアルスくんのような子供がいればよかったのですが…」


2人はアルスを持ち上げる。


「お二方の協力があって今回サーナス学院を開校出来ました。本当にありがとうございました。」


アルスは一礼した。


「いやいや、アルスくん頭を上げてくれ。まだ始動したばかりだよ。まずは結果を出してもらわないとね。」


「うむ、アルス。サーナス学院の結果次第で今後の教育改革は動いていく。頼むよ。」


「はい、承知しています。まず結果が出るまで6年はかかります。ですのですぐに結果が分かりません。そこで試験を定期的に行おうと思っています。」


「ほう、試験ですか…一体どのような形で?」


ターナ侯爵は興味があるようだ。


「はい。まず進学科ですが、王立学園の入学試験を模試形式で定期的に行い学力を測ります。次に騎士科ですが、定期的に剣術大会を開いたり、王国軍の演習への参加したりし、実力を測ります。魔法科は王国魔法士団での演習、魔法研究所での実習、魔法技能試験で実力を測ります。商業科は商会での実習、算術などの筆記試験で実力を測ります。そして、農業科では指定した野菜を育て、育成力、適応力を測ります。最後に水産科ですが、実際に漁に出て指定した魚の捕獲、船舶技術を測ります。」


「なるほど、確かにわかりやすい。途中経過がよく分かるからね。」


ロフは納得してくれる。


「アルス、素晴らしい考えだと思います。ぜひその結果を都度教育庁に報告してください。」


「はい、承知しました。」


「判断材料としては十分です。この結果次第で今後の教育改革を進めていきますので…」


ターナ侯爵も承知してくれた。

今後の教育改革を進めるための道は続く。

続けてアルスは開校式での挨拶で話した新たな教育機関の話を持ち出した。


「サーナス学園として新たな専門的な教育機関を立ち上げようと考えています…」


「先程の話だね!」


ロフはワクワクした顔で言う。


「はい、王立学園を卒業した後により学問を深める教育機関になります。」


「より専門的…例えば?」


ロフはより細かく聞いてくる。


「はい、今想定しているのは大学という教育機関です。さまざまな学問分野における学問を学ぶことができます。この大学での学びには教育だけでなく、研究や知識の創造、社会への貢献も含まれています。」


「ほう、なるほど…なかなか難しそうなところだね…」


「はい、この大学を設置する目的は各分野の専門家を増やすことです。例えば、法律について詳しく学べる学科を作り、卒業後は法務庁でリーダーとなり働く人材を排出します。」


「法律の専門家か…それはいいね!」


ロフはかなり満足そうだ。


「アルスの考えは素晴らしいと思います。例えば教育の専門家を養成する学科を作ることもできますよね。」


「はい、例えば今後サーナス学院あるいは王立学園で教鞭をとる教員を育成することも可能になると思います。」


「!!教育庁として早速協議したいと思います。」


ターナ侯爵もとても満足そうな顔であった。

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