出迎える準備

皇帝がマリアナ王国に訪問したいという意思はすぐに国王に報告した。

国王も皇帝の訪問は嬉しいとこであり、外務庁が中心となって歓迎する準備をすることとなった。


そのため、アルスは大臣室でイーナとともに計画案を作成していた。


「皇帝を出迎えるためにイーナならどんなこと考えるかな?」


「そうですね…私ならこのマリアナ王国の有名なところを巡りたいですね!」


「つまり魅力的な所ってことかな?」


「はい!特にノスタ領のサーマル湖は風光明媚ですし、ショッピングモールもあります。女性なら間違いなく喜ばれると思います!」


「なるほど…確かにそれはありだね!」


イーナの提案にアルスは乗り気になった。

だが、1箇所だけでは正直寂しい。

アルスは改めてイーナに聞いてみる。


「あと他にどこかいい所はないかな…女性が喜ぶようなところ!」


「そうですね……んー、あ!いい所がありました!」


「えっ!どこ!」


「因みにサーナス領にありますよ!」


「えっ!そんなところあったっけ…」


イーナにサーナス領にあると言われるが正直ピンとこなかった。


「ほんとに分からないんですか!?」


「うん…教えて欲しい…」


アルスは諦めて素直に答えを聞くことにした。


「サーナス領の南は海に面していて、沿海都市オースがあるじゃないですか!!」


「オースか…あそこは漁業が盛んだけど観光向きとは…」


イーナが挙げた沿海都市オース。

サーナス領南部、海岸部の中心都市である。


「アルス大臣ご存知ないのですか!?オースは今王都の女性が1番行きたい都市として話題になっているのです!」


「えっ!そうなの?知らなかった…」


「これも国鉄サーナス線の影響です。今、多くの人がサーナス領を訪れています。その過程でオースの夜景がとても綺麗だと話題になっているのですよ!あと海岸部らしい街並みもとても人気になっています!」


「へー、そんなことが……ん?これってもしかしてチャンスなんじゃないかな!?」


アルスは突然閃いた。

新たなビジネスチャンスである。


「皇帝を出迎えるため、沿海都市オースを観光地・リゾート地にするのはどうかな!?」


「アルス大臣、またすごいことを考えられますね。一応、外務庁として今動いてることお忘れですか?」


イーナは1人盛り上がるアルスを宥めるようにいう。


「あっ、そうだったね…でも沿海都市オースはそんなにも注目されているのか…」


「ひとつの案として組み込むのも良いかもしれませんね…」


1度アルスは落ち着く。

しかしアルスは我慢できなかった。


「ちなみに僕が大臣としてではなく個人でオースをリゾート地にするのは別にいいよね?」


「…全く。それは構わないと思います…」


「よし!じゃあ皇帝を迎えるためにオースを整備するよ!イーナは計画案をよろしく!!」


そういうとアルスは大臣室を飛び出して行った。


「全く…」


イーナは1人大臣室で呆れていた。


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