財務大臣への相談
アルスは次の日、財務庁を訪ねた。
財務大臣であるロフに鉄道計画の相談をするためだ。
この日のために昨夜はまた色々と考えてきた。
財務庁は外務庁の正面にある建物で外務庁とは違い質実剛健なつくりだ。
中に入ると直ぐにロフの執務室へと案内をされた。
「これはアルス大臣、よく来てくれた。さあ、席に座って、」
「ノスタ財務大臣お時間を頂きありがとうございます。失礼します。」
相手は同じ大臣とはいえ、爵位では格上の公爵。
丁寧に挨拶をした。
席につくとアルスは早速本題に入った。
「ノスタ財務大臣、本日は商務大臣としてご相談がありこちらに参りました。」
「ふむ、商務大臣としての相談ね。遠慮せず、なんでも言うといいよ。」
ロフは笑顔で対応してくれた。
「実は現在、鉄道計画を進めています。」
「鉄道計画?それは一体…」
鉄道を知らないロフははてなマークをうかべている。
アルスは鉄道について詳しく説明をした。
「なるほどね、それは画期的な計画だ。」
「ありがとうございます。」
「ところでその鉄道とやらはまず、サーナス領とサルサを結ぶんだよね?」
「はい」
「まず地元を固める。それは力を持つとなればまずやることだ。おかしなことでは無い。だが、それは周りの反発を買う可能性もある。」
「承知しています。」
ロフはアルスに危険性があるを優しく語りかける。
そこでアルスは提案をした。
「そこでノスタ財務大臣に提案させていただきます。このサーナス線が成功した後に同時に複数の路線を建設したいのです!」
アルスは大きく出た。
「同時に建設するというのかい?この規模の事業を同時に進めるとなれば財政を圧迫しかねないのだが…」
ロフは魅力的な計画であるが財務大臣としてなかなか難しい立場だ。
「財務大臣の気持ちはよく分かります。そこでまたご提案なのですが、商務庁と財務庁が合同で運営をする国鉄にしたいと考えています。」
「国鉄!」
ロフは驚いた。
アルスは国鉄についても詳しく説明をした。
アルスの提案では、国鉄にした場合、売上の7割を財務庁が残りの3割を商務庁が徴収するという仕組みを提案した。
「7割を財務庁が徴収する。なかなか魅力的だね。これなら鉄道計画にも賛成できる。」
ロフも納得してくれた。
「よし、財務大臣権限として商務庁に建設費用を出すこととする。まずはサーナス線の事業を商務庁としてよろしく頼むよ!」
「はい!お任せ下さい!」
アルスはロフに鉄道の成功を約束した。
「ところでアルスくん、最近うちに遊びに来てないよね?リエラもアルスくんに会えてないと寂しそうにしていたよ。たまには遊びに来てね。」
「はい、ぜひ!」
こうして鉄道計画はまた1歩前に進んだ。
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