帰国
リース帝国への訪問を終え、アルスはマリアナ王国に帰国した。
しかもリース帝国で最優秀魔道具賞を受賞した大注目のナットを連れて帰ってきたのだ。
帰国してすぐの国王との謁見にもナットを同行させたが、やはり話の中心はナットになった。
国王からは魔道具の国内での普及を命じられた。
プロジェクトリーダーは当然、アルスである。まあ商務大臣であるからという理由だが…
そして今はアルスの外務庁の執務室にいる。
当然ナットもだ。
「ナットさん、早速ですが新たなプロジェクトを立ち上げます!」
「プロジェクト?ですか?」
「はい!それも鉄道計画です!」
アルスは突然計画を発表した。
それも鉄道計画である。
「鉄道?それはなんですか?アルス大臣。」
ナットはポカンとしている。
「鉄道、それはレールの上を車両を走らせて、人や荷物を運ぶ運輸機関のことです!」
アルスはナットに説明をした。
しばらくしてナットもイメージを掴んだらしい。
「なるほど、では私はその鉄道の動力となる列車を作れば良いのですね!」
ナットは理解してくれたようだ。
「はい、なのでナットさん。直ぐに取り掛かってください。なんでも準備しますから!」
「なんでもですか!」
その言葉にナットは喜んだ。
そして急いで部屋を飛び出して行った。
そして少しして補佐官であるイーナが入ってきた。
「すごい勢いでナットさん飛び出して行きましたね。」
「あぁ、これから色々と忙しくなってくるからイーナも手伝ってね!」
「はい、分かりました。」
イーナは笑顔で返事をした。
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鉄道計画が動き出して数ヶ月が経った。
アルスも17歳となった。
今日は応接室で鉄道の路線を決めるためイーナと2人で会議をしていた。
アルスの中で路線はほぼ決まっている。
当然アルスの地元であるサーナス侯爵領と王都サルサを繋ぐ路線だ。
まずはここを繋ぎたいとアルスは考えていた。
「サーナス線をまずは整備したいんだけど、イーナはどう思う?」
「うん、当然そう来ると思ってたわ。まずは大臣のお膝元を固めないとね。」
イーナは理解を示した。
「だけど…」
「だけど?」
イーナは少し難しい顔をする。
「財務大臣がどういう顔をするか、そこが気になるわ」
「財務大臣か…」
アルスはイーナの意見に同調した。
多額の建設費用が掛かるこの計画にアルス、あるいはサーナス侯爵家の財力だけでは当然叶わない。商務庁として動く必要がある。
そうなるとマリアナ王国の財政を取り仕切る財務庁の力が必要となる。
つまり財務大臣を納得させる必要があるのだ。
幸い、財務大臣であるノスタ公爵家とは良好な関係を築いているが、このような一大プロジェクトにノスタ公爵家としても恩恵を受けたいと考えるだろう。
つまり、配慮しなければならない。人づきあいは大変だ。
「ノスタ公爵領への延伸案と共に相談に行こうかな…」
「それがいいと思うわ。」
サーナス線で十分な恩恵を受けることの出来るリータ家であるイーナは笑顔でアルスに言った。
そしてアルスは財務庁に向かうのであった。
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