新規路線

サーナス線が大成功を収め、次の事業は王都とその他の領地を結ぶ路線である。ロフが宣言をしたためである。


アルスとしてはノスタ財務大臣の協力を得ていることもあり、ノスタ領とを結ぶノスタ線を優先的に建設することにした。


しかし今回のサーナス線の反響は大きくその他の領地からも鉄道の建設を望む声が多くあがった。

その為、一度新規の鉄道計画は停止し、国王の決裁がなければ出来ない仕組みとなった。


そして今日は王城にアルスは呼び出されていた。

応接室に呼び出され、部屋には国王と宰相、そしてノスタ公爵ロフの3人がいた。


「国王陛下、アルス・フォン・サーナス参りました。」


アルスは丁寧に挨拶をする。

するとまず口を開いたのは宰相であった。


「アルス大臣、今日は鉄道の建設計画で話がありお呼びしました。」


「鉄道の建設計画ですか、ですがそれは陛下の判断を仰がねばならないことと決まったはずですが…」


アルスがそういうと国王が話し出す。


「アルス大臣、決裁は国王の判断で相違ない。だが、鉄道計画はそなたの仕事であろう。」


国王は強く言ってくる。

どうやら早くほかの路線の建設を進めろと言いたいようだ。


「次の路線ということですね。ですが現在多くの貴族から申し出が出ている状況です。私の方で判断がなかなかつけられる状況にありません。」


「その件は重々承知している。そこで宰相に命じて計画図を作ってもらった。」


国王がそう言うと宰相が1枚の紙を机上にひろげた。

マリアナ王国の地図である。

そこには王都から東西南北に線が伸びている。

このうち南に伸びている線はサーナス線。

東側に伸びているのがノスタ線である。


「アルス大臣、国王決裁として残りの2路線の建設を許可します。」


宰相が許可書を渡す。


「承知いたしました。」


アルスは承諾した。承諾するしかない。

国王の勅命であるからだ。

話はこれだけかとアルスは思ったが、やはり別に話があるようだ。

なぜならノスタ財務大臣が同席しているからだ。

そんなことを思っていると宰相が口を開いた。


「アルス大臣、実は私とノスタ財務大臣と話し合ったことがひとつありまして相談をしたいのですが…」


「はい、なんでしょう?」


アルスは尋ねる。


「この王都サルサについてです。街の規模もかなり大きく移動がかなり大変であることはご存知ですね。」


「そうですね、かなり移動するのに時間が掛かっていますが…」


「そこでなにか移動を楽にできるものはないかアルス大臣に聞いてみようとノスタ財務大臣と相談してまして。」


宰相がそう言うとノスタ財務大臣が口を開く。


「アルス大臣、単刀直入にいうね。何とかならないかな?」


アルスの元へ次の仕事が舞い込んできたのであった。

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