剣神
アルスは王都へ帰る途中オースの街の教会へと入った。
いつものように司祭にお布施を渡し、礼拝堂で目を閉じる。
「ようやく来たか…」
聞き覚えのある声がする。
アルスは目を開けると創造神ザイン、そして隣には腰に剣を提げた男性の神がいた。
「ザイン様、お久しぶりです。なかなか挨拶に来れず申しわけありませんでした。」
「わしらのことを忘れているかと心配しておった。そなたのことはいつも上から見ていたぞ。いろいろと忙しいようじゃな…」
「はい、お陰様で忙しくしております…」
アルスは少し圧を感じる。
やはり挨拶に来ていなかったことをザインは少し不満そうである。
「まぁ、よい。これからは顔を見せるのだぞ。」
「はい、わかりました。…ところで隣にいらっしゃる神様は…?」
「こやつは剣神サルタじゃ。そなたに会いたがっておったぞ。じゃがそなたがなかなか顔を見せないから不満に思っておるぞ。」
ザインはアルスに剣神サルタを紹介してくれた。
「その通りだ。全くやっと来たか…剣神のサルタだ。」
「サルタ様、初めましてアルスです。よろしくお願いします。」
アルスはサルタに恐る恐る挨拶する。
ザインはサルタを紹介するとこの場を後にした。
そしてサルタと二人っきりとなった。
「お前、剣は好きか?」
「剣ですか…そうですね、一応毎朝素振りはしていますのでそれなりに好きです。」
「そうか…まぁこれからも励むといい。きっとお前のためになる。」
「ありがとうございます。」
サルタはどうやらあまり怒っていないようだ。
「それより、お前にお願いがある。」
「お願いですか…」
「剣を広めて欲しい」
「えっ、十分広まってると思いますが…」
「いや、足りない…足りないんだ…足りないんだよ…」
サルタは呪文のようにつぶやく。
「魔法神がいつも自信満々な顔で言ってくるのだ…魔法が主流、剣は2番手だと…」
「まぁ確かに魔法の方が重視されていると感じますね…」
「それが問題なのだよ。剣は素晴らしい。」
「確かに剣は素晴らしいですね。」
「そうだろう!!では協力してくれないか?剣を広めるのに。」
「まぁ、全然僕でよければ協力しますが…」
「そうか!それは嬉しいぞ!」
サルタはとても喜び飛び跳ねる。その姿は神には見えない。
「では、どうやって剣を広める!」
「そうですね…………………うーん、」
「思いつかないのか!?」
なかなかアイデアが出てこないアルスにサルタは大声を出す。
「わっ!あります!!…そうですね…剣術大会を開きます!」
「なんだ…そんな面白みのないことを…期待はずれだな。」
ありきたりな回答にサルタはガッカリする。
その様子にアルスは少しイラッとして咄嗟に考える。
「サルタ様、実は今新たな学校を作ろうとしています。そこで剣術を取り入れ、剣術大会をそこで開き王国軍に人材を排出できるようにしたいと思います!」
「ほぉ、なるほど…それはよいな…」
アルスの咄嗟の閃にサルタは納得した。
サルタはめんどくさいが意外と簡単にたしなめることが出来るようだ。
そして別れの時が来た。
あっという間であった。
「サルタ様、頑張って広めますので見守っていてください。」
「では、楽しみにしている…布教活動に励むのだ。さらば」
サルタがそう言い残すとアルスは元の世界に戻っていた。
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